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言葉の宝箱 1207【武器メーカーにとって、唯一最大のお顧客さんは戦争ですよ。戦争当事国――というより戦争そのもの。戦争がなくなれば武器メーカーは壊滅しなければならない。彼らにとって、戦争は断じてなくしてはならないどころか、絶えず拡大傾向にあってもらわなければならない上顧客なのです】

『江田島殺人事件』内田康夫(講談社文庫1992/1/15)

*江田島精神を培うために、絶えず自らを戒める五つの問い掛け――
いわゆる『五省』の一句です
一、至誠に悖るなかりしか。
一、言行に恥ずるなかりしか。
一、気力に欠けるなかりしか。
一、努力に憾みなかりしか。
一、不精に亘るなかりしか。P47

・弱い人間ばかりが自殺するとはかぎらないのだ P106

・人間の死に方はさまざまだが、立派に死ぬことは難しい。
そしてだ、人間には命を賭けても守らなければならない、
大切なものがあるということだ P107

・人間誰しも、多かれ少なかれ、
「やむにやまれぬ想い」を抱く時はあるものだ。
しかし、大抵は、そういう想いをかこったまま、
結局、何もしないまま、無為徒食のうちに時を過ごしてしまう。
時間が必ず解決するという、消極的な達観なのか、
百年河清を待つ哲学なのか。
そうこうするうちに、
政治は腐り切り、人類は滅亡へむかって転落してゆくのかもしれない P141

・エリートは体制に対して忠実なものだ――ということだね。
番犬は主人には吠えないものなのだ P156

・謎や真相が見えそうでいて、なかなか見えてこない――という場合には、じつは、実際には見えているものを、
それほど重要なこことと感じていないか、それとも、
まったく見逃しているかのいずれかのことが多いものである P161

・もっとも不正を罰しなければならないはずの人間が、
いつのまにか不正の番犬になっている P172

・幸運というのは、座して待っていたのではやってこないように、
そういうものにぶつかるには、
それなりの努力や執念がなければならなかったことは確かだ P178

・日和見はいいですな、もっとも柔軟で、もっとも冷静に物が見える。
ただし、日和見では生きられない時代もあるわけですぞ P212

・個人の犯罪と国家の犯罪とは、まったく異質なものです。
個人の犯罪には限界があるが、国家の犯罪にはそれがないのです P214

・武器メーカーにとって、唯一最大のお顧客さんは戦争ですよ。
戦争当事国――というより戦争そのものというべきです(略)
戦争がなくなれば武器メーカーは壊滅しなければならない。
彼らにとって、戦争は断じてなくしてはならないどころか、
絶えず拡大傾向にあってもらわなければならない上顧客なのです P217

・戦争は当事国がそれぞれ正義を主張して行われるもので、
「勝てば官軍」という性格をもっています P236

・戦争における正義とは、
当事国それぞれの立場に都合のいいように解釈されるもので、
いったん戦争が始まってしまったら、正義もクソもないということです。
ただし、国民の多くは国の掲げる正義の旗を信じ、
命を捨てて国を、家族を護ろうとする。
その気持ちは悲しいほど純粋です P239

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