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やまぎし
2019年8月11日 21:09
夢にまでみたカブトムシが、目の前にいる。しかも三匹。おれは、息すらしていなかった。というかできなかった。目の前にいるカブトムシは、ちょっと息を吹きかけただけで飛んでいってしまうんじゃないか。そんな気がして息ができなかった。はしゃぐ隆成を制し、おれは息を必死に殺してカブトムシに近寄った。心臓の鼓動が、自分の耳にまで聞こえる。網を持つ手が震える。足を擦るようにじりじりとカブトムシに近づ
2019年7月28日 16:55
蛍光灯に照らされた台所で、水色の網に黙々とバナナをいれる。青いビニールテープで口を縛って、さらに大きな袋につめる。木に巻き付けられないと困るから、テープは長めに。長すぎるぶんには問題ない。「ちょっと焼酎ちょうだい」まだ6時だってのに親父は、たっくんとおじいちゃんと一緒に酔っぱらってる。「カナタ、あんまりたくさん使うなよォ」「ムシにあげるために買ってきたんじゃないんだからな」親父