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書評シリーズ

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自作の書評記事のみ集めました。ビジネス、思想。
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#思想

カントより普通に、ラッセルが好き『言語哲学が始まる』野矢茂樹

ヒット御礼。

言語と論理学。このあたりは、勉強したいけど、難解な思想家について『言語哲学大全』飯田も第二巻は購入しただけど、一気読みは無理よ、です。

哲学者の死は、論破されることでは無く、忘却である。(過去の思想家は参照されていく訳です。ラッセルさん)

本書では、著者の本領発揮を、論理からウィトゲンシュタインで、それに先立つフレーゲからラッセルを、正確な記述で構成されてます。

論理学の哲学

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『マルクス・ガブリエルの哲学』人新世の現代思想入門

『マルクス・ガブリエルの哲学』人新世の現代思想入門

確かにガブリエルのブームは落ち着いたように思う。

ドイツっぽさが、私たちに合うのかどうか。そういう問題はありそうです。

これはフランスらしさの受容と同じで、現代思想の感性ではないでしょうか。

『マルクス・ガブリエルの哲学』菅原潤を扱います。この本は、ガブリエルの本当の姿を垣間見えるような体験でした。

第一部では、本書を読んでいきます。本当に難しいです。

続く第二部では、本書を離れてガブリ

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ゼロ年代の現代思想入門『脳がわかれば心がわかるか』山本+吉川

ゼロ年代の現代思想入門『脳がわかれば心がわかるか』山本+吉川

YouTube「哲学の劇場」の山本貴光さん、吉川浩満さんの本です。

心の哲学の解説書として、わかりやすさに圧倒されたのでシェアをしたい。こういうの探してたんです。

ゼロ年代に発売して、2016年に増補版が発表されたこの本。それは2023年までの哲学思想をまとめるような内容でした。

この本の構成は、まず心の哲学(20世紀的)を定義して、それをカント(18世紀)の二律背反でまとめて、それを基にし

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宇野重規『西洋政治思想史』を読んで

宇野重規『西洋政治思想史』を読んで

危機の時代には、自由は制限され、国家権力に従わなければならない。でも、それは一時的なものだ。

マルクス・ガブリエルがこう言ったのは、哲学者の言葉というよりも、民主主義の当たり前を表現した言葉に思われます。

ですから、政治的なものは、政府と市民の信頼関係が重要ではないでしょうか。

この本の作者宇野重規氏は、東大教授で、博覧強記の持ち主です。古代の政治思想から現代までの歴史をたったひとりで書いて

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