アセスメントを考える上で基本的だけど抜けがちな視点
(1,848文字/個人差はありますが、約3分~5分程で読めると思います)
こんにちは。よこはま発達相談室の佐々木です。今回は「アセスメント」をテーマに書いていきます。
アセスメントの意味
「アセスメントが大切」というのは、よく見聞きする言葉だと思います。他方で、日本語にすると「評価」となるので、「優劣をつけたり、査定するみたいで嫌だ」という言葉をお聞きすることもあります。
実際のアセスメント(評価)は、1~5段階でつける成績のようなものではなく、「その方と周囲、そして地域の社会資源を含む環境を知ろう」という意味です。だからこそ、一人ではできませんし、ご本人や親御さん、関係者の皆さんと一緒に情報を整理していくことが大切です。
個人のアセスメントがスタート
どうして上述したようなアセスメントが必要なのかと言えば、ご本人やご家族のご負担やストレスが減り、より生活しやすくなる、そうしたサポートを考えるためです。そのためには、何が必要でしょうか?
その方にあったメガネを作るには、その方の視力を知らなければなりません。
その方にあった靴をプレゼントするためには、その方の足のサイズを知らなければなりません。
その方にとって有意義な食事を提供するためには、その方の好みを知らなければなりません。
支援現場におけるアセスメントも同じです。まずは、その方のことを知らなければ、その方にあったサポートは考えられません。そのくらい当たり前で、基本的なことではないでしょうか。
でも、難しいのも事実
ご質問として多く頂くのは、「大事なのはわかったけれども難しい」「どうやったらサポートに活かせるアセスメントができるようになるのか」というものです。
視力を測るためには、視力を測るスキルがなければなりません。
足のサイズを測るためには、足のサイズを測るための技術が必要です。
食事を提供するためには、調理のスキルが求められます。
これらは、見聞きするだけで磨かれるものでしょうか。恐らくは、そうではなくて、経験が必要になってくるのだろうと思います。アセスメントも同じです。
そして、ただ経験するよりも、どのような経験を積むのかも重要になってきます。最後に、アセスメントスキルを磨くために、よこはま発達クリニック、よこはま発達相談室でどのような内部研修を行なっているのかを共有します。
チームでアセスメントを
よこはま発達クリニック・相談室には様々な専門職が在籍しています。そして、それぞれが独立して臨床業務にあたるわけではなく、チームになってサポートを考えていきます。
その際に大切にしているのが、「アセスメントや見立ての擦り合わせ」です。
検査の評定を二人で行いながら、その根拠について議論する
検査や療育の映像を一緒に見ながら、見立てについて議論する
こうしたことを繰り返し行なっています。そうすることで、自分にはなかった視点が得られやすくなります。「同じ場面を見ながら」というのがポイントで、これは親御さんに対しても同様です。そのため、療育も親御さんにいつも見ていただくようにしています。
こうしたアセスメントの擦り合わせをする経験を積むことはどの現場でもできることだと思いますので、ぜひ参考にされてください。
まとめ
今回は「アセスメント」をテーマにまとめてみました。
アセスメント=優劣や上下をつけるものではない
アセスメント=その方と周囲、そして地域の社会資源を含む環境を知ろう
アセスメント=その方にあったサポートを考えるため
アセスメント=その技術は経験を積むことで向上する
アセスメント=チームで行うことで、より良い経験・研鑽になる
本日もお読みいただきありがとうございました。
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公認心理師・臨床心理士・精神保健福祉士
佐々木康栄
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最後に、今日の記事に関連する研修会のお知らせです。ご関心あるテーマがございましたら、ご参加して頂けますと幸いです!
インフォーマルなアセスメントについて、どのような検査があり、何を目的に、どう活用しているのかを知りたい方向け
実際の支援現場での行動観察を含めたアセスメントについて、一緒に映像を見ながら考えたい方向け
知能検査から何を、どうアセスメントし、どう支援に活用するのかを詳しく知りたい方向け
その他SNS
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