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草木染とごぼう畑

 

草木染とごぼう?


 滋賀県多賀町桃原地区は、かつては、ゴボウの名産地。標高350mの鈴鹿山系にある集落です。石灰岩の上に堆積した赤土と、冷涼な気候が高級ごぼうを育む産地となったようです。
  江戸時代の文献に「多賀午房」とみられます。昭和半ば頃まで、お多賀午房がなければ正月が迎えられないと、京都では高値で取引されていたそうです。

お多賀ごぼう人気のわけは?


  かつてのゴボウは太くて、割らないとおせち料理に使えませんでした。しかし、多賀のごぼうは、細くて薫り高くサックっとした歯触り。細いので割らずにそのまま使えて、お節料理のたたきごぼうには欠かせないと、大人気だったそうです。
  京都の料亭で使うのに、多賀午房が争奪戦となったそうです。そんなことなので、値段も法外だったと。ゴボウが今日スーパーで並ぶ細さになったのは、多賀午房のブランド力が影響したとか。

多賀ごぼうの復活!


 戦後、杉植栽が始まり、燃料が薪からガスに変化した頃からゴボウの生産は下火になり、昭和50年頃には生産が途絶えてしまいました。 
  8年前、当時のゴボウ栽培方法を知る多賀町桃原(もばら)集落の方に学びながら、ゴボウ栽培を復活させるのに翻弄された方がおられます。栽培を継承するために、たくさんの人を巻き込み、ごぼう復活のプロジェクトを立ち上げられました。それが、桃原プロジェクトです。
  それにしても、すごいパワーです。一からの環境作りにかけた尽力には頭が上がりません。
  杉が植林された山を伐り拓き根をとりのぞき、赤土を耕す。鹿の食害から守るために、電柵を張り巡らせ、猿の上空からの侵入を防ぐために電柱を移動。 
  種まき、草抜き、収穫は桃原プロジェクト代表の人脈で県内外から100名を超える人が、山村の集落に集まり作業されます。

種まき作業
粘土質でとても重い土です
収穫も一本一本手作業で大変

畑の雑草が、たからものだった!


 3~4年前、ゴボウ畑に生える雑草が、コブナグサで黄八丈の染料、八丈刈安らしい⁈と判明。桃原プロジェクトのリーダーは自然観察指導員もされる植物に大変詳しい人なのです!

コブナグサ

ごぼう畑の副産物

手探りで、染めてみたところ、とても美しい黄色に染まることに感動!!



翌年から、染めの先生、青木正明先生に講師をお願いして、染め頃のコブナグサを刈りとるところからのワークショップを開催することとなりました。

染の科学を学びます
コブナグサを刈りにごぼう畑へ
思い思いに布を搾ります
とても濃い色に染まりました。
参加者の作品
コブナグサ

コブナグサは、思いがけずごぼう畑の副産物でした。



 




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