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言葉の宝箱 0979【カネは人生に潤いを与えてくれるが、幸福そのものではない】

『再会キャッチボール』山本甲士(小学館文庫2011/6/7)

フリーライターの白銀力也は幸せだが、
子育てのために妻が仕事を辞めたため、貯金を切り崩す生活を送っていた。そんな時、
先方のたっての要望で力也は実際に会ったことが一度もない実の親、
合馬邦人の取材を行った。
取材後、
合馬は会いたい人物が4人いるので力也にその同行を依頼してくる。
俳優の傍ら
居酒屋の経営を手がけた合馬は力也と違ってアクの強い人物だった。
元マネージャーや異母兄弟たちと会って、力也は何を感じたのか。
合馬はなぜ4人を訪ねるのか。
憎しみや喜びの感情に流されずに取材旅行を続ける二人の男の結末は?
文庫書き下ろし作品。


・友人というのは、
相手が間違ったことをしていると思ったときに忠告してあげたり、
本当に困っているときに手を差し伸べてあげたりするものであって、
別に困ってもいない相手に
多額のおカネを渡そうとしたりするのは筋が通りません。
そういうのはただの施しだと思います。
施しというのは、たいがいの場合、
お互いにとっていい結果を招かないものです P217

・元マネージャー(略)も、
カネで手に入らないものを手に入れて、希望を持って生きている。
彼らも、もちろんカネは欲しいに決まっている。
風で飛んできた一万円札を拾って、辺りに誰もいなかったら、
交番に届けないでポケットに入れるかもしれない。
でも、カネでは手に入らない大切なものが傷つけられたり、
崩されたりしそうだと感じれば、それを守ることにためらわない。
彼らは、それができる人間なのだ。
カネは人生に潤いを与えてくれるが、幸福そのものではない P222


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