本を通した人の繋がりー礒井純充他「コミュニティとマイクロ・ライブラリー」ー

いつも記事として本を紹介していますが、数が揃ってきたらあるテーマに沿った本をまとめて「本棚」として紹介したいと考えています。
noteでいうと「マガジン」に似たようなものでしょうか。

「本棚」というと、個人の部屋の本棚、もしくは本棚がずらっと並んだ図書館を思い浮かべると思います。
そして、図書館というと自治体や学校のものなど、公共のものというイメージが強いのではないでしょうか。

そこで自分の中で浮かんだ疑問が、個人の本棚と公共の図書館を足して2で割ったような、「私設図書館」のようなものは存在するのか?といったものでした。
あとで考えてみれば喫茶店などもそれに近いと思いますが、そのときはすぐ頭に浮かびませんでした。

そんな疑問から見つけたのが、ここで紹介する本のテーマである「マイクロ・ライブラリー」です。

値段が何かおかしい気がしますが、どうやら新品がないようです。
著者の方は、マイクロ・ライブラリーについて他にも本を出版されていますので、そちらが参考になると思います。

この「マイクロ・ライブラリー」という存在をこの本で初めて知りました。Wikipediaによると、「小さな図書館(Little Free Library)」と呼ばれ、

地元の地域社会の人たちに小さな箱に収められた本を無料で貸し出すというアメリカ合衆国および他国にも広がっている非営利の運動
引用:wikipedia|小さな図書館より

とされており、アメリカのウィスコンシン州ではじまった運動のようです。

自分がイメージしていたものと近いような気がして、それをテーマとしていた今回紹介する本を読んでみました。

日本ではこの本の著者である礒井さんがこの運動を広められているようです。

本の内容としてはマイクロ・ライブラリーのサミットでの発表をまとめたもので、全国各地でマイクロ・ライブラリーを運営する方の話が収録されています。

マイクロ・ライブラリーの話題に入る前に、まずは昨今書店や図書館が置かれている状況を紹介したいと思います。

2000年頃には約2万だった書店が、2015年頃には約1万になったそうです。
しかしながら、総床面積は変わっていないとのこと。
つまり、小さな書店が減少したということになります。

図書館については、公共図書館がおよそ3200、大学図書館がおよそ5000弱あるそうですが、現在は分館などが減らされている状況にあるそうです。

つまり、本へアクセスできる場所が減っている、ということになります。
書店の方の話もありましたが、その減少にはやはりamazonなどの影響も大きいとのこと。

本のタイトルに「コミュニティ」とありますが、そういった書店や図書館が置かれている状況のなかで「地域に根ざして」ということが重要になってくるようです。
その地域の人が関心を持つ本棚を作ったり、人と人がつながるコミュニケーションの場にしたりと、そういった工夫をされているとのことでした。

これは次の本で紹介されていた

「ある市場や経済圏の中で、その人しかできない状況をつくる」
堀江貴文、落合陽一著|「10年後の仕事図鑑」より

 に近いことだと感じました。

本の中で紹介されているマイクロ・ライブラリーの特徴を大まかにまとめると以下のようになるかと思います。

・ジャンルや出版社ではなく、独自に選んだ本棚をつくること。
・本を通じて、人々がコミュニケーションをできる場をつくること。
・容易にアクセスできる本棚をつくること。例えば、バス停に小さな本棚を置く試みが紹介されていました。

さまざまな取り組み、色々なアイデアが紹介され、読んでいて、そんなやり方もあるのか、と思うことがたくさんありました。

本の最後に全国のマイクロ・ライブラリーの一覧が載っています。
お近くにあれば訪問されるのも面白いかもしれません。


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