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今の学生に伝えたい、この余白こそ大人たちが全力で創りたかった未来の教育です

こんにちは、ソーシャルアーティストの川那です。

前回こんな記事を書きました。

特に授業のyoutube配信について多くの反響をいただき、
改めてコロナ時代の教育について皆さんの関心が非常に高いことを実感しました。

今回は、そんなウィズコロナ・アフターコロナの教育の未来について
私なりの考えをシェアさせていただきます。

今回の記事はこんな方にオススメ!
・教育に関わる全ての方
・学生(小・中・高・大)
・保護者 など

緊急事態宣言の延長が決まり、
我が子も、もう1ヶ月以上家にいるという状況です。
皆様はどのようにこの期間を過ごしているのでしょうか?

いまだかつて、
こんなにも不自由で膨大な時間ができたことはなかったのでしょうか?
特に保護者の皆様は、
お子さんの精神状態及び勉学の状況が非常に気がかりではないでしょうか?

社会の大人たちの不満が爆発している中で、
教育現場でも生徒や保護者、先生から不安な声が大きく聞こえています。

しかし、こんな時だからこそ一人の保護者として、
また元教育委員会の職員として、
日本の教育が目指す方向性について、
私が行政でみてきた世界をシェアし、
コロナ時代の教育との付き合い方について少しでも明るい議論が届けられれば良いなと思い、今回の記事を書きました。
前半少しカタイ話が続きます。
どうかお付き合いください><

見えづらい教育が不安を煽る

教育現場というのは不思議なもので、外から見るとほとんど見えない世界ですよね。

学校という閉鎖空間の中で一体何が行われているのか
国と地方でどんな議論が起こっているのか

多くの方にとって、非常に関心がありながらも、
見えづらさ故に、
行政は何も動いていない、動いてくれない
という印象をもたれる方も多いのではないでしょうか。

私は日本の教育は希望しかないと思っています。
にもかかわらず、
総じて教育に対して良い声を聞かない現状には
少し寂しさも感じています。

コロナ時代の教育のあり方を考える前に、
まず序章として、
そんな見えにくかった日本の教育(特に先端教育)の流れを簡単に紹介したいと思います。
日本の教育も意外と頑張っていたよ!と言う話です。

少し前から日本教育は大変革時代を迎えていた

上述の見えづらさは完全に行政の力不足です。
もともと国や自治体含めて”広報”は大きな課題とされています。
今後ますます情報の見えやすさ受け手を意識した資料作りが求められているのは間違いないでしょう。

その上で、過去、教育行政に携わってきた者として、
ここ数年は日本の教育界が千年に一度と言われるくらいの大きな変革期を迎えているということをお伝えさせていただきます。

大きな変革点はまだ直近の2016年1月。
その時、閣議決定された
未来社会のコンセプト「Society 5.0」から始まります。

現在の社会が「Society 4.0」であるとすると、
それが今後のテクノロジーの変化によって、経済発展と社会的課題の解決を両立し、サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)が融合した社会。
その姿が「Society 5.0」の定義です。
当時見た政府広報のイメージ動画がわかりやすかったので共有します。
(今振り返ると、もうすぐそこにある未来だと思います)

そこに向けて、教育も舵を切り始めました。
有名な動きとしては、
プログラミング敎育の必修化
英語敎育の早期化
などがありますね。

加えて盛り上がっているのが、官民連携によるSTEAM教育です。
(Science,Technology,Engineering.Art,Mathmaticsの頭文字をとったもの)
グローバル社会を生き抜く人材を育成しようと
行政と民間がタッグを組み、
日本の教育のために全力を注いでいたのです。
あんまり一般には知られていないのが悲しいですが・・・笑

<参考>
みらプロ(文科省)
未来の教室(経産省)

波に乗っていたかに見えた先端教育分野ですが、
その推進には大問題がありました。

それが、

学校教育の飽和です。

ゆとり教育の巻き戻しの動きもあり、
世は詰め込み教育の真っ最中
教科書が分厚い分厚い・・・汗

新しいことをやれるだけの隙間がなかったんですね。
授業のコマ数だけでなく、教員のリソースなど、全てにおいて隙間がなく、新しい教育を追加できる余裕がなかったのです。

日本の教育には隙間が無い・・・・

新しいことをやりたくても、
やれる隙間がない

これを解決するためには学校の教育を”圧縮”する必要がありました。
つまり、今まで何時間もかけてやってきたことを効率よく+早く終わらせて、余った時間で新しいことに挑戦する時間を作る。
という発想です。

そのために一斉型の講義授業の見直しが必要でした。

人によって最適な学習方法は異なります。
・先生の授業を1.5倍速で聞いても理解できる児童生徒
・3回くらい巻き戻して聞いてちょうどいい児童生徒
・講義ではなく、教科書を読んで理解したい児童生徒
・そもそも既に知っているから改めて学ぶ必要が無い児童生徒

多くの児童生徒がいる中で、
それぞれが個別に学習できる環境を用意し、
自分が一番効率が良い学習を自分で選んで探究することができれば、
一番遅い児童生徒に合わせて一律に授業をする必要はなく、
先に進みたい児童生徒を手持ち無沙汰にする必要もありません。

何より、先生は児童生徒とじっくり向き合うことができる
・その子にはどんな学習特性があり
・どんなことに悩み
・どう挑戦し解決しているのか
一斉授業では見えなかった「個」にフォーカスできる。
その上で、適切な声かけをする。
必要な子には今以上に手厚くサポートができる。
落ちこぼれを生まない仕組みを構築できます。

最近、文科省がGIGAスクール構想というものを打ち出し、
「児童生徒に一人一台PCを!!」と異例の大号令を発表しました。
唐突だったのでびっくりされた方も多いのではないでしょうか。

しかしその背景には、上述のように
学校学習の圧縮STEAM教育の実現に向けて、
歴史ある教育への挑戦の末に実現したことでした。
私の個人的な感想ですが、海外の先端教育に圧倒的に遅れを取っていた日本の教育がギリギリ首の皮一枚つながったような感覚でした。
本当によかった・・・

手に入れたかったもの

さて、長い前置きでした。
ここからが本題です。

真面目な話だったので、多くの方がもうここに来る前に離脱しているでしょう(笑)。
しかし、日本の教育に対して裏の人たちがどれほど真剣に戦い改善してきたか、そのドラマ無くして未来の学びは語れないと思ったのであえて紹介させていただいた次第です。

さて、一人一台PC環境が実現すれば、
医療カルテのように、個々の学習履歴がPC(クラウド)に紐づけられ、
その上で、個々の学習履歴や成績の傾向からAIにより必要な学習がオーダーメイドで提供され、
一人一人に合わせて最適な学習環境(学習カルテ)が構築できます。

学習効率は爆上がり、
5時間かけていた学習が1〜2時間で終わるかもしれません。

そこまでして莫大な投資をして、
大人たちは何を作ろうとしていたのか、

ずばり、それは「余白」です。

今の教育を圧縮し、その余白を使って
個人が
自分の意志で
これからの社会を生き抜くためにあらゆる可能性に挑戦できる。
そんな時間を必死になって未来のために生み出そうとしていました。

唐突にやってきた未来

大人たちが必死になって教育現場に生み出そうとしていた「余白」が、
コロナの影響で突然目の前にやってくることになりました。

当然準備していない皆さんは面食らったでしょう。
(もちろん我が家も)

それもそのはず、
「余白」を使いこなす経験を積んでいないからです。

教育現場で今後生み出されるはずだった「余白」は、
その使い方に慣れる過程も含めて、大まかに分けて下記4つの段階を経て教育現場で定着していくものと考えていました(あくまで私の個人的予測)

▽余白の第1ステージ
「”教師”が”生徒”にSTEAM教育を教える」

▽余白の第2ステージ
「”生徒”が学校が指定したSTEAM教材を使って自分のペースで学習する」

▽余白の第3ステージ
「”生徒”が多くのSTEAM教材の中から自分で自由に選び、場所を選ばずに学習する」

▽余白の最終ステージ
「”生徒”が、自分の将来のために、好きな手段で好きな時に好きな学習を行う」

最終ステージの学習イメージはこんな感じ(引用:42.tokyo)

しかし、今回のコロナの影響で、
学生は余白の使い方に慣れる段階を経ずに(もちろん先生方も指導のノウハウ蓄積できずに)、
いきなり最終ステージに放り込まれたと言えます(笑)

でも、これって遠からず今後やってくる未来だと思っています。

受け身ではなく、
主体的に、
ググってわかる知識をわざわざ学校で教えてもらう必要はない。

欲しい情報は自分で取りに行き、
学外を超えてコミュニティを作りに行く。
圧倒的に成長している同世代を知り、
世界を相手に自分なりのやり方で学ぶしかない。

1〜10まで与えられる教育に慣れている皆さんが、
今までいかに能動的だったかを実感し、
自ら考えて学習する一歩を踏み出すきっかけが、
このコロナ期間に得られれば、
日本の教育は間違いなく前進します。

正解はありません。
ゲームや遊びに没頭してもいいと思います。
本気で没頭すればすぐ飽きます。
そしたら次がきます。そしてその次がきます。
とことん追求してください。
やることがなくなっても、すっからかんの自分を楽しんでください。

大事なのは”自分で決める”こと。
これができる姿が、将来求められています。

小学1年生の我が子は学校からの宿題もなく、
ひたすら手持ち無沙汰だった上に、
親があまりにも勉強をやれと押し付けないので(笑)
業を煮やしてこんな物を作り始めました。

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予定表です(笑)
この時は、「主体性きたーーーー!」と思いました。
これを引き出すまで、あえてなるべく手を出さないというのがこれまた大変な苦労でしたが・・・苦笑

教(おし)えて育(そだ)てる教育はもう古い。
多量の「余白」が子どもの主体性を育てます。

(しかし、喜んでいたのも束の間、後日学校から大量の宿題が送られてきて、「せっかく自分で決め始めたのに、余計なことするなー!」と思ってしまったのはここだけの話・・・笑)

終わりに

今の学生さんは知らないかもしれませんが、
かつて「ゆとり教育」なる、詰め込み教育をやめようキャンペーンの時期がありました、実は私も、バリバリのゆとり教育世代です。

当時はゆとりを与えても、結果的にインプットの量が減り、学力は下がり、散々な結果だと批判されました。

世間的には失敗したとされるゆとり教育ですが、
私は”時期が早すぎた”と思っています。

あの時と今では選択肢の幅が違います。
学びのコンテンツは山ほどあるし、
究極学校に行くことだけが正解じゃない時代
国境も常識も超えられる流れはこれからも加速します。

”これからは「余白」を使いこなせる人が強い”

そんな未来が
一部の人にしかわからないような形で、飛び級でやってきています。

そんなに簡単な状況でないのは分かります。
身体的・経済的・精神的あらゆるものが不自由です。
そしてこの時代に対する訓練も耐性もありません。

どうか無理せず、
心にできた少しの余裕で、
今しか体感できない未来の教育を楽しんでみませんか。

<学びのネタに>
学びを止めない未来の教室(経産省)
子どもの学び応援サイト(文科省)

<ちょっと疲れたら>
新型コロナウイルス感染症関連SNS心の相談(厚労省)
新型コロナこころの健康相談電話(日本臨床心理士会)」

<ネット環境に困っていたら>
通信事業者の学習にかかる通信環境確保に関する取り組み(総務省)

<(番外編)事業者・学校向け>
EdTech導入補助金(経産省)

※他にも学生に有益な情報がありましたら
是非コメント欄などでご共有お願いします。

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