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札束とボングと二匹の犬と

ヤーバーの次の日のことはハッキリと記憶している。

明け方にキムとフィッシャーの家まで行ってボングを吸ってると、フィッシャーの彼女が帰ってきて軽くご挨拶する。

バイクに荷物があるから取ってきてと頼まれて持って戻ると、そこから札束とホイップクリームを作るエスパーマ用のガスが出てきました。

フィッシャーは金勘定、他のみんなはバルーンを膨らませて各々楽しむ。

バルーンはほんの何秒か脳イキしたみたいにうっとりする優れもの。

彼らの話だとスカンクランドでのイベントはまあまあの売り上げだったらしいのだが、機材のトラブルのせいで音がクソすぎたのが反省だとか。

後日ハリーに聞いた話だと終盤に銃を打ちたいヤーバーフリークのローカルが押し寄せてきて、蜘蛛の子散らすように帰ってきたとのことでした。

そんなタフな状況でマイタイは仕事してるのかと関心しながら、タバコに火をつけて次のバルーンを膨らます。

気がついたら2時間ほど眠っていたことに気がついて、辺りを見回すと下半身丸出しのキムと全裸のフィッシャーの彼女、パンイチのフィッシャーと全部着ている私が転がっている酷い有様でした。

帰るよーと声をかけながらボングを吸って、バイクにまたがると二匹の黒い犬がそれを阻止するように絡んでくる。

キムの犬と元々その家に住んでる犬はかなり気性が荒く、後ろで結んだ私の髪の毛を噛みちぎる勢いでアタック。

たまらず転げながら犬をひっぱたたいて命からがらその場を後にしたのでした。

そのまま夜まで起きていようと思ったもののトライバルのハンモックでうっかり寝てたりして、眠い時は眠れるものなのだと実感して夕飯を食べに出かける。

ウォーキングストリートのコームヤーンとビールで疲れた身体を癒しながら、いつも通りに酔ってめちゃくちゃなピロイとお話しする。

やはり何を言ってるのかわからないけど、彼の目はとても優しい。

その後は古着屋のボーが店の前でガネーシャにペイントしてるさまを眺めたり、ジャズハウスをちょっとだけ覗いていつも通り盛り上がっていないのを確認して帰宅。

するとドミトリー一人部屋だったはずが謎のインド人がそこには眠っていて、起こさないようにコッソリとベッドに横になると目を閉じてその日のことを反芻したのでした。

しかし思い出すのはしょうもないことばかりで、バルーンでアヘ顔になったウェールズ人のあの眼差しやら、シャワーで借りたタオルの生臭さぐらいのものだ。

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