見出し画像

育児で忙しい人のインバスケット昇進試験合格戦略(子育ては最高の実践)

はじめに


この記事を読んでもらいたい人

会社でインバスケットの昇進試験を控えているが、育児で忙しくて手が回らず、何とかしたいと思っている人。

キャリアアップのためにスキルアップさせたいが、育児で手が回らず諦めなければならないかと悩んでいる方。


本記事を書くに至った経緯

私は過去に会社での昇進にあたり、インバスケット試験を受けました。
その時に絶対合格したいと思い、さまざまな書籍を読み込む、トレーニングを重ねるなどの対策を十分にして一発合格しました。


その後、新規事業のプロジェクトマネージャーとして働きましたが、その仕事は日々トラブルや課題が降りかかり、インバスケット試験のような状態を実際に経験しました。


そんな私ですが、現在は育児休業を取得しており、かなりの時間を育児に費やしています。
育児休業中は、毎日慌ただしく赤ちゃんのお世話やイベント、トラブルや来客の対応などをしています。そこで感じることとして、

「育児はインバスケットと同じ」
「育児にもインバスケットの考え方を応用できる」

ということがあります。

そういった実体験を踏まえて

育児がそのままインバスケットのトレーニングとなれば、
昇進試験もより効率的に確実に合格に近づける!

という確信を得て、今回の記事を書きました。


本記事の内容

今回の記事の内容は、次の章構成としております。

【本記事の内容】
1章:インバスケット昇進試験とは
2章:育児はインバスケット?
3章:合格までのロードマップ
4章:時間が無い人向け
5章:まとめ
6章:参考文献

なお、これは私の主観だけでなく、6章の情報元を参考にしながら、自分の昇進試験の経験と育児体験をベースに作り上げたものとなっております。

それでは、本編をよろしくお願いします。


1. インバスケット昇進試験とは

まず初めにインバスケットを用いた昇進試験とはどういったものなのか、概要を掴みたいと思います。

インバスケット昇進試験を

 ①インバスケット
 ②昇進試験 

この2つに分解して整理していきたいと思います。

1-1. インバスケットとは


「インバスケット」は、1950年代にアメリカ空軍で生まれたトレーニングで、制限時間内に架空の役職・人物になりきり、多くの未処理案件の処理を行うビジネスゲームです。
現代風に例えると、メールボックスでまだ開封されていないメールがたくさんあり、それらを一定時間内に見て、返信や対応をするなどの処理をおこなうことです。

現在、日本では一流と呼ばれる大手企業の多くが、管理職の教育や選抜用のテストとして活用しています。

”究極の判断力を身につけるインバスケット思考”

非常にざっくりと言うと

めっちゃ短い時間で沢山の案件を即断即決で処理していくゲーム

となります。


1-2. 昇進試験とは

昇進試験とは、その名の通りあなたがそのポジションに昇進するに相応しい人間か試験をするものとなります。


つまり、昇進した後の役職に求められている能力が備わっているかどうかが見られます
多くの会社では、この試験をマネジメント層の写真を対象に実施しているで、本記事では管理者(マネージャー)を対象にしたものとして記述していきます。

マネージャーの大きな特徴として、チームを組織して部下を動かす

というものがあります。
そのため、試験ではプレイヤーとしての能力というよりも、マネージャーとしての能力があるかどうかを見られます。


1-3. インバスケット昇進試験とは

上記の内容を合わせて、インバスケット昇進試験は次のようなものです。

  • 60-90分という制限時間内に架空の役職・人物になりきり、20-25件ほどの処理を行う試験です。
    だいたい、前任者(部課長レベル)が急に倒れたりして、その穴埋めで代理をするというケースが多いです

  • メールボックスでまだ開封されていないメールがたくさんあり、それらを一定時間内に見て、返信や対応をするなどの処理を行います。

  • プレイヤーではなくマネージャーとしての資質を採点されます。


インバスケットを昇進試験に利用している会社はそれなりにあり、私も昇進に際して受けました。
その感想ですが、かなり短い時間で沢山の案件をこなす必要があり、何も対策をしないとまず合格はできないでしょう。

各案件に対して回答する優先順位をつけていなかいと厳しいです。


1-4. 実際の問題を知る

それでは次に、実際の試験問題を知っていきましょう。
実際の試験の問題は以下のようなパターンであることが多いです。

<シチュエーション>
 ・急遽上層部に任命されて支店のマネージャーとして抜擢される。
 ・研修などで数日事務所不在にする(その間に部下と連絡取れない)

<案件の例>
 ・取引先からのクレーム発生。不在中に対応を求められている。
 ・コンプライアンスを無視した部下の問題(でも成果は出している)
 ・数日以内に今後の新規事業の方向性を考える
 ・社内の設備増強するかどうか迫られる
 など


以下では、各案件について具体例を見ていきましょう。

【具体例1】

”究極の判断力を身につけるインバスケット思考”より

この案件では、部下の立花さんが「衛生用品が無いから補充して」と上司に連絡しています。それに対して、上司である副店長の金田さんは「予算が無いので使い回しでなんとかして」と答えています。
こんな状況を見た店長のあなたはどう対応すべきかが問われています。


副店長が会社の考え方と異なる指示を出しているので、それを上司であるあなたが注意すべきという内容です。
副部長も悪気があるわけではなく、方針を理解していないのです。
(「常識的に考えてダメ」というものは試験では通じませんのでNGです)


【具体例2】

”究極の判断力を身につけるインバスケット思考”より

部長の白石さんから、部下である各店長に対して、破棄率が昨年に比べて多く、原因調査と対策を依頼するという内容です。

この問題は資料の見方を問われています。
確かに、この店舗(東京中央点)では前年比で多くなっていますが、それでも全店舗平均からみると良い成績です。

メールの文面だけを見て真に受けるとアウトです


実際の試験はこのような案件が全部で20-25件ほどあり、それを60-90分ほどの制限時間内に読み込んで、メール形式で返信する(実際の文章形式で)といったものとなります。

やってみるとわかりますが、何の対策もしないと非常に時間が足りなく感じると思います。


1-5. 優先度の決め方


 インバスケットでは、よっぽどではない限り全ての案件を処理することはできません。
むしろ、捨てるべき案件を見極められているかも採点対象に上がることもあります

そのため各案件について”優先度”をつけて、優先度が高いものから手を付ける必要があります。


優先度は緊急度と重要度の二つの観点で次のように考えます。

  1. 優先度1:緊急かつ重要

  2. 優先度2:緊急ではないが重要だ

  3. 優先度3:緊急だが重要ではない

  4. 優先度4:緊急でも重要でもない。


ここでポイントなのは、優先度2と3の考え方です。

緊急度が高いけど重要度が低い ものと 緊急度が低いけど重要度が高いものをどうするか ですが、

緊急度が低いけど重要度が高いもの」を優先的に対応することが求められます。

多くの人は、重要ではないのに緊急な要件に時間を取られて本当に大事なものに着手でません。
しかし、そういう重要なものを後回しにしてしまうと、後々大きな問題や機会損失に育っていきます。
(※この考え方は「エッセンシャル思考 最少の時間で成果を最大にする」を読めばより納得していただけるかと思います。)



なので、この優先度2と3が非常に重要です。


また、以下に緊急度×優先度について、具体的な事案の例をまとめましたので、参考にご覧ください。


1-6. インバスケット採点基準

インバスケット試験を受けた人は「何を採点されてるか分からない」と言うことが多いです。
しかし、しっかり調べれば採点基準は見つかります。

以下表は"ビジネス偏差値 70の人の答え"より引用した、インバスケット試験の採点基準です。

ヒューマンスキルなんかも採点対象なのは、私個人としても盲点でした。
しっかり調べるのは重要です。

また、採点には絶対的な1つの正解というものはなく、さらに相対評価を採用しています。



2. 育児はインバスケット?


さて、冒頭でも述べましたが、私ですが、現在は育児休業を取得して、かなりの時間を育児に費やしています。
育児休業中は、毎日慌ただしく赤ちゃんのお世話やイベント、トラブルや来客の対応などをしていますが、

「育児にもインバスケットの考え方を応用できる」

と考えることが多々あります。


育児でも日々子供に関して色々なトラブルやタスク(=案件)が発生し、それを捌くのは、まさにインバスケットと同じような状況かと感じています。

<案件の例>

  • 泣いてる子供の対応

  • 進まない料理や買い物

  • 自分の思い通りに育児をしてくれない夫・妻

  • 仕事の延長 vs 保育園の終了時間

  • ママ友との付き合い

  • 将来に向けた貯蓄など

  • 引っ越しに伴う保育園探し

日々こういったことが起きていますが、優先度をつけて適切・適度に処理していかないと、とても全てを完璧にこなすことはできないでしょう。

まさにインバスケット状態です。

なので、逆に考え、育児をインバスケット試験のトレーニングに応用していまえば、昇進試験もより効率的に確実に合格に近づけます。

また、試験のためでなくとも、インバスケットという短い時間で多くの案件を処理するスキルは、育児含め日常生活にも役立つので、ぜひ取り入れて欲しい思いです。


2-1. 育児の案件を処理してる

実際に育児をインバスケットに置き換えたらどんなものか見てみましょう。

例えば、あなたは結婚して1歳になる子供がいる妻だとしましょう。
「料理の具材の買い物をしたいが、子供の目を話せないし手が回らない」
という状況だとします。

これをどう処理するか、一例を出してみます。

<処理の例>
・夫に夕食を買ってきてくれないか相談する。
・休日にまとめて料理する
・買い物をネットスーパーに変更する。
・夫に在宅勤務の頻度を増やして子供を見てくれるようお願いする。

などがありますね。

自分の状況、家庭の予算状況、夫の仕事の状況など複数の状況を考慮して判断しましょう。


2-2. マネージャー視点を忘れずに

インバスケット昇進試験は、マネージャーとしての判断ができているかが問われます。

重要なのはプレイヤーのように”タスクを自分で全て早くこなす”のではありません。

  • やらなくてもいいことを判断し、

  • うまく他の人にタスクを振り、

  • 未熟なメンバーがいれば教育し、

  • それが持続して回るようにチームの体制を整える

そういったことが、マネージャーに求められるのです。

たとえば、上記の例
「料理の具材の買い物をしたいが、子供の目を話せないし手が回らない」
で昇進試験的に間違った回答を言うと

「自分の体力とスキルとを磨いて、素早く買い物を完了して料理をすぐに済ませられるようにする」

などがあります。
これも効果がないとは言いませんが、自分一人で全てこなそうとするのは、プレイヤー視点から脱出できていないということになります。


あくまでインバスケット的な観点ですが、

「夫が何もしてくれない」といって愚痴をいうだけで、未熟な夫を教育せずにタスクも振らず、全てのタスクを自分で抱えて全部こなそうとする

というのは0点となります。


人をうまく使う、それが重要なのです。


2-3. 正解は無数にある

インバスケット試験には”これ”という1つに決まった答えはありません。状況や人に応じてそれぞれの答えがあります。

あなたが「これが良い」という判断をしていくことが求められます。

育児でも同じで、世の中には色々な人がいて、その人達がそれぞれの立場から良い育児について語っています。

「どれが正解でどれが間違っている」ではなく、「私はこれを選択する」という判断をしていきましょう。

情報が溢れている現代、育児においてあれもこれもと情報を取りいれてパンクしているような話をよく耳にします。

インバスケット的には「これでいく!」と腹を括って決断していくことが重要です。早く判断して先に進めることに慣れていきましょう。

3. 合格までのロードマップ


さて、前章までインバスケット昇進試験と育児におけるインバスケット要素を説明しました。
重要なのは、「インバスケットはスキルであって、知識ではない」ということです。
頭では理解していても、いざやってみるとトレーニングを積んでいないとなかなかできないものです。

これからは育児で忙しい人のための合格に向けたステップを次の4ステップとしました。

  1. インバスケット昇進試験が何なのか知る

  2. 育児で判断トレーニング

  3. 考え方のトレーニング(試験問題を見て)

  4. 時間配分のトレーニング(自分の弱点を補強する)


それぞれ順に解説していきます。


3-1. インバスケット昇進試験が何なのか知る

本記事の1章でも簡単には説明した内容です。
時間があれば、書籍などを読んでより具体的に知る必要があります。

6章の「参考にした情報源」に挙げたものを全て見ていただくのが確実とは思います。
ただ、「それを読み込む時間が無いんだよ!」という人は、次の記事にポイントを盛り込んでいるので、そちらをご覧ください。

また、あなたが昇進試験その会社での過去問を見るなどして、会社ごとの特徴を掴みましょう。


3-2. 育児で判断のトレーニング

育児で忙しくて勉強時間が取れなくても、日々の育児の内容で判断のトレーニングをしましょう。

特に、以下の観点を意識しましょう。

  • 優先度(緊急×重要)の判定
    特に「急ぎだけど重要ではない」という育児は後回しにして、「急ぎでないけど重要だ」というものを優先的に対応する訓練をしましょう。

  • 本当に必要ではないものを切り捨てる
    今の世の中、「あれもこれもした方がいい」という情報が溢れています。
    しかし、そんなことを全てやっていたら本当に大事なことに力を割けなくなります。勇気を持って、本当に必要ではないものは切り捨てるトレーニングをしましょう。

  • アクションの決定(マネージャー視点)
    具体的なアクションを決めましょう。特に、プレイヤー視点ではなく、マネージャー視点で、関係者に仕事を振ることを意識したアクションにしましょう。


3-3. 考え方のトレーニング(試験問題を見て)

育児でのトレーニングを積んだら、実際に問題を見てみて、自分の考える方向性が正しいかチェックしましょう。
いきなり問題を本番さながらに解いても時間の無駄です。
(1回目だけは、時間が足りないという現実を知るためにやってもいいかもしれません)

問題集はインバスケット研究所というところで購入できます。
ただ、試験が終わった人がメルカリで安く出品していることもあります。

【参考:メルカリ& ラクマ】
メルカリをはじめてみませんか?500円分お得に購入できる
招待コード RFZZMU 


ラクマをはじめてみませんか?500円分お得に購入できる
招待コード 4eL74




3-4. 時間配分のトレーニング(自分の弱点の補強)

インバスケットの考え方に慣れた後は、試験時間を意識しながら試験問題を解いてトレーニングをしましょう。

「インバスケットはスキルであって、知識ではない」です。

いざやってみると、想像以上に時間がかかると思います。


また、これは私の体験から考えることですが、多くの人はインバスケットの”考え方”はわかっても、スキルとして身についていないと感じます。


このトレーニングを通じて

“できるまでやる”

ことが合格を分けるもっとも大切なことだと考えています。
下の図がスキルとして身についた度合いと合格レベルを表しています。

図 インバスケットの体得レベルと合格ライン



ちなみに制限時間以内にできるようになるためには、私は”回答のテンプレート化”という戦術を使いました。

とうのも、何度も問題を解いているうちに、案件のパターンが見えてきました。

「こういった案件にはこういった回答をしておこう」

というものを、採点基準を見ながら作り込み、本番では半分思考停止で高速で回答を作れるようにしました。
(もちろん、問題を読みながら適宜微修正はしましたが)

結果的に、10分時間を余らせて全ての案件を処理するに至りました。
トレーニングを積めば、そのように余裕を持って合格することも可能です。


4. 時間が無い人に向けた具体的な内容

上記のロードマップでかなり効率的にインバスケット試験の合格へ近づけると考えます。

しかし、このような効率的なロードマップがあっても以下のような状況で難しい人もいることでしょう。


  • インバスケット関連書籍を読み込む時間が無い。

  • 育児のシーンをインバスケットに置き換えて考えるのが難しい。

  • 採点してくれる人がいなくて、トレーニングしたくてもうまくできない。

  • どうやって回答を作ればいいか分からない。

  • テンプレートをつくれるほど問題を解く時間が無い。


そんな人のために、より具体的に試験問題の各パターンとその解き方に深く踏み込んだ合格戦術を次の記事に用意しました。
興味のある方はぜひご覧ください。



5.まとめ

いかがでしたでしょうか。本記事では、育児とインバスケットの類似性を上げ、育児をインバスケット試験のトレーニングに活用する方法をまとめました。

1章:インバスケット昇進試験とは
 非常に短い制限時間でマネージャー視点で多くの案件を処理する試験
2章:育児はインバスケット?
 日々慌ただしい育児はインバスケット状態。トレーニングにはもってこい
3章:合格までのロードマップ
 インバスケットは知識ではなくスキルです。育児を利用して効率的にトレーニングを積みスキルとして体得しましょう。

育児や本業が忙しすぎて手が回らないと言う方は、次の記事をご覧ください。



以上、ありがとうございました。

6. 参考にした情報源

  1. 鳥原 隆志 (2011), 究極の判断力を身につけるインバスケット思考, WAVE出版

  2. 鳥原 隆志 (2015), ビジネス偏差値70の人の答え 40の人の答え, 朝日新聞出版

  3. グレッグ・マキューン (2014), エッセンシャル思考 最少の時間で成果を最大にする, かんき出版

  4. P F ドラッカー (2001), マネジメント[エッセンシャル版], ダイヤモンド社

  5. グレッグ・マキューン(2014), エッセンシャル思考 最少の時間で成果を最大にする, かんき出版

  6. インバスケット研究所



 




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?