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#17 『ミッドナイトスワン』Review

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それでは本題です。
『ミッドナイトスワン』
(2020年|日本|124分)


私キャッチコピー


夜が明ける、愛の叫びが聴こえる。





出逢い


Netflix




感想

※ネタバレ少しあり

 タイトルバックのドローン撮影かっこいい! 海と橋を超えての街並みカットは海外の大作映画によくあるパターンですが、日本映画ではあまり見かけないので貴重かも。


 東京を舞台に広島弁で愛を叫び合うシーンが心に響きます。私も地方出身(熊本)だからより共感しました。



 主人公の一果が倍賞千恵子さんの若いときに似ていると思ったのは私だけでしょうか。画に説得力があります。踊るシーンはまるで『グリーンディステニー』のチャン・ツィイーさんを彷彿とさせる魅力が加わり、一果をずっと見ていたくなる作品。エンドロールでは(新人)と表記してあったので、これからが楽しみ! コメディ作品でたくさん笑う服部樹咲さんの芝居も見てみたいです。




監督コメント


 『花とアリス』の蒼井優さんのバレエを連想させるシーンも。同じようにスローモーションと見ている人たちを上手く絡めて構成された編集はお見事。からの東京夜景の空撮は、人生を考えさせられます。
 この灯りの下で無数の喜怒哀楽のドラマがあることを再確認でき、この映画もその一部であるというフィクションを超えた芸術的な映像表現に感動。



 しかし、後半まさかの展開になり驚きました。もっとトランスジェンダーについて知りたいと痛感。エンドロールに【トランスジェンダー指導】の項目があり、どのような指導をしていたのかメイキングなどあったら見てみたい。


 家族の問題と社会課題がリアルに描かれて、バレエの美しさからは切なさや愛しさといった感情がリンクして伝わりました。



 この作品からトランスジェンダーの方への理解が深まることは当然の願いとして、ラストのような結末にさせないためにも、社会でできることを増やしていく選択肢が必要なんだと思います。



 もし私がトランスジェンダーの人を主人公に映画を作るなら、コメディ路線で表現します。当事者が亡くなる映画はあまり見たくありません。(見返したくないから) フィクションだからという理由でも、介護士としてサポートが必要な人のケアをさせていただいている以上、死なせたくないのです。
 この辺りは今の中国映画に共通する部分があります。中国映画は中国人を死なせません。それでハッピーエンドの大円団!
例:『プロジェクトV』(2020年 中国)


介護福祉士として感じたこと

 一点、気になったのは、凪沙の「ボランティアさんかと思った...」という台詞です。目が見えなくなり排泄の処理を他者に任せている設定であれば、おそらくこの状態から推測すると生活保護を受けながら介護士などの訪問が入っていると思います。もしくは都の職員や、保健所、社会福祉協議会など系列事業からの訪問が考えられます。
 なぜ凪沙は「ボランティア」と言ったのでしょう? 性転換の手術後のトラブルはおそらく平成中期頃と推測します。令和の現在ではほとんど事故はないと聞きます。(私の知り合いの医療関係者やトランスジェンダーの人などから)
 するとこの物語の時代背景は今ではなく20数年前では?と考察しました。原作があるようなので、詳しくは小説に書いてあるのかもしれません。あくまで介護福祉士として私の見解です。
 凪沙のような重度の介助対象者になると、ボランティアに任せることは難しいです。なぜなら枕元に吸引機が置いてありました。吸引を扱うには医療従事の資格が必要になります。あと部屋中に散乱するゴミ、ハエ、異臭から判断すると極めて質の低いケアを受けています。そう思うと悲しくて涙が流れました。
 訪問後はゴミを捨てるのはもちろん、血のついたティッシュを山のように置きっぱなしにはしません。介護現場として信じられない光景です。これを取材を元に描いたのであれば表現者(クリエイター)として拍手を贈ります! メディアでは報道されない事実として受け止めなければなりません。逆にフィクションとして描いたのであれば過剰な演出かも。性の悩みで苦しい思いをされている方々も本作を見るでしょうから作り手のアプローチが問われてきます。
 私は障がいのある当事者たちと2007年から映画を作ってきました。そんな体験から他の誰も思わない感想をここに残します。





マニアックコラム


 タイトルバックの次の新宿駅前カットは『新宿インシデント』(2009年 香港・日本合作)でジャッキー・チェンさんも座っていました。新宿で黄昏たり待ち合わせはココ!という定番スペースですね。予告篇の12秒のところ注目 ↓

 

 私が初めてエキストラで参加したドラマは『いいひと。』(最終回)です。日本映画学校の授業を休んで千葉ロケに行った記憶があります。草彅剛さん演じる北野優二がマラソンに出場するシーンだったので、何テイクも走る姿を目の前で見ました。沿道で旗振って応援する一人として、全国ネットではっきり映りました!

 あれから23年後の草彅さんも素晴らしい俳優です。




感謝

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スタジオウーニッシュ代表
映画監督と介護福祉士:堀河洋平


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※当記事の写真は『ミッドナイトスワン』の公式Twitterからお借りいたしました。感謝!


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