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歌詞

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ナイト

ナイト

お姫さまのお人形
くるくる髪の毛が きれい
いつだってわたしは
あなただけのお姫さまでありたい
触れて
愛でて
キスをしてね
愛を知りたいのよ
わたしのことばに価値なんてないように
あなたのことばに価値なんてないから
ことばなんていらない
ただ抱きしめてね

いつだってわたしは
あなただけのお姫さまでありたい
わたしのことばに価値なんてないけれど
あなたのことばは欲しくなってしまう
ことばだってち

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ふかふか

ふかふか

ふかふかベッドでまるくなる
急に寒くなった日
あなたの匂い
あなたの友だち
つま先は冷えているの

待っているね ずっと
この部屋で待っているね
あなたの帰りを
愛しいあなたを
この部屋で待っているね

ぬくぬくベッドでまるくなる
急に寒くなった日
あなたの本が
あなたの栞が
目の前に転がってる

待っているね きっと
この部屋で待っているね
素敵な未来が
明るい未来が
この部屋で待っているね

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ぬいぐるみ

ぬいぐるみ

扉しめたら さよなら
もう話しかけないでね
ひとりぼっちの部屋
チョコとフィナンシェ
今日はどっち 食べようかな

腕に包まれて眠りたいの
愛されるほうが 難しいけど
愛するだけじゃ さみしいわ

大きなぬいぐるみ ねだって
あなたの代わりにいたしましょ
抱きしめ返す強い温度も
優しい言葉も ないけれど
ひとりで眠りましょ

扉あけたら さよなら
もう帰りたくないのね
ひとりぼっちの部屋
カフェイ

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花瓶

花瓶

あの日
わたしが泣いた日
あなたの隣でわたし
限りなくひとりだった
てぶくろをしてたあの日

贅沢言うならわたしね
いちにち遊んで家に帰ったら
お花を飾った明るい玄関で
おかえりって
あなたに笑いかけてもらいたかったの

しずくが夜を割いて
あなたが愛を注いだ
透明の花瓶をじっと見てた
汚れた水でも花は生きてるから
わたしも笑った

あの日
わたしが泣いた日
わたしの隣であなた
さりげなく手を握っ

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細い糸

細い糸

冬がくると心がおちこむこと
「会いたいね」は「会いたいね」で返してほしいこと
やさしい言葉はあたたかいこと
同じ本を何度読んでも新しく感動すること
からだだけ元気なのがいちばんくるしいこと
「だいすきだよ」では伝えきれないこと
伝えきれなくてくやしいこと
新しい靴を履くとうれしいこと
風が冷たくてさみしいこと
夜になるとぎゅってしてほしくなること
たくさんたくさんしてほしくなること
心がひとりぼっ

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日記

日記

今日は
朝起きて玄関の掃除をしたの
お昼は昨日のシチューの残りと
買ってきたアップルパイをひとかけ
雨が降っていたから
最近お気に入りの音楽をかけて
車を運転したの
それで流行りの映画を観たのよ
わたしは泣いてしまった
あなたが隣にいなくても
わたし、感動して泣いてしまったの

今日は
朝起きておはようを言えなかったわ
お昼に美味しいご飯を食べても
ごちそうさまの声が虚しいだけ
雨が降っていたから

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あたたか

あたたか

たとえばいま
「プレゼント」について考えてみて
あなたはきっと
きらきらの指輪とか
つやつやのお財布とか
高価なものを思い浮かべるでしょう
わたしならね
わたしなら
あなたがいつも飲んでる珈琲に
よく合うチーズケーキと
本と手書きのメッセージカード
ね、嬉しいでしょう

そういうのでいいの
そういうのでいいのよ
そういうのが、いいのよ

たとえばいま
「一緒に暮らす家」を考えてみて
あなたはきっと

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ハコ

ハコ

世界でひとりの女の子が
あたしだったとして
あなたは世界でひとりの男の子になるの
あたしに選ばれるから

焦ったり泣いたりする夜は
あなたの声で蓋をしてね
怒ったり病んだりする夜も
あなたの腕で蓋をしてね

閉じ込められていたいの
戦争 鬼 鋭い目の犬
怖い怖くて抱きついた
お願いよ
優しくしてね

きらっと光った思い出には
あなたの声で蓋をしてね
くらっと揺れ動く心にも
あなたの腕で蓋をしてね

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足跡

足跡

髪をなびかせて
唇を開く
風の中 坂の上
光指す
君は微笑んで
その手を差し出す
鮮やかな 爪の色
眩しくて

どんな未来も愛せるように
君の手を取って歌ったんだ

憧れの色は
君の泣き声は
ひとつ残らず胸にしまっている
青い足跡が
君の足跡が
隙間なくこの胸を埋め尽くす
夢じゃなきゃいいな

明日会いたいって
耳元でそよぐ
掠れてる 低い声
目が泳ぐ
いつもより近く
「わたしのもの」って
胸の音

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映画

映画

なんで泣いてたのって
優しく聞くから
なんでもないよって
笑って答えた
わたしのなかのあまいところ

映画館の清潔な空気と
指をさするあなたの温度が
こころのおくに入り込んで
涙の栓をこじ開ける

わかるよ
いろんなことがあったねこれまで
これはあなたの物語
出会って別れてまた泣いて
笑って生きてゆく
例えば違う国の違う時代でも
同じ物語が流れてる

なんで愛したのって
小さく泣くから
大丈夫だよ

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涙の跡

涙の跡

 確かにかわいい。丸い瞳がくりっとして、りすみたいにぷっくりした頬が震える。控えめな声でくすりと笑った。

「どうしたんですか?」

 桂木さんは華奢な体をふっと浮かせて首に抱きつく。俺がベッドに背中をつけると上に乗ってきた。前後に揺れる動きに声が漏れる。

 確かにかわいい。でも、恵那じゃない、と思う。

 というより、思うより先に感じている。

「桂木さん」

 そう言って掴んだ手の大きさも指

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おみくじ

おみくじ

机の整理をしていたら
引き出しの奥の奥からたくさん
たくさん出てきた
おみくじ
あなたと引いたおみくじ

末吉だからって
占いなんて馬鹿みたいだと
あなたが不機嫌になった恋みくじ
眩い太陽見上げて
私は何も言わずに
汗ばんだ腕を絡ませた

ねえ神さま教えて
私の恋は不正解?
恋して愛してそれから
ふたりで生きていけますか

いろんな神社に入るから
お散歩のたびに毎回引いてた
毎回引いてた
おみくじ

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青一面

青一面

朝になったのね
すやすやと眠って
心地よく起きたら
空が青くなっていたの

ままにうそついたぶんだけ
おとなになるんだわ

鮮やかな青
目の前のすべてが青く酔う
何もかも捨てて
来てよかったわと
美しい空気に息を吐く

たどり着いたのね
すやすやと眠って
揺り起こされたなら
外はからり晴れていたの

ままにおこられたぶんだけ
しあわせになるんだわ

鮮やかな青
目の前のすべて青く沁みる
何もかも捨

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子ども

子ども

子どものとき 眺めた
じーっと眺めた道端の花
今見るとちっぽけで
どうでもいい日常

どうやって忘れたんだろう
どうやって思い出すんだろう

缶珈琲の転がる部屋
焦げたよな香り吸い込んで
あなたは目を瞑った
わたしは目を開けた
燦々と照るだるい朝に
焦げたよな香り広がって
あなたは語りかけた
わたしに語りかけた

子どものとき 知ってた
よおーく知ってたあたたかい腕
血管が浮き出たり
細くもろくな

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