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2ヶ月間オンラインだけでプロジェクトを進めた話

この記事はオンライン上のやり取りのみで2ヶ月間プロジェクトを進行して得た知見をまとめたものです。同じような状況にある誰かの役に立てれば幸いです。

本題に入る前に、簡単な自己紹介と経緯の説明をします。
私は今年大学院に進学したデザイン系の学生です。所属研究室のメンバー全員が参加するプロジェクトのリーダーをしています。大学の施設が利用できずオンラインでの活動を余儀なくされた現状の中で、できる限り効果的にプロジェクトを進めるために、同じく別のプロジェクトリーダーを担当する同期と共に考え実行した内容について紹介できればと思います。

1. 前提条件

  研究室の人数:12人(B4からM2)
   ゼミの頻度:週1
プロジェクトの数:全員参加のものは2つ

2. プロジェクトの概要

簡単にいうと、最終的に何かしら形のあるものを作るデザインプロジェクトです。大まかには、プロジェクトのテーマに関する調査の後、制作物のコンセプトを決め、実験や試作を経て最終的な成果物を制作する流れとなっています。制作期間は1年間で、年度末に展示会もしくは発表会が設定されています。

3. 進め方を決める

進め方を決める上での判断材料について記述します。結論のみが知りたい方は 5. 進め方と使用ツール まで飛ばしてください。

3.1 オンラインでの問題点
大小、様々な問題が存在すると思いますが、効果的なプロジェクト進行を目指す上で特に解決すべきものとして以下の3つが考えられます。

①これまでと違って他人の作業が見えにくい
研究室で作業ができなくなったことで、ゼミ以外で他の人の考えを知る機会がほぼなくなったと言えます。他人から刺激を受けてアイデアを膨らませたり、モチベーションを維持するために策を講じたいと考えました。

②コミュニケーションを取る機会が極端に少ない

今年度から新しく研究室に配属された人もいるので、ミーティングでうまく意見交換するためにもまずは単純に会話量を増やす必要がありました。

③何かとラグで待機時間が生まれやすい

個々人の回線状況やマイクの質によっては音が途切れてうまく発言できない時があったり、資料を提示するための画面共有で手間取ったりして、ちょこちょこと待機時間が入るとどうしても気持ちがダレるのでなるべく回避したいと思っています。

3.2 重視したこと
前述の問題点を解消したり、短時間で建設的なミーティングを行うために以下のポイントを重視しました。

・個人やチームでの作業内容を全員に公開する
・メンバー同士の会話の機会を作る
・ミーティングの際、発表内容に対して全員がコメントできる環境を作る
・画面共有を使わずに資料を提示する
・ミーティングは基本音声とテキストのみでやり取りする
・毎週の活動目的、内容を明確にする
・事前に発表資料に目を通す
・全プロジェクトを通して同じようなやり方で進める

4. 使用ツールを決める

使用するツールを決める上での判断材料について記述します。前章同様、結論のみが知りたい方は 5. 進め方と使用ツール まで飛ばしてください。

4.1 やりたいこと

必須事項
・音声通話
 メンバー全員での通話と複数グループに分かれての通話に即座に対応
・テキストチャット
 できれば通話するためのアプリケーションと同じもの
・ミーティングでの発表資料の事前共有
・発表資料にテキストでコメントを入れる
・個人やチームでの作業内容メモの作成と共有
 テキスト、画像が挿入でき、メモを作成すれば同時に共有も完了するもの
・作業内容のメモに直接テキストでコメントを挿入する
・プロジェクトに関する連絡事項を掲示する

できれば

・ビデオ通話
・画面共有

4.2 重視したこと

・全プロジェクトを通して同じツールを使う
・たくさんのツールを使わない
・同時に見る必要のある画面(アプリケーション)はなるべく一つになるようにする

4.3 検討したツール
細かい比較は記述しませんが、覚えている範囲で考慮したツールたちを列挙しておきます。

・テキストチャット、音声通話、ビデオ通話、画面共有
ZOOM / Slack / Discord / LINE / Skype / Spatial.chat

・発表資料の共有とコメントの挿入
Google Drive / Google Slides / Google Jamboard / Google Sheets / Google Docs / Miro

・作業内容の共有とコメントの挿入
Scrapbox / Google Drive + Google Docs / Trello

5. 進め方と使用ツール

上記の考慮事項より、学年を混合した4人を1チームとし、チーム単位での活動を基軸に進行していくことに決定しました。大まかな流れは以下のとおりです。因みに、プロジェクトごとにメンバーが被らないように組み分けしています。

1. 個人
毎週の活動目的に沿った作業

2. チーム(4人)
個人作業の進捗を持ち寄り、チームとして作業内容をまとめる

3. 全体(プロジェクトミーティング/PM)
チームごとの進捗を発表する

4. プロジェクトリーダーとメンバーの1on1

プロジェクトの進行についてメンバーから意見をもらったり、困っていることや悩んでいることを共有してもらったり、コミュニケーションの機会を増やすことも大きな目的の一つです。この点についてはまだ慣れない部分が多く手探りの状態なので、詳しくは他の方のnoteやネット記事を参照してください。

主な使用ツールは以下の3つです。合わせて慣習的に、また保険としてZOOMとSlackを利用する場合もあります。

Scrapbox
・作業内容の共有とコメントの挿入
・プロジェクトに関する連絡事項の掲示

Google Drive + pdf
・発表資料の共有とコメントの挿入

Discord
通話、テキストチャット

6. 具体的な活動の流れ

さて、では実際に2ヶ月間どのように運用したかを説明します。

1. 前提条件 で記述した通り、所属研究室ではメンバー全員が参加するプロジェクトが2つあります。昨年度の反省から、なるべく一回のPMにかける時間を短く、その代わりに集中して行いたかったので、今年度は2つのプロジェクトを2週間置きに実施することとしました。

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毎週の活動としては次の通りです。この2ヶ月は主にプロジェクトに関する調査とアイデア出しを行いました。

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PMでの発表と意見交換のやり方としては、内容に応じて以下の3パターンを使い分けています。

①(発表 → 意見交換)×3セット
全員に向けてチームの代表が一週間の作業内容を発表し、それぞれのチームに対して意見交換の時間を取るやり方
・各チームの進捗に対してしっかりと意見交換ができる
・通話チャンネルの移動回数が増えるためPMにかかる時間が長くなる

②発表×3セット → 意見交換

全チームの代表が発表したあと、まとめて意見交換の時間を取るやり方
・チームを横断した内容についての意見交換ができる
・意見交換の比重が偏りやすい
・通話チャンネルの移動が少なくスムーズ

③グループに分かれて①または②

チームメンバーと被らないようにグループに分かれ、各グループでそれぞれのメンバーが発表、意見交換をするやり方。活動内容によっては、最後に全体で集まって意見交換の内容を共有する場合もあります。
・人数が少ない分疑問点などが質問しやすくなるので、調査が中心の週に向いている
・PMの中でプロジェクトリーダーが把握できる部分が少ない

7. 2ヶ月間を振り返って

昨年度までのプロジェクトや授業でのグループワークとは全然違うやり方を採用しましたが、特に問題はなく上手くやれていると感じています。今回ほぼ初めて「どのようにプロジェクトを進行するか」ということについて考えてみて、上手く進んでいるチームには上手く進むだけの理由があると実感しました。何もしなくてもチームメンバーがしっかりパフォーマンスを発揮してくれることもあるけれど、待ちの姿勢より環境を構築するほうが確実に一定以上のクオリティに到達できるので考え得だと思います。

以下はそれぞれの項目についての振り返りです。

1. 個人
・それぞれの作業内容を公開することで、準備せずにミーティングに参加する人がいなくなった
・各々が作るメモにあらかじめコメントを入れることで、プロジェクトへの参加意識に繋がるし、文章になる分伝わりやすくあとから見返せるようにもなった

2. チーム

・プロジェクトリーダー1人に対してメンバー11人の構図より、間にチームリーダーを挟むことで、プロジェクトリーダーへの負担が軽減された
・チームメンバーとのコミュニケーションの機会を提供できる
・PMをコンパクトにできる

3. 全体(プロジェクトミーティング/PM)

・声だけの通話なので余計な気を使わなくてすむ
 この点に関しては、表情が見えない分話しにくいと考える人もいるかもしれませんが、どのみち映像の画質は各々の回線状況に依存してあまり期待できないこと、資料を見ている時には人の顔を見ないこと(画面が一つしかないものと想定)から、映像を送受信するメリットは少ないと判断しました。
・画面共有ではなく各々がGoogle Drive上で資料を開くことで、資料に直接コメントができるようになった
 発表者が特定の場所をマウスカーソルで指したり、一部分を拡大して見せたりすることはできなくなりましたが、資料の作り方に気をつければ特に問題なく発表できるようになります。

以上が2ヶ月間オンラインだけでプロジェクトを進行した話になります。プロジェクトの内容や参加メンバーの構成によってそれぞれ適したやり方があると思うので、一つの事例として参考にしていただければと思います。

長々と読んでくださった方、お付き合いいただきありがとうございました。

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