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言葉の宝箱0809【人間てやつはね、自分ではまったく気づかないうちに人を傷つけたり、人から恨まれるような行動をしているんですよ。他人に対する優しさだって、ひとつ間違うと、憐れみや、ときには軽蔑と受け取られかねませんからね。罪は悪人だけの専売特許ではない】


『若狭殺人事件』内田康夫(光文社文庫1996/5/20)


雪が舞う若狭の名勝三方五湖の日向湖で水中綱引き神事の最中に男の死体が流れ着く。その一年後に東京、高島平の路上で広告代理店勤務の細野久男が殺された。細野が死の前にミステリー同人誌に発表した小説『死舞』には若狭を舞台に黒い服の男の謎の行動と暗い過去が描かれていた。浅見光彦は小説が結びつける二つの殺人事件の接点に引きつけられ、若狭へと向かう。

・一緒に暮らすようになると、似た者同士というのは、
かえって相手のアラが自分自身の投影のようにうとましく見え、
鬱陶しく思えてくる P25

・センスというのは捉えどころのない不思議なもの P29

・一部の不良分子だけで、
基本的には真面目な生き方をしている人びとが多い P143

・運命というやつは気まぐれだから、沖の石のように謎を見え隠れさせて、人の心を騒がせ、不安にさせる P149

・苦しかったころに精いっぱい生きているから、辛い悲しいのと一緒に、
よう頑張ったいう、誇らしい気持ちもあるのかもしれません P169

・世の中、
誰もが過去を懐かしむことのできる幸せな人ばかりとはかぎらない P170

・非常のときにこそ人間の資質が表われる P174

・人間てやつはね、
自分ではまったく気づかないうちに人を傷つけたり、
人から恨まれるような行動をしているんですよ。
他人に対する優しさだって、
ひとつ間違うと、憐れみや、ときには軽蔑と受け取られかねませんからね。罪は悪人だけの専売特許ではない P206

・苦楽も罪も分ちあうのが家族の宿命じゃないかな P226

・いかに生きるか、いかに死ぬかーー死生観は人間の究極のテーマ P256

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