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1歳と2歳と27歳による阿鼻叫喚のお留守番

本日は妻が病院へ行く日。ここ1週間、妻は右手首の激痛に悩んでおり生活がままならない。子供の抱っこやオムツ替えはおろか、ご飯をしゃもじですくって茶碗に盛り付けることさえ難しいようだ。
日に日に痛みが増しているとのことなので、病院に行かせることにした。

初診だから何時間かかるかわからないというので、子供の面倒は見るからと1歳と2歳の息子と留守番をすることにした。休日に妻を除いた3人だけで家にいるのは珍しい。自我が芽生え始めた息子たちとの留守番にやや不安を覚えたが、自分が言い出したことなので妻が帰ってくるまで無事にやり遂げるしかない。休日くらい父親らしくと気合いを入れる。

妻が家を出て早々に「ぎゅうぎゅうもむ!」と長男が訴えてくる。「ぎゅうぎゅう」とは牛乳のことであり、「もむ」は飲むのことだ。まだ正確に発音できないものの、何を伝えたいか理解するのは難しくない。
牛乳でご機嫌をとれるならとウルトラマンの描かれたプラスチックのコップに3分の1ほどの牛乳を注ぐ。なみなみに注いでも飲み切るだろうが、こぼされてソファが牛乳まみれになるのを防ぐため、少量ずつ与える。3分の1程度ならこぼすことなく綺麗に飲み切れることを最近知った。

いつも通りこぼさずに飲み切るだろうと長男を信頼し、我慢していたトイレに向かう。トイレを終えるまでの間くらい静かにしているだろうと思ったのが間違いだった。
牛乳を飲む長男の横で静かにテレビを見ていたはずの次男の泣き声がする。
怪我でもしたのではないかと不安になり、急いでトイレを出て様子を確認する。次男の頭に点々と白い水滴がついている。その横ではニコニコとコップを振り回す長男がいた。どうやら長男が次男の頭に牛乳をかけたらしかった。
コップで牛乳を飲むようになってから初めての事態であると同時に男3人による波乱の留守番の幕開けの合図でもあった。

お兄ちゃんとどうにかして遊びたい次男とそれを押し倒す乱暴な長男。ニコニコしている時間よりも押し倒され、頭をぶつけて泣きわめいている時間の方が長い次男。仲良くトミカで遊んだかと思えば、弟が遊んでいるトミカをぶんどって父親に投げつけてくる長男。2歳の力で投げただけとはいえ、金属製のトミカはぶつかると痛い。運悪く頭にぶつかったものだから、大人気なく怒ってしまった。
自我が芽生え、好奇心旺盛の子供たち。成長してできることが増えるのは喜ばしいことだが、頭を抱える回数も増えた。物理的にも精神的にも頭が痛い。

優雅にコーヒーを飲みながら妻を見送ったのが遠い過去のようだ。有り余る元気で暴れまわる長男。長男にいじめられて泣きわめく次男。暴れたいのも泣きわめきたいのも僕の方だ。

物事の善し悪しがわからない1歳と2歳に腹を立てても仕方がないのだが、子供たちよりはるかに物事を分別できるはずの27歳。イレギュラーな事態に対応できず、思い通りにいかずに年甲斐もなくわめいてしまう。1番子供なのは父親である僕のようだ。

右手首の痛みに耐えかねる妻よ、僕は頭が痛い。早く帰ってきてくれと願いながら頭を抱えるしかなかった。

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