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言葉の宝箱0852【祟りだとか、迷信があるのは、タブーを侵す不心得者が出ないようにする古人の知恵】


『斎王の葬列』内田康夫(新潮文庫2004/11/1)


都から伊勢神宮へ遣わされた皇女の通い路であった滋賀県土山で「斎王群行」を題材にした映画のロケ中に地元の青年が殺される。監督は旧友の浅見光彦に調査を依頼するが、直後に第二の殺人。斎王の崇りが囁かれる中、光彦は34年前にこの地の古い宮で起きた惨劇に辿り着く。歴史の闇に消えた者たちの呪詛と現世を生きる者たちの怨念が伝説の地で交錯する歴史ミステリ。

*斎王は奈良時代に定められた制度で、
天皇の名代として伊勢神宮に仕える皇女のことだが、
平安遷都からまもなく、嵯峨天皇のときに王城鎮護のため、
伊勢にならって京都の加茂社にも斎宮を置くようになった。
葵祭の「斎王代」とは、
その斎王の代わりに民間から選ばれた未婚の女性のことである P23

*記録残る最初の斎王は、
天武天皇の娘であり大津皇子の姉である大来皇女。
以来、南北朝のころ、朝廷が力を失うまで、
約六六〇年のあいだその制度はつづいた。
斎宮というのは斎王の住居である御殿や事務を司る斎宮寮の総称 P30

・ふだん何となく見聞きしているものでも、
発生のルーツを辿れば、いろいろな謎や事実が見えてくる P51

・祟りだとか、そういう迷信があるのは、
タブーを侵す不心得者が出ないようにする古人の知恵だ P167

・誰だって、多かれ少なかれ、
何かしら不正を行っているものでしょう(略)
ちょっと物足りない……けど、気持ちが安らぎます P288

・一人の人間の死によって、大勢の人の不幸を作り出してはいけない。
しかし、一人の人間の死によって、大勢の幸福が守られることもある P406


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