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言葉の宝箱 0603【努力しても実を結ばないから努力しないのではなく、実を結ばなくても努力するのだ。借り物の身体をあてがわれ、わけの分らない力に翻弄される人生など、面白くもなんともないではないか。この身体の真の所有者がどこかにいるとしたら、そいつに謀反を起こしてやるのも悪くない】

『幸せまねき』黒野伸一(アスキー 2007/11/6)


猫や犬の会話描写がある。
読み進めていくうちにその必然性を知らされ、怖ろしさも知る。
また10代の恋愛感情の機微や不倫で家出した妻の行いに戸惑いを覚えた。


・努力をしても人は報われない。だが報われることもある。
問題は、努力する前はそのどちらなのか見極めがつかないということ。
愛は強く、同時にもろい。それでも人は交わる。
懺悔しても、神様は許してくれない。
開き直って文句を垂れ、不貞寝していると、
いきなり棚ボタのようなプレゼントをくれる………。
自らは自らの意思で、自らを動かすことができない。
自分とは見えない誰かの意思によって巧妙に動かされている偽物である。
その誰かというのが自分の本当の所有者なのだ。
その所有者が自分の人生まで決定する P54

・いくら健康に留意していても、
人は急に病魔に襲われ、死んでしまうことがある。
いくら努力しても、薄幸のまま、その生涯を閉じる人がいる。
こればかりは、自分の意思ではどうしようもならない。
所詮自分の身体は借り物なのだ。だから無駄な努力はするまいと(略)
努力しても実を結ばないから努力しないのではなく、
実を結ばなくても努力するのだ。
借り物の身体をあてがわれ、わけの分らない力に翻弄される人生など、
面白くもなんともないではないか。
この身体の真の所有者がどこかにいるとしたら、
そいつに謀反を起こしてやるのも悪くない。
敷かれたレールを無理やり捻じ曲げながら進む人生も、
自分の性格に合っているよう気がする P344

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