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マジンガーZと北斗の拳から見える、ビジネスにおける正義感と倫理観


「力」をどう使うかでヒーローかどうかが決まる

昔のヒーロー物には、必ずといっていいほど「ニセモノ」が登場しました。偽ウルトラマン、偽仮面ライダー。初期のマーベルでもスーパーマンと同じ能力を持った悪のスーパーマンが登場します。

マニアックな話をすれば、偽ウルトラマンは表面を似せただけの存在ですが、偽仮面ライダーは違います。悪の秘密結社SHOCKERが作り上げた仮面ライダーに対抗する「同じ性能(何なら少しバージョンアップ)した存在」、それが偽仮面ライダーです。性能は同等か上回っています。しかも、偽仮面ライダーは徒党を組んでいます。「戦力」という観点では、仮面ライダーが勝てるはずがありません。
フィクションの世界ですから、どのようにして主人公が勝利したかはあまり、ここでは問題になりません。ポイントは、同じ性能の仮面ライダーの違い。

それは「正義感」です。
なんのためのその力を使うのか、が重要なのです。

故石ノ森章太郎氏はこのテーマがライフワークだったようで、仮面ライダーだけではなく、サイボーグ009でも同じモチーフ(悪の組織によってもたらされた能力を正義のために使う)が出てきます。持っている力をどう使うかで、ヒーローであるかどうかが決まるのです。

起業家は必ず周囲に影響を及ぼす

起業をしようとする人、そうでなくても自分で仕事を変えていこう、切り開いていこうとする人には、「意志の力」があります。周囲を巻き込む魅力があることも多いです。多かれ少なかれ「世界を変えてやろう」という気持ちがあり、行動は必ず周囲に影響を及ぼします。

だからこそ、自分自身を、自分の決めた規範で律することが必要です。Entrepreneurshipとは、人生を自分らしく生きるための羅針盤。そこには「倫理観」が欠かせないのです。なぜなら、あなたの行動は、必ず周囲を巻き込むからです。
規範は自分自身が決めます。そこに「人を騙してもいいから、お金儲けしたい」という規範を設定すると、特殊詐欺師が生まれます。大衆を騙してもいいから、この国を牛耳ってやろうと考えると、独裁者が生まれます。

マジンガーZに見る「正義感」と「倫理観」

マジンガーZ 愛蔵版 中央公論社
マジンガーZ 愛蔵版 中央公論社

日本のロボットアニメの原点といる「マジンガーZ」でも、冒頭は、「その力の使い道」に言及されています。マジンガーZを生み出した兜十蔵博士は、孫である兜甲児にこう言い残します。

「マシンの怪物、マジンガーZが、お前に望み通りの力を貸してくれる」

「お前は、神々にも、悪魔にもなれる」

無敵のロボット・マジンガーZを使いこなせば、世界を征服することもできる(悪魔になれる)し、世界を征服しようとする悪魔から世界を守ることができる(神になれる)というのです。主人公、兜甲児は、結果として悪魔にはならず、悪の組織の世界征服を阻んだものの、神にはならなかったのです。これは彼の正義感と倫理観によるものだと解釈できます。悪の組織による世界征服を阻んだのは、彼の正義感です。しかし、悪の組織を滅ぼした後、マジンガーZを封印し、普通の生活に戻ったのは、彼の倫理観による行動です。兜甲児は、普通の生活を望んだ、というよりも英雄であることを拒んだ。
自分がどうありたいかを自問し、それに従って行動したのです。まさに「自律」であり、倫理だと思います。

北斗の拳は力の使い方の対極が表現されている

また古い漫画ですが「北斗の拳」という漫画も「自分自身の力の使い方」という視点で見ると興味深いものがあります。作中で最強の拳法・北斗神拳があります。主人公はその継承者なのですが、実のところ、彼にはなんの「意志」もないように見えます。まるで映画「マッドマックス」の世界のような世紀末(この表現も古いですね)、主人公であるケンシロウは、降りかかる火の粉を払い、周囲の人を守るだけです。それはそれで尊いのですが、他の人物は違います。さまざまな拳法の使い手が盗賊をしていたり、街を守っていたり、それぞれの意思で動いています。最も対極的なのが、主人公の兄弟子であるラオウです。主人公と同等かそれ以上の北斗神拳の使い手であるラオウは、その力で「独裁者」となります。その真意はさておき、「力の使い方」でこれほど変わるのだということを表しているように見えます。
主人公ケンシロウは、物語の最後まで、「専守防衛」です。自分からなにかのために動くことはほとんどありません。周囲の人を守るためだけに力を使います。
自分の持つ北斗神拳という力が強すぎることを自覚し、その力を使うことを最小限にしようという意志があるのです。だから最終回の最後の言葉が「俺の墓標に名はいらぬ」なのです。

なんのために、誰のために 自分の行動が常に注意に影響を及ぼしているという自覚を持つ

ちょっと、漫画の話ばかりになりましたが、ビジネスにおいて、なにかを為す、一歩踏み出し、一歩はみ出し、一歩踏み外す人は、必ず周囲に影響を与えています。まして、そのビジネスはもっと広く、多くの人の生活にも影響を与えていくでしょう。

だからこそ、「なんのために」が重視されます。「誰のために」が問われます。だからこそ「してはならないこと」が明確になります。法を守る当たり前のことです。いまでは、法的の問題がなくても、ちょっと倫理的にまずいかな?という行動、発言で一気に炎上してしまいます。

自分の行動、言葉は常に周囲に影響を与えているのだという自覚が、あらゆる人に求められるのかもしれません。


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