黒木陽一
"悲しきバックキャスティング"...でありますように。
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"悲しきバックキャスティング"...でありますように。

黒木陽一

先週は、このニュースについて注目して色々考えてしまいました。今日のnoteはそんな話。

日本電産は21日、永守重信会長が同日付で最高経営責任者(CEO)に復帰したと発表しました。その理由を「非常に早い決断、対処が必要。短期的に指揮をとって業績を改善する」と永守氏がオンライン決算会で説明しています。現在のCEO関氏は「正直悔しい。向かい風をはね返す力がなかったのは事実。会長との実力差を見た」と語っています。

<4月22日 日経新聞朝刊 一部抜粋>

ほとんどの評論家や経済学者が、たった10ヶ月でCEOに返り咲く永守氏の急変に疑問を投げかけているようです。そしてまた、天才経営者に後継者選出の難しさを論じています。これは、孫正義氏と柳井正氏と同じかもしれませんね。死ぬまで経営の中心に、創業者精神の継承の難しさを見つけることができます。

キーワードは「感性」

しかし、私が注目したのは少し違うポイントです。
それは、永守氏が語った「早い決断、対処。短期的指揮をとる」、そして関氏がいう「会長との実力差」という言葉です。

日本電産の2022年の3月期の連結業績は過去最高ながら、純利益が目標未達でした。その背景として、家電向け省エネモーターは好調である一方で銅などの原材料が高騰したことも挙げられています。そうなのです、この結果は今回の復帰を促すほどのものだったのかというと、そこまでの落第点ではないのではないかとも感じられます。

しかし永守氏の考える経営哲学を読み解く重要なキーワードは、以下の2点の発言にあると私は考えました。

①ロシアの問題や中国のロックダウンがある全員の力を合わせる必要がある
②日本電産のスピードやコストについて、"感性"を付けるには、3年くらいかかる

これは、センスメイキング理論のストーリーテリング、つまり"腹落ち感"ではないかと。どんな未来を描いていくかを永守氏は、極めて大切にして2022年の今こそ勝負と考えているのかもしれません。

バックキャスティング

さらに話を深めてみます。今回の最大のCEOの復帰要因は、株価低迷ともう一つ、彼自身が描いたのではないかという"バックキャスティング"によるものだと思います(あくまで個人的意見です)。

1)株価低迷:
12,000円(2021年6月)→ 8,970円(2022年4月21日)
まず1つめは株価。時価総額の低下に注力したという要因です。「今の株価は耐えられない水準。一万円くらいで残っていれば私の出る幕ではなかった」と永守氏は言っています。時価総額約5兆3000億円は、パナソニックホールディングスの2倍です。

2)ストーリーテーリング:
2つめは、事業構想のストーリー性が関氏にはないと判断したのはないかと推測します。
永守氏のストーリーテリングでは「近い将来にドローン技術がさらに発展し、自家用車ではならぬ自家用ドローンで通勤する。そうすれば、日本電産が世界のモーター市場の8割を占め、10兆円企業も夢ではない」といい、機関投資家からの資金提供があったのです。

ここからは仮説となりますが、前述したロシアの問題と中国のロックダウン、さらに感性で語るストーリーテリングは、2月から引き起こされたウクライナ軍とロシア軍による新しい戦争の形によってひきおこされた新しいストーリーだったのかもしれません。

ウクライナ侵攻

衛星通信サービスのイーロン・マスク氏が率いる「スターリンク」の支援によって、ウクライナ軍は持ち運びできるアンテナを使い、スマホの画像がアップロードできます。基地局の通信網が寸断しても使え、戦車の車列をドローンで捕捉し、対戦車砲の標的にするものです。

さらにNATOアメリカが、ウクライナに今後提供するのは、最高レベルのドローンです。これによって戦い方が大きく変化するでしょう。そしてこのモーター開発は、日本電産なのです。

現在世界中が注目しているのは、今回のような悲劇が隣国中国の台湾へのアプローチ、北朝鮮、さらにインド、パキスタンにまで影響することで、新しい需要が生じていることです。今回の永守氏の英断はこれらを背景にしていると私は考えるのです。

今の日本電産において、これまで世界中で60件以上のM &Aを重ねてきた彼にしか、国を相手にするビジネスはできません。戦争の形が、陸-海-空、宇宙人、サイバー、さらに制脳権の6つにドローンがかなり重要な位置にあることを彼は察知したのでしょう。核兵器が抑止力を持っているという常識を、ロシアは破ってしまいました。21世紀には、第三次世界大戦は起こり得ないという常識は消えてしまったのです。

新たな戦争への蓄え

参考となりますが、今回起きている事態から新たな戦争への蓄えについて、触れておきましょう。

- ウクライナの首都キーウ(キエフ)の地下鉄は、ロシア進行と共に運行停止。列車の代わりに、駅構内は、毛布とテントで、地下105メートルが臨時シェルターになっています。
- ロシアの核使用をただ待つべきではない。各国は、シェルターで備える必要があると、ゼレンスキー大統領が呼びかけています。
- しかし日本では、核シェルターの可能性があるのは、大江戸線だけ。

<4月22日 日経新聞朝刊より 一部抜粋>

結論の代わりに

永守氏のCEO返り咲きは、日本電産一社だけの問題ではなく、新しい戦争や日本の未来の形を憂いて、我々日本人に危険信号を発信したのではないか、と私は危惧しています。これは、今まで見たことのない悲しい"バックキャスティング"かもしれません。そして再度お伝えするとこれは私個人の主観以外の何者以外ではありません。でも、、、そういう見方もできるのではないかと私は考えてしまいました。

そんな視点で改めて振り返ると、4月22日付の日経新聞に掲載された永守氏の顔には、不安が滲み出ていたと思いませんか。

この私の勝手ながらのバックキャスティングが当たりませんように切に切に願います。

写真:©️4月22日付 日経新聞朝刊

(完)


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黒木陽一
僕は何者なんだろう。 自分の存在価値を問い、社会と個人も企業の存在を考え、日本人の在り方を日本流を模索して帰ってくる。 僕は、動的に問題提起しながら、価値観を問い続ける存在でありたいと思うのです。 黒木マーケティング室:https://www.kmi.co.jp/