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女子高&大生に”チャット”でユーザーインタビューしてみたら、かなり良かった話

こんにちは、WHITE Inc. の瀧野です。

とあるクライアントさんの、女子高生&女子大生を想定ターゲットにした新規事業開発のご支援をすることになり、彼らの潜在的な欲求を探るためユーザーインタビューを実施しました。

今回インタビューに用いたのは「チャット」。WHITEとしては新たな試みでした。取り入れてみたところ、いろいろと気づきを得たので本稿で共有したいと思います。

目次:
・チャットインタビューの実施方法
・気づき
 
- 対若年層のチャットのメリット
 -  チャットそのもののメリット
 
- 若年層×チャットインタビューのコツ
・まとめ


チャットインタビューの実施方法

今回はチャットインタビューのツール「ChatCast」を使いました。

「ChatCast」とは?

ライブチャット:複数人でのライブチャットを楽しめます
編集:チャット後に注釈や画像を加える編集ができます
シェア:SNSで共有して様々な人に読んでもらいましょう

-ChatCast HPより

チャットルームを作成すると任意のURLを発行され、そのURLに招待された人たち同士で、チャットを開始することができるサービスです。


以下、ざっくり調査概要について。

調査対象者:女子高生/女子大生

調査目的:想定ターゲットの購買行動の現状やその背景にある欲求を探る。※インタビューの発話録は次フェーズの「本質的な欲求/体験価値を導出する”KA法”に活用します。KA法について詳しい記事はこちら

調査手法:実験的に以下2パータン両方実施。
①対象者を(3-4名)複数集めた「グループインタビュー」
②対象者とインタビュアー1対1の「デプスインタビュー」

調査時間:約1時間/回

調査手順
①インタビュー対象者をリクルーティング・決定
②事前にChatCastのURLを対象者に送付
③指定の時間になったらチャット開始

インタビュー風景はこんな感じ。↓

メインのモデレーター(チャット記入者)を1名たてます。モニターにチャット画面を映し、同席メンバー全員が見えるように。同席者は会話で気になった点やさらに聞いてほしいことがあればリアルタイムにモデレーター伝えます。その場に参加できないインタビュイー側メンバーも、遠隔でチャットの様子を閲覧することができます。


以下、やってみた気づきです。


対若年層のチャットのメリット:本音が出やすい

LINEなどのSNSの普及により、若い世代ほど対面や電話を嫌う傾向にあります。顔出ししない、表情も声伝わらない、返答を考える時間の猶予がある”チャット”のほうが、彼らはコミュニケーションがとりやすい。特に、相手が初対面や知らない人だとその傾向は顕著で、最近では長野県教育委員会がLINEを使った悩み相談窓口を設けたところ電話相談窓口と比べ、約10倍の件数に上ったケースもありました。

潜在的欲求を探るためのユーザーインタビューでは、できるだけ彼らから「ぶっちゃけ話」を引き出したい。そのため、今回のターゲットにおいてチャットは非常に有効な手立てでした。

ただ、対面のインタビュー同様、すべてが本音ではありません。嘘や矛盾を見抜く洞察力も必要です。


本音を探るヒントは「返答時間」

返答に時間がかかった、ということは、その返答に隠れた様々な背景が想像することができます。

「返答に悩んでいそうだから普段全く意識してない事柄なのかも…」
「考え抜いた答えなので真意ではないのかもしれない…」
などなど。

その「会話の間合い」をインタビューに参加していない関係者にも共有できないか?WHITEでは、チャットキャストのログデータをダウンロードし、返答時間にかかっているものを可視化できるようにしました。

▲チャットのHTMLファイルをWHITEで加工したもの。会話の間を30秒ごとに「考え中」と表記


こうすることで、振り返りしやすく、参加していないメンバーにも会話の温度感を共有することができます。


チャットそのもののメリット:

①発話録の書き起こし作業が不要 ←超重要

インタビュー終わった瞬間、ログデータを即関係者に共有できるのはめちゃくちゃ便利。クライアントにすぐ報告できるし、発話録の分析を五月雨で進めることができます。書き起こし作業の工数、外注コスト、ともに削減することができ、進行スピードがぐっとあがりました。

②場所の拘束がないからリクルーティングしやすい

今回インタビューのスケジュールが非常にタイトでした。対象者が見つかればコンタクトを取り、次の日にはチャットを開始、というテンポで進行していきました。いつでもどこでもインタビューができるので、対象者はもちろんのこと、こちらも融通が利き、スケジュールが立てやすかった。


チャットのデメリット:

グループインタビューには不向きか?

例えば、Aさんある発言に対してもっと掘り下げたい時、他のBさんCさんの返答を差し置いてAさんにだけ突っ込んだ質問を投げかける。この時、対面の場合2ターンぐらいのやりとりを1to1で会話しても気にならないのですが、チャットの場合タイピング等で若干会話に時間がかかるため、他の参加者の置き去り感が漂います。それを予防するためにBさんCさんにも別の質問をしたりするのですが、会話が進むと誰にどの会話をしているのがわかりづらくなり、カオスな状態に。対象者複数人の場合のファシリテーションの難易度がとても高いです。

今回は購買行動とその潜在的欲求を”深く掘り下げる”ためのインタビューであったため、グルインは不向きである印象でしたが、一方で、コンセプト需要度調査などは対象者同士で相乗りしやすく盛り上がるようなので、調査目的による相性も今後検証したいとおもいます。


若年層×チャットインタビューのコツ

①リアクション・相槌大きめに。とにかく共感して空気を温める。
②共感するためにテーマの事前インプットが大事。
③モデレーターは
タイピングが早い人を

質問と返答が1:1ではなく1:2、3ぐらいになるのが理想。こちらが質問をしなくても、自然と向こうから話してくれると、内容に深みが生まれ、よいインタビューになります。モデレーターは「へ〜〜!!」「なるほど!」「笑」...みたな、少しラフ目の対話を心がけると、空気が温まり、本音が出やすくなります。「ぶっちゃけ、、、〇〇ってどう思います?」など「ぶっちゃけ」をつけると、言葉通りぶっちゃけてくれることも。

会話が盛り下がっちゃうケースは、基本的なワードに「それってなんですか?」と質問をしちゃったり、モデレーターのレスが遅かったりして、流れを止めてしまうこと。ですから、コツ②③も重要です。


まとめ

WHITEでは、新規事業/サービス開発による企業のデジタルトランスフォーメーションをご支援していますが、そのデザインプロセスもデジタライゼーションできないか、常に模索しています。今回、発話録のデジタル化により、書き起こしの作業工数/予算を削減し、また、メンバー内の共有がスムーズになることで、進行スピードが向上しました。

今後もプロセスのデジタライゼーションを意識し、このあたりのノウハウも蓄積していきたいと思います。

他のメンバーがワークショップのデジタル化について紹介している記事があるのでこちらもぜひッ!


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