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英語の基本日記

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英語関連の話題について書いています。英文記事の紹介とか、文法の話とか、使える英語フレーズなどです。ちょっと高度かもしれませんが、どうか気楽にお読みください。
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2018年8月の記事一覧

英語が「コミュニケーションの道具」なら、なおさらていねいに使いたい

英語が「コミュニケーションの道具」なら、なおさらていねいに使いたい

「外国語はコミュニケーションの道具だ」という言う人がいる。

言葉は便利に使えればそれでよく、とくに外国語は、細かいことを気にせずにどんどん使おう、という意味をこめて言うことが多いようだ。

外国語に浸ると無意識のうちに異文化にとりこまれ、自分本来の文化的アイデンティが危うくなると考える人もいる。そういう立場からは、「外国語は道具だ」というのは、

「外国語は、あくまでも道具にとどまるべきだ」

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はじめは a(n) で 2回目から the?

はじめは a(n) で 2回目から the?

ある作曲家が、「どうやって曲を書くのですか?」 と質問されて、

「まず、始めの部分を書きます。次に中間部分を書きます。そして終わりの部分を書けば、出来上がりです。」

と答えているのを読んだことがある。

人を食った言い方だが、ある意味で、これは正確な返答だ。ひとつの曲には、必ず始め、中間、終わりがあるから。

英語では、この既定性を the で表現し、

the beginning  →  

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英語は「お稽古」でいこう 岡倉由三郎のリアルな提言

文科省が、「英語が使える日本人」を育成する戦略構想を発表したのが2002年。

これは「大多数の日本人は英語が使えない」ことを政府が公式に認めたということでもある。この状態は、明治以来の100年間、変わっていない。

昭和初期から長年ラジオ英語講座の講師をつとめた岡倉由三郎(おかくら・よしさぶろう 1869‐1936)は、約100年前の1911年に、次のような文章を書いている。

たとえば長男は中

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翻訳大国・日本の有利と不利

日本の文化にとって、「翻訳」は大事な要素だ。

外国の文献を翻訳する作業を通して、近代日本語は作られ洗練された。いまの口語体や書き言葉は、四迷、逍遥、鴎外、漱石のような西洋語の読める文学者が先導した。

外国語が読める日本人が、外国の文献をさかんに邦訳したことによって、外国の学術文化がいちはやく受容され、急速に普及した。翻訳は日本人の外国語習得の労力を軽減し、日本が外国の直接の文化的植民地となるの

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drink より have a drink   「ちょっと」は a(n)で表せる

John Sinclairほか編著(吉田正治訳)『コリンズ コウビルド英文法』(研究社/ハーパーコリンズ、2009年)

英語を「言いたいこと」別に分類するという、ユニークな角度から英文法を扱った本。表現内容が中心になっているだけに、これまでの英文法の本にはない記述がある。

そのひとつが「脱辞書的動詞 delexical verb」という項目。

「脱辞書的動詞」を使った言い方とは、

He t

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"under the tree" と "under a tree"   心のマナーで言い分ける

アフリカのガーナで中等教育の無償化が宣言されたが、予算の裏づけがなく、かけ声倒れになっているという。

国家の機構がちぐはぐで非効率というのは、アフリカでよく見かける現象だ。

ところでこの記事に、under the tree と under a tree が同時に出てくる文がある。

Lots of schools have either very poor buildings or no bu

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「be ある」 だけでなぜ動詞なの?

「be ある」 だけでなぜ動詞なの?

be は、「ある」というだけなので、そこに動きらしいものはないようにも思える。

だが、英語で be は立派に「動詞」のひとつである。なぜ be は「動詞」なのだろう。

これと関係がありそうな生理現象に、「固視微動(こしびどう)」というものがある。

固視微動とは、人間が静止物体をじっと見ているときも、非随意的に常に起っている眼のこまかな揺れのこと。網膜上の投影像は常に揺れて変化している必要があ

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英語教授法は100種類以上! いつのまにか消えたのはなぜ?

英語教授法は100種類以上! いつのまにか消えたのはなぜ?

なんとかメソッドとか、なんとかアプローチとか、これまで英語の教室で試された教授法は、いったいいくつあるのか?

ちょっと古いデータだが、1984年に出た本によると、

① 文献に記載されている教授法が43種類。

② 明治以降日本に紹介されて、多少なりとも利用された教授法が12種類。

③ 日本人が日本人のために考案した教授法が5種類。

④ 日本にとくに影響を与えた外来の教授法が2種類(戦前はパ

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否定を否定してオトナの英語

否定を否定してオトナの英語

「できる」とか「たまにある」のかわりに、「不可能でもありません」「ないわけではありません」というと、ちょっと遠回しで大人っぽい言い方になる。

英語でもこの言い方を使うと、やや高度な表現になる。

「やろうと思えばできる」は、not impossible

「ないわけではない」は、not unusual

「否定できない」は、not deniable

「否定の否定」で気取って答えると、ユーモアと

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「済んだよ」は "I'm done."

「済んだよ」は "I'm done."

なにかが終わることを、口語で  "be done" という。なにが終わったか言いたければ、with をつける。

「もう終わった?」なら、

”Are you done with it?”

"Yes, I'm done."

という具合。

I’m finished.  とか I'm through. よりも歯切れが良くて使い勝手がよい。

done の発音は、「ダヌ」の要領で。

英文和訳は英語ではない

英文和訳は英語ではない

英文和訳が英語習得の王道だという思い込みは、今も根強いようだ。

「ほかにどんな方法があるの?」と思う人もいるかもしれない。

ここでは、一言だけ記しておきたい。

英文を和訳したものは、誰がわかるのか?

それは、日本語がわかる人である。

ところが、英語がわかる、わかってもらえる、つまり「英語ができる」というのは、普通、日本語がわからない人とのあいだでのことである。

これだけでも、「英文和訳

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まちがい算数が英語の a/-s を教えてくれる

まちがい算数が英語の a/-s を教えてくれる

カーンアカデミーというアメリカの無料学習サイトがある。Sal Khan という人が、明快な英語とユーモアのある画像で 、数学などを教えてくれる。

そのなかに、次のような代数の問題がある。(実例は、カーンのものよりさらに簡単にしてある)

2x=4

カーンはこの等式を、次のように書き直している。

x + x =1+1+1+1

「両辺を2で割る」とは、この両辺を半分ずつに分けることに似ている。

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「暑すぎ!」は、英語でなんという?

7月以来、とんでもない暑さがつづいている。今日の名古屋地方は日中、40度だった。中国や朝鮮半島も同じような気温らしい。

こういう暑さを、英語でどう言えばいいだろう。

very hot とかextremely hot では芸がないし、 unbearably hot ではちょっと重い。hot and unpleasant ではもうひとつキレがない。

そこで思い出した。以前、見かけた表現で、なかな

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「堂々とやる」は、 "They don't hide it."

日本語の発想のままでは英語にしにくいときは、その裏側から、つまり否定形で表現すると楽に言えることがある。

「まあまあ」は、"Not bad."

「ちょっと遠い」は、"It's not next door."

「堂々とやる」は、 "They don't hide it."

なじんだ発想にこだわらず、別の角度から考えてみる。

同僚だった物理学の教授が、「外国語のいいところは、頭が柔らかくなる

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