見出し画像

30歳を境に変わり始めたこと#4.1

#4.1 パワハラの始まり~自信と自己肯定感の喪失~


1.異動による戸惑い

まず、異動により仕事の内容が一変しました。これまでは、ある特定の製品の特定の業務のみを担当してきたのですが、業務の幅が一気に広まりました。製品に囚われず、工程全体を俯瞰的に見る必要があり、かつ、従来の考え方に囚われない柔軟な発想も必要になりました。

しかし、異動当初の私は、その事実に薄々気が付きつつも、その現実を直視しようとしませんでした。異動当初は#3で述べた「会社の負った致命傷」の対応のため、前の部署の応援に出ており、異動したとは言っても、異動先の部署の業務をすることが少なかったです。応援に出ている間、異動先からミーティングの案内がくるのですが、私はそれを無視し、応援先の仕事に集中していました。今思えばバカげた話です。なぜこんなことをしたのか?それは、

  • 異動先の仕事はまた一から覚えることがあり、面倒くさい

  • 異動前の部署であれば、チームをリードできる

  • 異動前の部署にいれば確実に仕事があり、周囲からも頼られる

  • 異動先は、仕事内容がぼやっとしており、目指すべき方向性も良くわからず、何をしたらいいか分からない

といった気持ちがあり、心理的なブロックとなっていました。できない自分を認めたくない、今の自分の仕事を死守したい、といった非常に保守的かつ後ろ向きな考えだったわけです。そんな中でも、異動先にて仕事が与えられました。まずは、前の部署で担当した製品に関わる仕事だったため、出だしは順調に進みました。

2.パワハラのはじまり

あるとき、異動先のメンバーの中で、ただ1人、まったく別の事業から異動してきた方に質問をする機会がありました。当時の私の事業では、事業間異動というものが珍しく「この方はなぜうちの事業、中でもうちの部署にやってきたのか?」と不思議に思いました。初見の彼は、温厚そうで、いたって普通な方でした。実は、その方が「私のこれまでの人生観、仕事への向き合い方、モノの見方や考え方を一変させるきっかけとなる人」の1人です。

私が彼に質問を投げかけ、さらに提案のようなことをしたと思います。すると彼は態度を一変させ、感情を露わにしながら、「前回の説明で合意したこととは別のことをやっている」「そんな説明をした覚えはない」「なぜそのような勝手なことをするのか」といった言葉を浴びせられました。あまりにも高圧的、かつ、彼の方が年上かつ役職も上だったため、私はかなり委縮してしまいました。

私の本心は「そんなこと合意した覚えはない」「ちょっと不明点を質問しただけなのに、そこまで激怒しなくてもいいのに」でした。たった1回の出来事でしたが、私はこのやりとりを通して、彼を疑心暗鬼するようになり、チームメンバーである彼に報連相することはなくなりました。

ですが、今振り返ると、これは自分の主観であり、一方的に彼を敵視した、良くない反応でした。当時の私は自信があるようで自信がなく、プライドが非常に高く、傷つくことを恐れ、過度に反応的になっていたのだと思います。また、そういった言葉を真に受けて「暖簾に腕押し」「糠に釘」とは全く逆の受け止め方をしていました。

例えるなら、私は鋼の棒であり、見た目は頑丈そうで印象も良い。しかし、外力を加えていくと、弾性限界までは元に戻るが、それを超えると降伏し、外力を除荷しても元に戻らない。レジリエンスのない人間だったと思います。

今はレジリエンスがあるのかと言われると、100% Yesとは言い切れません。しかし、折れ曲がった鋼の棒を加熱し、ゆっくり徐冷することで、蓄積したひずみを取り除くことができます。これを焼鈍(アニーリング)と呼びます。私は「アニーリング」を心理学用語の「安全基地」という言葉に置き換えて考えています。この例え、いかがでしょうか。

話が少し脱線しました。それ以降、彼のプライベートやバックグラウンド(異動前の仕事、転職経験、家族構成など)を知ることができ、仕事以外の話をしているときは良い雰囲気が続きましたが、徐々に関係が悪化していきました。

彼は、私が理解してもいないのに、わかったふりをして「ハイ、ハイ」と返事をし、適当に仕事を進めていることに気付いていました。実際、私は会議で発言することができず、会議でわからなかったことも放置し、気持ちの悪いまま、その場をやり過ごしていたからです。それは彼に全てお見通しでした。

ここからパワハラがはじまります。私の能力が低く、異動後の業務に対する知識やマインドセットが不十分だったことは認めます。初動が遅れ、他のチームメンバーと大きな差が開いていました。

しかし、フロア全体に響くような声で罵倒したり、執拗に同じ内容で責めるのはどう考えてもおかしいです。人格を否定する言葉も多々あり、「私は本当にダメなやつだ」と意気消沈するとともに、自信と自己肯定感を失っていきました。こう書くと、いかにも彼だけが悪いように見えますが、私にも非があります。課員としての義務を果たしていませんでした。

そうこうしている内に、世界を一変させたあのウイルスの波が、じわじわと日本にやってきます。ついに本格的なロックダウンが始まり、会社も同時に休業となりました。私にとっては、彼と離れられるのに好都合でした。いつ出社できるか分からない・・・おそらく1か月はダメだろう。

そこで私は一つの決心をします。なぜ彼とここまで関係が悪化したのか?自分には一体何が足りないのか?徹底的に見つめなおすとともに、今までやりたくてもできなかったことにチャレンジしようと。#4.2に続きます。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?