足底腱膜炎アップデート
突然ですが、みなさんは足底腱膜炎に対してどこまでご存知ですか?
足底腱膜炎の特徴として
・朝起きたら一歩目に激痛が生じる
・長時間立っていると踵周辺に疼痛が生じる
・扁平足や肥満の人に多い
・エコーで足底腱膜が4mm以上の厚みがある
・踵骨内側突起周囲の圧痛が強い
・windlass testにて疼痛が増強する etc
などが挙げられると思います!
中でも、エコーで足底腱膜の厚みが4mm以上ある場合、足底腱膜炎と判断することは、コンセンサスが得られていると思われます。
足底腱膜炎の患者では足底腱膜の厚みが増大しており、正常足で足底腱膜の厚みが4mmを越えた報告はありません。(レビュー論文より)
van Leeuwen KD, Rogers J, Winzenberg T et al: Higher body mass index is associated with plantar fasciopathy/'plantar fasciitis': systematic review and meta-analysis of various clinical and imaging risk factors. Br J Sports Med. 2016 Aug;50(16):972-81.
足底腱膜のエコー撮影の動画です❗️
ですが、「足底腱膜炎の考え方を変えなければいけない」と思った文献を見つけたので、私の考えを交えながら紹介します!
それでは行ってみましょう!
1.足底腱膜炎では足底腱膜は硬くなっているのか?
皆さんはどう思われますか?
私は足底腱膜炎だと、足底腱膜が肥厚し、硬くなり、張力が増大することで足底腱膜や踵骨付着部に過剰なストレスが生じることで、炎症・腫脹・疼痛が生じると考えていました。
ですが、まったく逆の報告が2020年にされていました💦
足底腱膜炎の患者に対してshera waveを用いて、足底腱膜の柔軟性を評価した報告では
足底腱膜炎では足底腱膜の踵骨付着部、付着部より1㎝遠位、足底腱膜の中心部(付着部より2㎝遠位)でコントロール群よりも、剪断波のスピードが遅かった。つまり、足底腱膜が柔らかい状態であったと報告しています。
Gatz M, Bejder L, Quack V et al:Shear Wave Elastography (SWE) for the Evaluation of Patients with Plantar Fasciitis. Acad Radiol. 2020 Mar;27(3):363-370.
※この論文の注意点
・足底腱膜炎の期間が不明(急性が慢性不明)、対象としたコントロール群の年齢差がある、過去に足底腱膜炎の治療を受けた患者も含まれている
論文にいろいろな制限はありますが💦
足底腱膜炎だから足底腱膜が硬くなっていると考えるのはよくないですね。私の知識不足でした😢
※豆知識
足底腱膜の弾性率(ヤング率)は年齢と共に値が低下します。エラストを用いた3つの研究では、加齢による弾性率の低下が報告されています。高齢者では、足底腱膜が柔らかいということです。
. Rios-Diaz J, Martinez-Paya JJ, del Bano-Aledo ME, et al. Sonoelastography
of plantar fascia: reproducibility and pattern description in healthy subjects
and symptomatic subjects. Ultrasound Med Biol 2015; 41:2605–2613
上記の報告はshera waveにも当てはまることが報告されています。
Zhang L, Wan W, Zhang L, et al. Assessment of plantar fasciitis using
shear wave elastography]. Nan Fang Yi Ke Da Xue Xue Bao 2014;
34:206–209
2.足底腱膜炎のエコーの感度・特異度は?
エコーのBモードにて足底腱膜の厚みを計測した際の感度は61%、特異度は95%でした。Bモード+shera waveを用いると、感度は100%、精度は90%であると報告しています。
Gatz M, Bejder L, Quack V et al:Shear Wave Elastography (SWE) for the Evaluation of Patients with Plantar Fasciitis. Acad Radiol. 2020 Mar;27(3):363-370.
これは私の盲点だったのですが、エコーのBモードの感度がそこまで高くないということ💦つまり、Bモードだけの検査では、見逃す可能性があるということです。
Bモードで足底腱膜の厚み、低エコー像や炎症像、足底腱膜の不整像を評価した後に、shera waveで弾性率を評価することがより確実ですね!
足底腱膜のエコー撮影の方法です!
今回の記事は以上となります
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yoshiki
【資格】
・理学療法士
・運動器認定理学療法士
・三学会合同認定呼吸療法士
【専門分野・得意分野】
・足関節、肩・肘関節
・エコーによる動態評価と治療
【主な仕事】
・整形外科クリニック勤務
・高校サッカーのトレーナー
【運用WEB】
・Twitter:簡単な文献紹介やエコー画像を投稿しています!
・note:Twitterには記載していない情報を提供しています。
「解剖学は裏切らない」と思っています。形の違いや破格はありますが、筋肉や靭帯、骨の位置を知っていれば、評価・治療に直接結びつきます。私は解剖学的観点とエコーを用いて、皆さんに基礎的な部分を分かりやすく伝えていきたいと思います!
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