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【専門課程レポート】「連ゼミ」第5期 第5回目講義

こんにちは!
次世代まちづくりスクール「連ゼミ」TA(ティーチングアシスタント)の竹屋です。
2/20(月)に行われた第5期「連ゼミ」の第5回ゼミの模様をレポートします。

本日もゼミ参加者の近況報告から始まりました。
ゼミ生の中にはご自身でプロジェクトを進めている方もいて、講義で得た知見を実践しています。

さて、ゼミも残すところあと2回となりました。
本日のメインテーマは、「参加型リノベ」です。
“みんなでつくる「参加型リノベーション」”の事例をもとに、参加のデザイン(Participatory Design)と参加型まちづくりの必要なステップとして、改修テクニックの解説と改修計画のポイントについて説明していきます。

なぜ参加が必要なのか。今の時代でそれがどういう意味を持つのか

参加型デザインを議論するうえで外せない論点は、「問題には種類がある」ということです。
以下の3つが、その“問題”の種類です。

①    tame problem:飼い慣らされた問題
定義するのも解くのも簡単な問題(割と誰でも解決できる問題)を指します。(例:宿題を提出する)
②    complex probblem:複雑な問題
定義するのは簡単、解くのは困難な問題(解くのは難しいが、専門家が解決するのが得意)を指します。(例:人を月に送る)
③    wicked problem:厄介の問題
定義することがそもそも不可能な問題(専門家だけでは解けない)を指します。(例:高齢化社会を解決する)

まちづくりは③に該当します。
専門家にとっての課題が住民にとっての課題とは限りません。
“何が”問題なのか、“誰にとって”問題なのかを色んな角度から見ることで変わるため、定義することが難しいです。
従って、“参加”が重要であり、色んな人と連携する・巻き込んで進めることが大事になってきます。

最後に、参加型まちづくりで必要なステップとして、以下の3つのキーワードを紹介します。

①    一緒に考える
②    一緒につくる
③    一緒に運営する

参加型まちづくりの事例紹介

事例①カスタマイズURプロジェクト(UR×東京R不動産×toolbox)

人口増加時代に大量生産された均質な団地を、今の時代に合わせる・カスタマイズするプロジェクトです。
「自由にカスタマイズできる」「原状回復なし」「サポート体制あり」の3つの特徴があり、リビングの壁にラワン合板の一面を用意した“カスタマイズできるフリーウォール”が強みです。

事例②住宅つき就職支援プロジェクトMODEL HOUSE(NPO法人 HELLOlife)

DIYができることを記載している仲介サイトが近年増えてきました。(例:DIYP
最小限リノベのみ実施し、その後は入居者に託すという手法もあります。ここでは、MODELHouseという事例について紹介します。これは若者の就労支援プロジェクトです。

事例③H&A Apartment(半田兄弟:半田啓祐+半田満)

福岡県久留米市で“リノベ兄弟”として知られ、自ら所有するアパートを拠点にマルシェやまち歩きなどのイベントを仕掛けるほか、団地のマネジメントやシェアオフィス運営などを行っている事例です。(こちらもご参照ください)
ゼロからリセットするのではなく、やりたい暮らしをここでやるために所有するアパートにてDIYを実施しました。

事例④MAD City(まちづクリエイティブ)

JR松戸駅から半径500m以内(徒歩圏内)をコアエリアとして設定し、地域に存する空き家の利活用とクリエイティブ活動を結び付け、移住・定住の促進に加えてクリエイターの活動サポートや事業開発支援によってまちの活性化を図る、千葉県松戸市でまちづクリエイティブが行っている事例です。
サブリースしてオーナーから借り上げて他の人に貸し出す仕組みで、クリエイターに貸し出しています。

参加型まちづくりにとっておきな手法・DIYに関するポイントと着眼点

ポイントを整理すると、下記の通りです。

・ゆか貼り
・壁塗装
・天井張り替え(若干難易度が高く、天井を抜くのは法規的にNGな可能性あり)
・棚等の造作工事
・断熱リノベ
・解体
・片付け(残置物撤去)

ここでは特に気を付けた方が良いDIYや断熱リノベのポイントなども紹介します。

・天井を抜く
・内装制限
・壁を抜く
・エントランスの位置を変える
・開口(窓)を減らす

「21世紀の新たな産業を切り開くべく、多様な専門家と次代を担う若者が結集した頭脳集団」であるHEAD研究会が公開している賃貸DIYガイドラインver1.1という資料がWeb上に掲載されていますので、是非参考にしてみてください。(リンクをご参照)

他にも、連教授に対してゼミ生が都度質問して学びを深めていきました。

第5回ゼミを振り返って

今回のゼミは、実践で役に立つ内容で溢れるゼミでした。
前半部分の議題である「参加が必要な理由や概念」について非常にタメになる話が多く、“まちづくり”という言葉を安易に使うのは良くないなと改めて感じました。
何か問題を発見したとしても、“誰にとって”“何が”問題なのかをしっかり掘り下げて考えないと、根本的な解決にはならないのかなと痛感しましたし、的外れなことをしてもそれが誰にとっての幸せでもないと思うので、非常に考えさせられる概念でした。
今回のゼミで紹介された事例についても、それぞれの事例で参加による効果が発揮されているなと思いました。
また、参加にはDIYが特に有効な手段であり、少しでも自分たちの手で行うことで愛着につながるというのはとても説得力があるなと思いました。


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