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言葉の宝箱0810【社会的地位は実際には技量や人格などとはべつのところで決まる】


『伊香保殺人事件』内田康夫(講談社文庫2003/6/15)


群馬県の吾妻町で起きた焼死事件の殺人容疑者として浅見家のお手伝い、
吉田須美子が警察に連行された。被害者の大戸は政界に触手を伸ばす金融会社の専務で妻と共に失踪中だった。そして妻も伊香保町ロープウェイの崖下で転落死。謎に挑む浅見光彦。伊香保で晩年を過ごした竹久夢二の不可解な過去。戦慄と殺意が奔る旅情ミステリー

・静から動へ、動から静へ
――踊りの神髄は滑らかさと厳しさの対比である。
ゴツゴツしたものがあってはならず、かといってダレてもいけない。
流れて崩れず、停まって死せず P56

・舞踊家の社会的地位は、
実際には技量や人格などとはべつのところで決まるわけだ。
世の常のことと言ってしまえばそれまでだが、
こういう矛盾に満ちた機構であることが、
舞踊会にたえず波瀾を巻き起こす要因になっている P60

・同じ年同士というのは、
懐かしい反面、どこか競争意識がはたらくものであります。
他人がいくら出世したって、どうとも思わないのに、
身近なライバルに先を越されるのは許せない P229


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