見出し画像

新聞を購読する日が来るとは。

そもそも、広告事例からイイところを学んでいこうと、はじめたnoteなのに、ドラマやらKPOPやらエンタメを中心とした好きなことばかりを書いてしまっていたので、たまには軌道修正してみます。たまには。

最近の話ですが、四捨五入したら約30年の人生の中で、はじめて自分のお金で新聞を購読するようになりました。と言っても紙ではなく、地元紙のアプリ版です。「新聞って、ネットより1日遅れで情報が届くじゃん?」という偏見の塊だったんですが、アプリだともちろんリアルタイムで触れられるし、何より地元目線のニュースや速報は普通に便便便利…ついついYahoo!トップを開いてしまう癖がなくなったわけです。

ダウンロードのキッカケは、新聞社が出した広告だったので、そんな新聞「社」の広告の話を書いていきます。

その前に、最近の新聞広告ってどうなの?

紙の新聞を読む人がどんどん減っているのは、満員電車で文庫本みたいに小さく折りたたんで読んでいるサラリーマンをほぼ見かけなくなった通り、減っています。それに比例し、新聞広告を出稿する企業も減っており、天下の電通さまが毎年出している「日本の広告費」を見ると、2020年の新聞出稿額は総広告費の約6%ほどしかない。2008年から半減している危機的な状況…

広告費

悪い話ばかりではない。日をピンポイントで指定できてる新聞広告。そして、SNSが普及した時代。例えば、国際女性デーのように、記念日に出稿。そしてSNSで話題に。みたいなフォーマットは割と日常化している。直接、紙面に触れなくとも、時代に沿った強いブランドメッセージを発信している新聞広告は、Twitterのタイムラインを介して新聞購読者ではない幅広い層に届いている。もしかしたら、新聞が元来から持っている「信頼性」が、シェアのハードルを下げているのかもしれない。また、新聞購読者層はある程度年収もあって、発言力もある人も多く、シェアされた時に箔が付きやすいというのもポイントだ。

タイトルからは読み解くのは不可能ですが
国際女性デーの新聞広告をまとめてます

そして、その拡散フォーマットにいち早く気付いたのが…

奈良新聞

もはや大々的なメディアの実験場と化し、個人が1万円から新聞広告を出せる新サービス「AD LETTER(アドレター)」や、

画像2

毎月出されたお題に対して、購読者がデザインを提案する広告コンペ「クリエイティブ・アド」など、新しいことにチャレンジしている。しかも後者は15段、無料で掲載できるとあって、実績が欲しい広告クリエイターとしては最高の場!数もたくさん集まるので、必然的に以下のような気付きのあるクリエイティブが掲載されている。

お題:「高校野球」について改めて考えるきっかけとなる広告

画像4

お題:終戦記念日に載せるべき啓発広告

画像5

お題:ミュージックの日に音楽の素晴らしさについて考えられる広告

画像3

実際、私も奈良新聞なんて触れる機会はないけれど、Twitterで出会った広告たちでした。ちなみに「愛してる」で脳内再生された曲はベタに『チェリー』…不本意ながらこの記事が、頭をよぎる。

岩手日報

東北地方の新聞社は、東日本大震災以降、記憶を風化させないように様々なメッセージを発信し、メディアとしての使命や姿勢を自社広告で表明している。実は個人的にちょっと恩がある博報堂の河西智彦さんがクリエイティブディレクターを務めた岩手日報の「風の電話」もそうだ。おじいちゃんの、まとまりのない肉声が、写実的で心に響く。

ちなみに、「風の電話」は実在する電話ボックスで、電話線はつながっていない。大切な人を亡くした人(会えなくなった人)たちが受話器に向かうために、各地から訪れるようになったそうです。

画像9

“ もしもし?
おかあさん?

しばらく

あれから7年経つね
何やってる?

こっちはまだ、仮設にいるじゃ

2年前の2月14日、
あんた、帰ってきたもんなあ
ほんとに、
めんこい顔だった
めんこくて、めんこくてなあ

ほんとは
死んでないんじゃないかって
ほっぺさキスしたよな

あん時は
生きてたと思ったのになあ

あの感覚
死んだのは嘘だー
生きてた、
って思ったのになあ
でも、朝、
目が覚めた
全部、夢だった…
あんたがいないの、
やっぱり現実だったんだよなーーー ”

夢でしか、会えない妻へ


岩手県大槌町に置かれた、電話線がつながっていない電話ボックス。
風にのせて、もう二度と話せない人へ声を届ける「風の電話」に、
今日も人々が訪れている。

もし、最後だとわかっていたなら。

3月11日。それは、明日が来ることが、当たり前ではない、とすべての人が知った日でもある。

大切な人ほど、当たり前の存在になってしまうから。
あの日の悲しみと、後悔を風化させないために、
3月11日を、すべての人が大切な人を想う日に。

福島民報

同じく東北から。新聞というメディアを「使ってもらえる広告」にした事例。地元紙ならではの施策で素敵です。オールドメディアと呼ばれる新聞ですが、やっぱり地元密着の記者が、地元密着の情報を届けてくれるメディアという意味では、なくなって欲しくないですね!背景や課題、解決方法が綺麗にまとめられていたので、下の画像をぜひご覧ください。

スクリーンショット 2021-06-24 20.38.32

画像6

画像7

西日本新聞

我らが九州が誇る西日本新聞より、こちらは既にサービス終了した「qbiz」のウェブCM。AUTOWAYの「雪道コワイ」「いきなりBAN」チームが制作らしく、魅力を極端に表現してて、オモシロイ。壮大な実証実験の結果が気になって最後まで見てしまう。どう撮ったのかは分からないけど、撮影も楽しそう。あと、地味にちゃんとサムネもちゃんと設計してるなあと感心。(何様)

そして最近の、西日本新聞。『め組のひと』の替え歌で、新しくリリースしたアプリを刷り込んでくる。井桁弘恵さん、かわいい。

新聞社のあり方

某ウイルスのニュースとか、TVでは全国のことを中心に報道されているけれど、地元の新聞は身近で有益な情報を届けてくれる。被災者に寄り添った報道を続ける東北地方のブロック紙「河北新報」、そして震災翌日から6日間にわたり“手書き”の壁新聞を掲載した「石巻日日新聞」は、優れた文化活動に携わった個人や団体に贈られる「第59回菊池寛賞(2011)」を受賞している。受賞理由はこうだ。

3.11東日本大震災で被災、数々の困難に直面しながら、地元新聞社としての役割と責務をそれぞれの報道において果たした、そのジャーナリズム精神に対して。

画像10

石巻日日新聞の壁新聞(号外)3月12日号
potaru.com

日本新聞協会が新聞広告の可能性を広げてもらうために実施している「新聞広告クリエーティブコンテスト」の2018年最優秀賞(テーマは「新聞」)が、まさに新聞が持つ、ジャーナリズム精神をうまく表現していた。

スクリーンショット 2021-06-25 11.46.57

2018年度「新聞広告クリエーティブコンテスト」より
最優秀賞「楽しい日々」

講評にあるように「もしも新聞がなければ、流行やいっときの興味に関する情報に囲まれ、それに流されてしまうのではないかという危機感を、皮肉をこめて、逆説的な表現で描いている」。テレビやネットニュース、SNSにはない「新聞らしさ」は唯一無二の価値として、これからも読者に届いていくのではないでしょうか。

今日も今日とて新聞アプリを開き、新聞を読む自分に酔っています。





この記事が参加している募集

コンテンツ会議

買ってよかったもの

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?