『アベンジャーズ/エンドゲーム』感想
お気に入り度:★★・・・ 2 / 5
過去11年にわたり物語を紡いできたMCU。今作は『エンドゲーム』という題名通りに、MCUの中心的作品である『アベンジャーズ』シリーズの一旦の完結作として、最初期のアベンジャーのアイアンマン、キャプテン・アメリカ、ブラック・ウィドウらの最後の戦いを描く。
自分はアベンジャーズの中で、アイアンマンことトニー・スタークが一番好きだ。単純にアーマーが格好良いのもあるが、自らの過去を悔いて、人々の未来の為に戦う姿が好きだ。彼がペッパーと結婚した時や、子供が生まれていたことが判明した時は、もう身内のことのように嬉しかった。
トニーはこの上ない幸せを手にしたにも関わらず、再び戦いに身を投じる。何故ならアイアンマンだからだ。たとえ僅かでも希望があれば、過去を悔いて未来の為に戦ってきたヒーローに「何もしない」なんてできない。
アイアンマンと専用アーマーを着たペッパーの夫婦共闘。雷神のハンマーを使いこなすキャプテン・アメリカの勇姿。そして、全アベンジャー集結とともに言い放たれる「アッセンブル」。前作『インフィニティ・ウォー』では未登場だったキャラクターたちも登場し、『エンドゲーム』は完結作らしい豪華さに溢れていたと思う。
…しかしながら、11年間、MCUの映画作品もテレビ作品もほぼ全て追ってきた身としては、『エンドゲーム』に抱く感情は不満の方が遥かに大きい。
一つ目の不満は、ソーとハルクがあまりにもまさかの状態になっていたこと。
ソーはビール腹に、ハルクはバナーとハルクの人格が融合したというより、バナーが前作で臆病風に吹かれたハルクの人格を消し去ったかのような状態になってしまった。
アベンジャーズの最初期組が全員揃うおそらく最後の機会なのだし、ソーとハルクのことももっと馴染み深い姿で見たかった。
二つ目の不満は、フィル・コールソンが出なかったこと。
フィル・コールソンは、テレビシリーズ『エージェント・オブ・シールド』を通じてMCUで最も長く親しんだヒーローだ。『アベンジャーズ』の時に映画からは退場したが、いつか復帰して、再びアベンジャーズと肩を並べるものだと思っていた。そう思って、『エージェント・オブ・シールド』を観ていた。それなのに……。
時間移動でMCUの過去作の世界を廻るという展開ならば、どんな人物だって出せるはず。ヒドラなんかを出す暇あるなら、コールソンを出してくれ。
三つ目の不満は、サノスにアベンジした感じがあまりしないこと。
インフィニティ・ウォーで人類を半減させたサノスは序盤で呆気なく死に、代わりにアベンジャーズの前に立ちはだかるのは、過去から時間移動してきたサノスだ。大切なものを失った経験がなく、ただ破壊の限りを尽くそうとする今作のサノスは、一応の犠牲を払った前作のとはほぼ別人である。
故に、アベンジャーズはインフィニティ・ウォーの時のサノスには負けたままだと云える。腹立たしいことに自分が宇宙を救った英雄だと思い込んでいるインフィニティ・ウォーを経たサノスの方を屈服させてほしかった。
あるいは、「人類が減らなければ宇宙が滅びる」と主張しているのは今作のサノスも前作のサノスも同じなので、宇宙の資源を倍増させるとか、人類が減らなくても結局問題のない未来を見せるとかして、アベンジャーズがサノスの主張を完全否定していたら良かったかもしれない。
そして最大の不満は、ペギー・カーターがキャプテン・アメリカの退職祝いにしかなっていないこと。
自らを犠牲にして戦ってきたキャプテン・アメリカが衣装を脱ぎ、スティーブ・ロジャースとして愛するペギー・カーターの元に帰る――美しい話のようだが、これほど引っかかる話はない。映画館で思わず悲鳴をあげかけた。
ペギー・カーターは主役作品『エージェント・カーター』を持つ、歴とした主人公格のキャラクターだ。同作品でペギーは、女性蔑視の根強い社会にも屈さず、果敢に不正と戦う姿を見せてくれた。そんなペギーを、ペギー側から見たドラマは一切描かずに、キャプテン・アメリカを悦ばす物みたいに扱っていいものか。
だいたいキャプテン・アメリカ、現代でペギーが別の人と結婚したことを知っていながら、よくペギーを自分と結婚させようなどと思える。
× × ×
ちなみに、自分の来場者特典のダルマみたいなやつはアイアンマンで、カバー付きパンフレットのシールもアイアンマンだった。やったぜ。
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