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掌編

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2019年2月の記事一覧

掌編|沈黙

掌編|沈黙

この掌編は、1分以内で読めます

サテン生地のパジャマを着た彼女の、白さが際立つ両脚を見るのが僕は好きだった。剃り跡のチクチク感さえなく、サテン生地と同等の滑らかさを、僕の右手の人差し指は感じていた。彼女は一つ息を吐いて、僕の右手の甲の部分を覆い隠すように、小さな手を置いた。

「あなたの指で触れられる感触、私は好き」
「別にいやらしい意味じゃないんだ。ただそうやっていたいだけ」
「私があなたの耳

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掌編|寂寞

掌編|寂寞

この記事は1分以内に読めます

毛糸のマフラーを編んでいる
暖炉の残り火は、パチパチと音を立て
冬の静けさをさらに演出させた

前後に揺れる椅子の
そのリズムがあなたのリズムなのよ

普段、編みもしないマフラーは
歪な形を描いて行く

君が残した香り、その足跡の続きを
僕は不器用ながらもこの椅子に座って
君がよく座っていた椅子に揺られて
ワインを零したような濁りのあるくすんだ色を
別の手が紡ごう

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掌編|白濁

掌編|白濁

それは、遥かに美しい。銀色の白雪を背に、影が伸びる。幾分、細まったその影は、白昼の太陽の日差しによって眩しくなる、ひどく固まった雪の光と共に、私の進行方向に伸びている。眩しいのだ。一面が、化粧を施したように、美しい。

目を細める。空と地面が磁石の如く、引き寄せあって、中央に一つの線が出来上がっている。白色と藍色。この空間を、瞬き一つで、私は消すことができる。一瞬にして、世界が消える。

私は、

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掌編|静まることの先のこと

掌編|静まることの先のこと

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「あなたの匂いがする…」

寒そうにしていた彼女に、首のつまったカシミヤのニットを差し出した時、彼女はそれを両手に大事そうに持って、そうひっそりと呟いた。それは、吐息混じりの、淡い街灯の光が消えかかるような、頼りない声だった。

「あたたかいよ、カシミヤで出来てるんだ。毛布を着ているような、着心地さ」
「あなたって、いい匂い…」

日が暮れ肌寒くなる季節。薄手のカ

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