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言葉の宝箱 0461【できたことよりも、できないことを責める自分がいる】

『かっこうの親 もずの子ども』椰月美智子 (実業之日本社文庫2014/10/15)


幼児向け雑誌の編集部で働く統子は4歳の息子智康を保育園に預けながら、仕事と育児に追われる日々を送っている。予定通りには進まない仕事、智康の突然の発熱、保育園からの呼び出し、孫に会いたいとやって来る実母とは気持ちがすれ違い、ママ友との人間関係にヒヤリとするが、智康が見せる笑顔や成長の様子に癒され、親友の朝子と励まされ、シッターの神田さんの力を借りながら、懸命に過ごすある時、統子は旅雑誌のグラビアページに智康とそっくりの双子の少年が載っているのを見つけた。智康の出生には親にも話していない秘密があった。統子は智康を連れ、写真の撮影地である五島列島の中通島へ向かう。


・できたことよりも、できないことを責める自分がいる P19

・子どもと自分が健康であることがなにより大事(略)
それさえ叶っていれば、なにがあってもとりあえず大丈夫 P30

・ほめておだてて、
手のひらの上で転がしておけば万事安泰でしょうに P48

・自分の子どもを基準にして、
そこに他人の子をむりやり引っ張りこんで、
我が子へのいとしさをつのらせる P51

・女は、死ぬまで女の世界を小脇に抱えて生きてゆくのだ P68

・不惑を過ぎた今、
自分というものを変えられなくなっていることに気付いていた。
自分の個はすでに固まっていて、
人に諭されたからと言って変わる要素は、
自分のなかのぜんぶをさらってもどこにもないように思えた。
それは頑固になったとも言えるし、
面倒という言葉にも置き換えられる P127

・ヒマな人間はろくなこと考えないからね(略)
ほんとヒマ人ってのはおそろしいわよ。
とにかくさ、世の中まともじゃない人のほうが多いんだからさ。
まともなわたしたちは、適当にさばいていくっきゃないのよ P295

・子どもっていうのは、出し惜しみしないからいいんだよな(略)
自分の持ってる力を余すところなく使うだろ。
自分たちはせいぜい六割程度だものなあ。
あんなふうに一生懸命に、
ぜんぶの力を見せつけられると感動しちゃうよなあ P305

・乗り越えたのだとも思えた P313

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