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東京タワー

惨めだ 哀れだ 儚げだ

抱擁の温度さえも思い出せない夜に
東京タワーは一段と輝いていて
そこに群がる大衆に目眩がした

素直に綺麗だとスマホのカメラで
シャッターを切ればよいものを
右ポケットから出せずにいる

こういうときに
素直に喜べる愛嬌が備わっていたら
私の人生にたった一人で
ここから東京タワーを眺める時間など
存在しなかっただろう

惨めよ哀れよ儚げよ

それでも
今日は湯船で体をぽかぽかにして
温かいココアを飲んで
ふかふかなお布団に包まり
長田弘さんの詩を読む

自分だけは
自分のいちばんの味方でいよう

愛だ 労りだ 温もりだ 

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