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腸腰筋の教科書 ~解剖・機能・トレーニング方法つめこみました~

皆さんこんにちは!理学療法士のYoshiki(@PtGekikara)です。


今回の記事では、一般的にも知られるようになった「腸腰筋」について考えていきたいと思います。


腸腰筋は体幹と下肢を繋げる唯一の筋肉で、体幹の深層にある筋肉です。腸腰筋は体幹の運動にも関与しますし、股関節の運動にも関与する筋肉です。


腸腰筋は股関節屈曲作用を持ち、股関節伸展位では前方の安定性を高めたり、腰椎においても安定性を高める機能があります。


つまり、腸腰筋は身体の中心に安定性を与える筋肉であり、身体の中心を動かす筋肉です。私のイメージは腸腰筋は船のマストであり帆でもあるイメージです!

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それでは、本題に入っていきましょう!


1.腸腰筋の解剖と機能

まずは、腸腰筋の解剖です!ここでは腸腰筋の走行、筋組成、筋断面積と機能について考えていきたいと思います


1-1.腸腰筋の走行と機能

腸腰筋は大腰筋(+小腰筋)、腸骨筋から構成される総称です。

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大腰筋はTh12~L4から起始し、小転子に付着します。腸骨筋は腸骨窩から起始し、小転子に付着します。


この腸腰筋の走行から重要なことが考えられます。それは股関節前方の安定性です。腸腰筋は前方から見るとまっすぐに小転子に付着している様に見えますが、横から見ると腸腰筋の走行は弓なり状となり、大腿骨頭を前方から後方にかけて押し込むような力が働きます。

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では、腸腰筋はすべての肢位で股関節前方安定化に作用するかというとそうでありません。腸腰筋の走行が弓なり状になっている、大腿骨頭に触れている(股関節伸展位から軽度屈曲位)までの間で股関節前方安定性に働くと考えられています¹⁾。


これは、股関節の構造で考えると納得しやすいです。股関節の臼蓋は前方を向いており、大腿骨頭にも前捻角が存在しています。つまり、股関節は前方不安定性が高い関節です。


なので、腸腰筋は股関節伸展位から軽度屈曲位までは股関節前方の動的スタビライザーとして機能していると考えられます。逆に股関節が屈曲すると、臼蓋と骨頭の位置関係が安定する(被覆率が増大し、骨性の安定性増大)ので、腸腰筋の支持機能の必要性も低下すると考えられます。


さらにもう一つ、腸腰筋の走行と機能について理解しておくべき内容があります。


それは、腰椎との関係性です。まずはこちらをご覧ください!

腰椎後弯位で腸腰筋が働くと、より腰椎を後弯させる力になり、腰椎前弯位で腸腰筋が働くと、より腰椎を前弯させる力になります。なので、腰椎の前後弯中間位で腸腰筋を働かせることが重要になります。


ここで、「腸腰筋は股関節の安定性に関与する」「腸腰筋は中間位で働かせる」で終わってしまうと、ただの知識になってしまうので、臨床の中で使えるように考えることが重要です。


例えば
どの点に気を付けて腸腰筋をトレーニングするべきか?
・臼蓋形成不全がある場合、腸腰筋は鍛える方がいいのか?
・腸腰筋が機能低下している場合、歩行ではどのように介入するのか?

などの疑問に繋げれると最高だと思います!

この点については、治療・介入の部分で詳しく記載したいと思います!

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