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「onedog」のミッション・ビジョンの作り方

🐶 はじめに

こんにちは、愛犬の健康管理とコミュニティアプリ「onedog」のリードデザイナーをしているZacky(山崎 優)です。
今回は、2020年11月に実施したブランディングアップデートの一環として進めた「サービスのミッション・ビジョンの策定」について、ぼくたちが実際に行った事例をご紹介しようと思います。

こういったプロジェクトは、サービスのフェーズや状況などの外的要因も関わっていて、経験したくてもなかなかできない希少性の高いプロジェクトなので、類似プロジェクトを進めている方や似た課題を持っている方の参考になれば嬉しいです。

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🚀 サービスにミッション・ビジョンが必要な理由

一般的に、ミッションは「果たすべき使命」、ビジョンは「実現したい未来」と訳すことができます。それをぼくたちのチームでは更に噛み砕き、こんなメッセージを伝えるものと解釈をしています。

サービスを通じて、どのように生活や人生、
また社会に対して影響を与えるか。

これをミッション・ビジョンという形で明文化することで、既存・将来のユーザーへのメッセージになると思っています。では、なぜメッセージとしてミッション・ビジョンを伝える必要があるのか、対象者ごとに簡単にまとめました。

①一般ユーザー向け
 - どんなサービスかがわかる。
 - サービスの世界観がわかる。
 - 自分にとって必要なサービスかどうかがわかる。

②社内メンバー向け
 - なんのために働くかをイメージできる。
 - 自分が共感できるサービスかどうかがわかる。
 - 愛着・帰属意識が高まり、働きたい気持ちを醸成できる。
 - サービスづくりで迷った時の意思決定に役立つ。

ぼくたちがこれから目指す「未来」についてミッション・ビジョンとして言葉にして共有することで、ぼくたちなりの「正しさ」を追求しながらサービス開発をしていけるのではないかと思っています。アプリをはじめ、今後サービス展開していく上で、時には迷うこともあると思います。ぼくたちの決めたミッション・ビジョンは、そんな状況でも確実に前に進んでいくための「みちしるべ」にもなる大切な言葉となっています。

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🤔 onedogのミッション・ビジョンの決め方

ここからは、実際にぼくたちがミッション・ビジョンを決めるためにどんなどんな方法で作ってきたか、段取りと気をつけるポイントをご紹介していきます。まずは大枠の段取りは以下の通りになります。
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①ブレインストーミング事前インプット
②ブレインストーミング(以下、ブレスト)
③磨き上げ
④最終化
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続いて、段取りごとに説明していきます。

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①ブレスト事前インプット
ブレストを始める前に、サービスの「これまで」と「これから」について詳しく共有しました。ペット市場や課題、リリース当初のコンセプト・設計思想などをはじめ、実際にサービスを使ってくれている方や愛犬家の方々に実施したアンケートやインタビューの調査結果を通じての考察なども共有しました。弊社には入社1年未満の新しいメンバーが多く、これらを共有することで、サービスの全体感やこれまでのサービス開発の文脈を知ってもらい、議論を無駄なくムラなく進めることができました。

ポイントは、メンバー間の知識レベルを事前にできる限りそろえることです。一緒にワークするメンバーのサービス理解度や知識レベルにギャップが大きい場合、知識の少ないメンバーからのアイデアや意見が出辛くなることがあります。そこで事前のインプットでできる限り知識レベルをそろえることが重要になってきます。具体的にどんなインプットをしたかというと、onedogがこれから市場でどういったポジションを取っていくかを俯瞰して考えられるように、同業他社のミッション・ビジョンの参考を収集し、では他社では「犬」のことをどう呼んでいるか、どれくらいの抽象度でビジョン・ミッションを掲げているか、などを共有しました。

「あまりアイデアの幅が広がらなかった」「使える案が出なかった」などの原因としてはこれらが不足している場合が考えられます。サービスへの理解度が高いメンバーがワークをリードする場合がほとんどだと思うので、そんな時こそ、その他のメンバーのサービス理解度・知識レベルには特に気をつけて進めると良いと思います。

▼ペットマーケットのファクト

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▼同業他社のビジョン・ミッション参考収集

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②ワークショップ形式でのブレスト
このブレストは1時間1セットで発散→収束を行うワークにしました。ワークの進め方や時間配分はこちらです。

・導入(2分)
  ↓
・個人で案出しワーク(15分)
  ↓
・各自発表(2分 x 8人 = 16分)
  ↓
・投票(1分)
  ↓
・各自説明(2分 x 8人 = 16分)
  ↓
・まとめ(5分)
※バッファを考慮して90%くらいの時間を埋めるようにしておく。

実際にぼくたちが行ったブレストの方法と流れを具体的に説明していきます。まずは、8人の参加者を4人ずつの2グループに分け、個人で案出しを行います。頭に浮かんできたキーワードを洗い出し、繋ぎ、コンセプトや提供価値に沿ったメッセージになっているかを照らし合わせながら文章にしていきます。ここでは細かい表現のことはあまり気にせず、とにかく多くの案を出していきます。その際、文章を一文で書くのではなく、キーワードや助詞ごとに付箋で細かく分けながら文章を作るようにして進めると、単語や文節の入れ替えやアレンジがすごくスムーズに行えます。今回はオンラインだったのでmiro上で行いましたが、実際に行う場合も、ポストイットなどの付箋を使い、同じ手法で進めていくことができます。

▼案出しの一例

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その後は、グループ同士で出た案を発表し合い、個人で投票を行います。気に入った案に対して、1人3票を理由を添えて投票していきます。そして多くの票を集めた案を3案、次のステップへ持ち込みます。

この段階でのポイントは、タイムキーピングをシビアに行い、時間内に収束まで確実に行うことです。ブレストは、どうしてもアイデア展開や発表に時間を取られがちなので、収束フェーズを経た明確なアウトプットがないまま時間いっぱいになってしまうことがあります。そうなると、その後は誰か個人が収束作業を巻き取ったりすることになり、結果的にメンバー間での合意形成がちゃんとされていない巻き取ったメンバーの独断と偏見で決めることになりかねません。また、そのリスクヘッジとして、それをメンバーに説明する余計な手間も時間も必要になってくることもあり、良いことがありません。何を、何人で、どうやって決めるかにもよりますが、そもそもの全体の時間の確保と時間配分を徹底して、時間内でアウトプットを出すようにすると有意義なワークショップになると思います。

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④磨き上げ
全メンバーで発散・収束をしたあとは、人数を減らした検討メンバーでクリエイティブの磨き上げを行いました。ブレストはディレクターやエンジニアなど含め総勢8人で実施し、発散して20案、収束して3案まで絞り込みました。3案といっても全く違う方向性のものではなく、サービスの根幹となるメッセージの大枠は同じで、あとは枝葉となる表現の部分に差が出ている状態でした。このステップでは、CEO小野田・CPO後藤・リードデザイナーの山崎の3人での議論を重ね、3案のミッション・ビジョンのセットを1セットに仕上げました。

この段階でのポイントは、分解と再構築を行うことです。3案の文章を一度単語に分解し、同じ単語あるいは同じ意味合いの単語を見つけ出し、その共通の単語を使って文章を再構築しました。再構築したあとは、元の3案のひとつずつに立ち戻り、意味にブレがないか確認し、問題なければ最終化に進みます。このフェーズは、既に材料が出揃っているものを一度バラして組み上げ直す、といったワークなので、創造的でクリエイティブな0→1の思考よりも、バランスを取りながら既存のアセットを応用して最大化を図る1→10の思考が求められるワークにです。

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⑤最終化
いよいよ1案まで絞り込んだものを最終化するのがこのフェーズになります。ここまで磨き上げてきたら愛着も湧いてきて、FIXするのが寂しくなってくる頃です。このフェーズでは、その慣れ親しんでしまったミッション・ビジョンを改めて見直すことが必要になってきます。「本当に伝えたいメッセージが伝わる表現になっているか」「回りくどくないか」「語呂に違和感がないか」等々、さまざまな観点からクリエイティブの枝葉を調整していきます。

この段階でのポイントは、俯瞰、客観視することです。ここでぼくたちが行ったのは、全社メンバーへの共有と社外メンバーレビューでした。全社メンバーへの共有は、全くの別案件を担当しているメンバーなども聴くため、できるだけ多くの社内メンバーが入っているSlackのチャンネルに投稿しました。

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実際にメンバーからもいくつか指摘をもらうことができ、更にブラッシュアップすることができました。また、この共有では意見や指摘だけでなく、感想やスタンプなどリアクションを求めるようにして、社内メンバー間での合意形成やワクワクの醸成にもつながるようにしました。

社外メンバーレビューは、株式会社マネーフォワードでVPoCを務める金井さんにお願いしました。

金井さんは、前職でお世話になっただけでなく、ご家庭で犬を飼っており、サービスにも興味を持ってくれていたためご相談させていただき、デザイナー兼ユーザー目線でミッション・ビジョンのレビューをしてもらうことになりました。レビューを通じて、表現・言い回しについて指摘してもらうだけでなく、「なぜこの表現をしないか」といった、やらない理由も考えながら更に磨き上げることができました。

長い時間同じメンバーだけでクリエイティブに向き合っていると、どうしても慣れてきてしまい感度が鈍る事があるので、そこは自分たちだけで解決しようとせずに頼れるのであれば、ぼくたちのように別のメンバーの知恵や感性を借りるのもクリエイティブの質を上げる重要な手段になると思います。

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👀 さいごに

できあがったミッション・ビジョンがこちらです。

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ここまでご紹介してきた検討・意思決定の段取り・方法は弊社のonedogチーム独自の解釈や進め方を多く含んでいますので、あくまで一例として見ていただき、もしも実際に取り組むことになった時には参考になれば嬉しいです。

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