AkiraTheHustler

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記事一覧

選べない人たち

三十代ではじめて同居したパートナーは複数の相手を同時に愛することの出来る人で、ぼくもそのコンセプト自体はいいなと思っていたけれど、今思えば僕のそれは若さゆえの頭…

AkiraTheHustler
4か月前
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江ノ島

利用者さんが好きな江ノ島に、車椅子を押して行って来た。ひと月に何度も小田急線に乗って行くのだと言う。 行くと定位置は決まっていて、いつも同じ場所に車椅子を停めて…

AkiraTheHustler
11か月前
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死ぬまで漕げ

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This is our Playground

2022.5.10 【摘発】路上に寝転び抗議、17人を書類送検 警視庁 昨年12月、JR吉祥寺駅前の車道で寝転んだり座ったりした疑い。路上に寝転んで抗議する手法は”シットイン”…

Terre des Hommes

絆を取り戻そうとしなければならない。 平原のそこここに燃える灯のいくつかと、 心を通わせようとしなければならない。 ーアントワーヌ・サン=テグジュペリ「人間の大地…

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Comme a la radio

僕にとってのそのはじまりは二丁目のクラブだった。大音量の中で韓国の新しい友達の話をしたら、何を聞き違えたのか聞くに堪えない民族的な侮蔑の言葉が返って来た。ホモフ…

3

12月

短期バイトでAmazonで働いてるのだけど、 今朝集めて回った商品はあからさまにクリスマスプレゼント然としていた。 Switchやツイスターゲームや、シャネルの口紅やパーティ…

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Re:Story

「ぶっ壊す(destroy)」も「復活する(restore)」もどっちの単語にも「物語(story)」と言う言葉が入ってるんだと書かれた本を読んでグッと来たのを思い出しました。 ぶっ壊…

セックス

銀杏BOYZの新しいシングルのミュージックビデオを観た。 アクリル板越しに男女が情熱的に舌を絡めてキスをし続ける映像。体から立ち上る蒸気まで見えるようで美しい作品だ…

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Pandemic/世界は愛に溢れている

今年の春。仕事帰りに自転車で坂道を上りきった横断歩道に、無数のマスクが散らばっていたことを思い出す。むっとするようなイヤな気持ちで、大きくそこを迂回して通り過ぎ…

3

「役に立つ」ということ

3月に東日本を、大きな地震と津波が襲った。そして、福島の原子力発電所でもとうとう大きな事故が連続した。僕が住んでいるのは新宿の古いビルで、七階だったために、帰宅…

4

「気持ちはわかる」

「気持ちがわかる」ことはすごいことだと思う。 暗い夜道をひとりで歩いてるような気持ちでいる時に、誰かからそんな言葉をかけられたらどれだけ安心するだろう。 でも、…

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INDIVIDUALISTS

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舟影

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Made in Anger

渋谷から一駅のところでバイトがあったから、 井の頭線に乗ろうと急いで歩いていた。 すると岡本太郎の「明日の神話」が突然目の前に現れて息を呑んだ。 怒りが自分の作…

1

笑いのカイブツ

舞台でも本でも美術や音楽でも、 すごいものに出会うと、切った傷口を合わせて血を交換したような気持ちになる。 ライ麦畑の崖っぷちで、誰かが落ちないよ…

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選べない人たち

選べない人たち

三十代ではじめて同居したパートナーは複数の相手を同時に愛することの出来る人で、ぼくもそのコンセプト自体はいいなと思っていたけれど、今思えば僕のそれは若さゆえの頭でっかちでしかなかった。実際にそんな相手が彼に現れたとき、何回かの衝突の果てに自分から家を出て行ってしまった。別れを告げた時の彼の目から零れ落ちた涙を今でも覚えている。彼はどうしても選べなかっただけだったんだと思う。それは彼の不誠実なんかじ

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江ノ島

江ノ島

利用者さんが好きな江ノ島に、車椅子を押して行って来た。ひと月に何度も小田急線に乗って行くのだと言う。
行くと定位置は決まっていて、いつも同じ場所に車椅子を停めて、そこで缶コーヒーをゆっくりゆっくり飲む。

見上げると鳶がぐるぐる回っている。波が寄せては返す。気持ちのいい時間だった。

This is our Playground

This is our Playground

2022.5.10 【摘発】路上に寝転び抗議、17人を書類送検 警視庁

昨年12月、JR吉祥寺駅前の車道で寝転んだり座ったりした疑い。路上に寝転んで抗議する手法は”シットイン”と呼ばれるが、交通量の多い車道に出る行為は危険性が高く、渋滞が発生するなどの影響も大きかったと判断した。
***
書類送検のニュースをめぐってSNSにはこの17人を非難する言葉が溢れたけれど、ぼくの頭によぎったのは昔読んだ

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Terre des Hommes

Terre des Hommes



絆を取り戻そうとしなければならない。
平原のそこここに燃える灯のいくつかと、
心を通わせようとしなければならない。
ーアントワーヌ・サン=テグジュペリ「人間の大地」

Comme a la radio

Comme a la radio

僕にとってのそのはじまりは二丁目のクラブだった。大音量の中で韓国の新しい友達の話をしたら、何を聞き違えたのか聞くに堪えない民族的な侮蔑の言葉が返って来た。ホモフォーブとAIDSを乗り越えて来た街のミラーボールの下で、まさか民族差別の言葉を聞くとは思わなかった。クラブで、バーで、さまざまな場所でネット空間と同じような東アジアの他民族や他属性へのヘイトスピーチを耳にすることが増えていった。

そう、ネ

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12月

12月

短期バイトでAmazonで働いてるのだけど、
今朝集めて回った商品はあからさまにクリスマスプレゼント然としていた。
Switchやツイスターゲームや、シャネルの口紅やパーティグッズや。アンパンマンの玩具がやけに多かったな。こどもたちは今も彼が大好きなんだな。

そんなことを考えながら電車は荒川を渡る。
赤羽で電車に並んでるとベトナムの若者たちがはしゃぎながら列に割り込んで来た。その中の一人がそれを

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Re:Story

Re:Story

「ぶっ壊す(destroy)」も「復活する(restore)」もどっちの単語にも「物語(story)」と言う言葉が入ってるんだと書かれた本を読んでグッと来たのを思い出しました。

ぶっ壊す=death story
復活する=Re:Story

セックス

セックス

銀杏BOYZの新しいシングルのミュージックビデオを観た。
アクリル板越しに男女が情熱的に舌を絡めてキスをし続ける映像。体から立ち上る蒸気まで見えるようで美しい作品だと思った。
思ったのだけれど、最後に女性が絶望するかのようにうなだれ、男性はこめかみに銃を当てるところでビデオが終わり、気持ちが半端なところで萎えてしまった。

BENTという第二次世界大戦時、ナチスが作り続けた虐殺収容所の中で出会った

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Pandemic/世界は愛に溢れている

Pandemic/世界は愛に溢れている

今年の春。仕事帰りに自転車で坂道を上りきった横断歩道に、無数のマスクが散らばっていたことを思い出す。むっとするようなイヤな気持ちで、大きくそこを迂回して通り過ぎた。新型インフルエンザの大騒ぎには驚いた。20年前のHIVをめぐって起きたパニックと何も変わらないように思えたから。行政もメディアもネットの流言(りゅうげん)から垣間見える人々の在り様も、なにも変わらないなと思った。自分の身を自分で守ろうと

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「役に立つ」ということ

「役に立つ」ということ

3月に東日本を、大きな地震と津波が襲った。そして、福島の原子力発電所でもとうとう大きな事故が連続した。僕が住んでいるのは新宿の古いビルで、七階だったために、帰宅してみたらけっこう大きな家具がいくつか倒れていたけれど、同居人も友人も誰もケガをすることもなかった。けれど、そこから何週間か、どうにも力が湧かない自分に苛立った。ひたすら眠く、twitterばっか眺めていた。長く関わっていた仕事から少し距離

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「気持ちはわかる」

「気持ちはわかる」

「気持ちがわかる」ことはすごいことだと思う。
暗い夜道をひとりで歩いてるような気持ちでいる時に、誰かからそんな言葉をかけられたらどれだけ安心するだろう。

でも、同時に「気持ちはわかる」とその地点で考えることが止まってしまうのはダメなんじゃないかと思っている。

大事なのは、「わかった」、その後なんじゃないだろうか。

Made in Anger

Made in Anger



渋谷から一駅のところでバイトがあったから、
井の頭線に乗ろうと急いで歩いていた。
すると岡本太郎の「明日の神話」が突然目の前に現れて息を呑んだ。

怒りが自分の作ることのおおもとにあると、
どこかで信じてやって来た。
メイド・イン 怒り。

この絵を眺めながら、それは間違ってなかったと思った。

笑いのカイブツ

笑いのカイブツ

舞台でも本でも美術や音楽でも、
すごいものに出会うと、切った傷口を合わせて血を交換したような気持ちになる。

ライ麦畑の崖っぷちで、誰かが落ちないように手を広げて立ってる人。

読んでたら「火の鳥」に出て来た彫刻家の我王のことも思い出した。
どれも年齢や国籍を越えて憧れる人たちだ。

僕も鳴らし続けようと思う。ラジオの雑音を。
喜怒哀楽のすべての感情が血管を通り過ぎる時のあのザーッ

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