TECH.C.札幌 ライトノベル&シナリオライターコースのマガジンです。学生作品やコンテスト情報、地元札幌のイベント情報などを発信していきます!【毎週月曜日更新】
札幌デザイン&テクノロジー専門学校・ノベルコースによる学園祭用マガジンです。6月10日、11日にリレー小説を投稿する予定です!
we areの水平思考ゲーム用答え掲載マガジンです
「……ママ、ただいま。一年ぶりだね」 「裏口が開きっぱなしだったよ。表は鍵がかかってるのに不用心だなぁ」 「なあ、こっちを見てくれよ。なんの料理か知らないけど、一年ぶりだぜ?」 「……わかった。続けてくれ、勝手に話すからさ」 「その……家に戻りたいとか、そう言う話じゃないんだ。虫が良すぎるよな」 「ただ謝りたくて。全部ママがあってた、俺が間抜けだった」 「小さい頃、俺がケントに……高校ダブりのワルに殴られた時、ママ言ってたよな。『復讐なんて考えるな、正しく生きて見
真っ白い棺に似た箱は小学生には大きすぎた。 十九の誕生日に届を出して三日。棺の中で安物の毛布に包まれ、妹は玄関に置かれていた。なんて声をかけようか、考えるうちに彼女は目を覚ます。 「や、どうも」 平凡過ぎる呼びかけに、妹は笑いもせずに返してくる。 「おはようございます。貴方が私の?」 「兄です。暫くよろしく」 「……」 「なにか?」 「運がいいな、と思いました」 共同生活の初動はまずまずといった手応えだ。 「兄さん」 「なにか?」 「これはなん
「うおおおお! すげえぜこりゃぁ!」 賞金稼ぎノーマンの絶叫は昼の荒野に殷々と響き渡った。トレーラーを改造した移動ジャンク屋に電池の買い出しに来ていた彼は、長年追い続けていたお宝を前に絶好調だった。 「……うるっせえ、鼓膜がいかれる」 ジャンク屋の店主、ストーカーが顔をしかめながら言うが、ノーマンに遠慮はない。発見したお宝を掲げる彼は謎の鼻歌を歌いながら小躍りしだす。 「おい! 万引きは銃殺だぞ!」 ストーカーに咎められ、舌を出したノーマンは頭を下げる。 「
今は昔のことであります。とある小島で封印された鬼の女王沖姫と、その召使の雌鬼マカミが退屈な日々を送っていました。 「温泉行きたぁい!」 退屈した姫が絶叫しますが、マカミは知らんぷり。おどおどした手つきで食事の用意を続けます。姫は立ち上がり、マカミの耳を掴んで再度叫びました。 「温、泉、行き、たぁい!!」 「うひぃ!」 耳を押さえてマカミは後退ります。召使の情けなさに呆れつつ、姫は頬を膨らませてマカミの両耳を引っ張り始めました。 「聞こえているではないか。どう
学校の七不思議の一つ、一人でに鳴るピアノが演奏を始めた。だが女子生徒は安堵の表情を浮かべている。 答え↓ 罰ゲームで深夜の音楽室に肝試しに来させられた女子生徒。アラームをセットし音が鳴るまで何も起こらなかったら帰って良いと言われて向かった。アラーム音にはピアノの演奏がセットされており、音楽室のピアノが奏でた曲も同じものだったため、生徒はアラームが鳴ったと勘違いし音楽室を去った。
マウスピースを舐めた男子生徒が音楽室で見つかった。だが舐められた女子生徒は男子に泣いて謝ったという。 答え↓ マウスピースが舐められているのに気付いた女子生徒。化学部の男子生徒に痺れ薬を貰いピースに塗ったが、相変わらず舐められている。偽物の薬を渡したのかと怒る女生徒は、男子生徒に無理矢理マウスピースを舐めさせる。男子生徒は昏倒し、女生徒は泣きながら彼に詫びた。
みくちゃんへ また寒くなってきましたが元気にしてますか? おじいちゃんは変わらずかりに出かけています。この前はわなにかかった鳥を水炊きにして食べました。またつかまえられたらそっちに送ります。今日はめずらしい事があったのでお手紙を出しました。 去年の冬に鍋にしていっしょに食べたタヌキをおぼえてますか? おじいちゃんはタヌキの骨をおはかに入れておいたんだけど、六月くらいからおはかの周りにタヌキがあらわれるようになったんです。 冬ごもりも終わったのに痩せこけたタヌキでした。
夏至の日、ギリシャではイチジクの木の下に自分の持ち物を置くと、将来の伴侶の夢が見られるという伝承がある。 高校一年のうだるように暑い日。本で埋まる段ボールが山積みになった彼の部屋で、愚痴を垂れていた私にあの人はそう言って外へ繰り出した。そんな素敵な日なのだから文句言わず今日を楽しもうと、鬱陶しくなる明るさで言って私の前を歩いて行く。坂を踏みしめる、履き古しのスニーカーをフガフガ言わせながら。 「ちょっと、どこまで登るの」 陽気とは縁遠い私は鼻をフガフガ言わせるのを耐えな
オッサン二人が勇者として異世界に送られて、片方が美少女にされてしまう話。 オッサンたちを異世界に送った女神によって、二人には互いに魅了される呪いがかけられてしまい、一線を超えてしまうことを恐れる。呪いを解くには魔王を倒すしかない、タイムリミットが来る前に急いで倒せ! というあらましだ。 片方のおじさんその1、橘日向は普通のサラリーマンで非モテ、オタクの楽観主義者。転生の際、酔っ払って絶世の美少女に生まれ変わりたいと愚痴ったせいで美少女にされたのだが、金髪碧眼のやや釣り目
時間。時間。時間。 時は存在しないとぬかしていた科学者がいたような気がするが、現代においても時間は殆どの人にとってかけがえのない存在として丁重に扱われている。 特に休日。人によっては年に三日しか与えられない、天から遣わされた貴重な施しを有効活用することに市井の人々は心を砕く。憑りつかれていると言っても過言ではない。 何を隠そう私もその一人。久々に取得した休暇を活用し、特急列車で一路黒海の避暑地を目指す途上にある。一応の目的は観光地でのバカンスだが……物見遊山で休日を終
「あの、小暮さんですか?」 言ってしまった。俺は膝が笑いそうになるのを耐えながら、駅前のベンチに座る爺さんに声を掛けた。 「そうだけど、アンタは?」 「俺、息子さんの同僚です。ちょっと息子さん来れそうにないんで、代わりに金だけ受け取りに来たんですけど」 「徹の……友達か」 バレたか? 含みを持たせる爺さんはふらふら体を揺らしているが、その目が真っすぐ俺を見つめ返してくる。覚悟はしてたけど、実際向き合うとしんどい。眠っちまいそうな目だが、その目がいつ真実に気付くか気が気でな
旅先で、小さな画廊に入ってみた。 昔は雑貨屋だとかの十二畳ほどの、寂れた商店街の小さな店だ。 建物の中は壁一面に絵画が並んでいて、白い砂浜に松が生えた海岸の油絵だった。別に、その絵が特に印象深いわけでは無い。 同じ砂浜がモチーフの絵ばかりが、その画廊にはかかっているのだ。 「絵は全部、私が描いたものです」 初老の白髪髭の店主はそう言って、売り物のコーヒーをサービスしてくれた。 画廊からそう遠くない場所にある砂浜で、幼いころから店主は浜へ遊びに行き、砂浜の絵を描き続
その女と出会ったのは、小降りかと思った雨が土砂降りに変わって、私の住む教会の屋根をけたたましく叩き始めた夕暮れの事だった。 「こりゃあ、また雨漏りするかな」 一日を屋根修理に費やしてうんざりしていた私は、自分のハゲ……つつましい毛髪の頭を掻いた後、修理した箇所が完全かどうか見回る事にしたのだ。 牧師というのは本来、もっと信者のための有意義な事に時間を費やすべきなのだが、いかんせんこの教会に従者はいないし、私には嫁も居ないので全ての仕事を自分でこなすより他は無い。 ああ
『――ロンドン市民には地下鉄への避難が勧告されており、周囲の地下鉄入口が――』 「出撃まであと一分、さっさとエンジンを動かせエイプども!」 小隊軍曹の怒鳴り声にせっつかれ、俺達は嫌味を垂れながらエンジンを起動した。戦車のガスタービン機関の喧しい嬌声が余計苛立たせる。 「砲弾は確かめたな、何も異常は無いか」 「うっせえよオッサン! 俺達を幾つだと思ってんだ!」 「健康優良不良男児を舐めんじゃねえ!」 「不良なのはおつむの方だろうが!」 軍曹とガキどもの言い合いを無視して、俺
「ガキの頃は住んでる場所でガッコが決まるもんだから、周りに金持ちのガキが居たりするだろう」 ちゃぶ台を挟んで向こう側、空になった一升瓶を抱えた親父が話しだした。 「ソイツは俺みたいな貧乏人に高い玩具やら新品の服や見せびらかすんで実に鼻につく野郎ばかりだ。お前が気にしてるのもそんな手合いだろう」 「うん」 正直その口が動く度臭い息がかかるんで不愉快だが、聞かなきゃ聞かないで鉄拳が飛んでくるんだから救いがない。頬が晴れてるので口を動かすのも億劫だった。 「でもな、そんなもん張り