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距骨下関節の解剖を掘り下げる

足部には骨が28個(両側で56個)存在し、多くの関節を形成しています。関節が多くあることで、足部の小さな動きを可能としており、不整地への適応や複雑な動きを可能にしています。


今回の記事では、足部に多数ある関節のなかでも、最も重要と考えられている「距骨下関節」の解剖を掘り下げて考えていきたいと思います。


距骨下関節は3つの部位

距骨下関節は距骨と舟状骨と踵骨から構成される「距踵舟関節」、距骨と踵骨から構成される「距踵関節」、距骨と踵骨の凹面から構成される「足根洞」の3つからなります。

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それぞれの解剖学的な特徴や評価の方法を説明していきたいと思います。


距踵舟関節の解剖学的な特徴と評価の方法

距踵舟関節はボールアンドソケット関節とも呼ばれ、股関節の形状と似ています。距骨頭は大腿骨頭に似ており、踵骨の前・中関節面、舟状骨の距骨(後面)関節面は寛骨臼に似ている形状となります。

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もちろん、骨だけではなく靱帯も存在しており、距踵舟関節の安定性を向上させています。なかでも、踵骨と舟状骨を結ぶバネ靭帯(靭帯複合体)がソケットの中央部分を形成しており、重要な役割があります。

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上の図ではバネ靱帯は側面にあるように見えますが、底面から見ると距骨頭が覆われていない部位を埋めるように存在していることがわかります。距骨頭を包み込むようなスリングを形成しており、距骨頭を支持する重要な組織であることがわかります。

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このバネ靱帯は解剖学的にも臨床的にも重要と私は考えています!

最近の研究では、バネ靱帯を2つの部分または3つの部分に区別しています。その中でも、上内側の線維(SML)が三角靭帯や後脛骨筋腱と密接な関係があり、これらが一体となって複合体を構成し、足関節と距骨下関節の両方の安定化に関与しています。


バネ靱帯の安定性に関するいくつか論文を紹介すると

バネ靭帯の断裂や不全の存在は、成人後天性扁平足(後脛骨筋機能不全症と関係)が進行した患者によく見られることが報告されています。
また、バネ靱帯と密接な関係性がある脛舟靭帯、脛骨スプリング靭帯を損傷させると、足関節の不安定性が生じると考えられています。


つまり、バネ靱帯は距踵舟関節や距骨下関節を支持する重要な組織で、扁平足や足部不安定性が存在する場合、評価は必須です。また、バネ靱帯と密接な関係がある三角靱帯や後脛骨筋の機能も一緒に評価していく必要があります。


バネ靱帯の評価はエコーが第一選択になると思います。

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バネ靱帯をさらに詳しく知りたい方はこちらもどうぞ!


距踵関節の解剖学的な特徴と評価の方法

距踵関節は距骨下関節の後方を構成しています。

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