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それでも愛しい娘 その1

娘は私が36歳の時の子供です。高齢出産で、長期のつわり、妊娠中毒、逆子に帝王切開と思い出しただけで顔が歪むほど辛い経験でしたが、娘の誕生は人生で一番幸せな出来事でした。

母子手帳にある発達記録の項目では、常に遅れがあった娘でしたが、のんびりな子と思っていました。

ただ、強い癇癪(かんしゃく)や親の言うことを徹底して聞かない、反逆児的な言動にずっと不安を覚えてはいました。そして、それが恐ろしいほど元夫にそっくりなことが、何より気になり、いろいろな人に相談しましたが「男は女より幼いからしようがない。親子だから当たり前」と言われるのが落ちでした。

やっと辿り着いた発達障害

発達障害に辿り着いたのは、娘が小5の終わり頃。そのことを担任やスクールカウンセラーに相談しても、やはり埒があかなかったので、市の特別支援センターというところを探し当て、予約を取り、何度か訪問し、数ヶ月後にやっと検査をしてもらいました。

見た目からは分からないグレーゾーンの場合、強い意志を持って、自分から求めない限り、受けることが出来ない検査でした。

今の小学校を見ても、発達障害の可能性を示唆されても尚、頑なに否定する親が圧倒的に多いのが現実です。

発達障害は、適切な対応が早ければ早いほど良い結果に繋がる事が分かっているので、この状況は残念です。小さい頃から、本当の自分を知っているのと、大人になってから知るのとでは、人生プランが大きく違ってくると思います。

日本でも親の意見に捉われず、遅くとも小学校の頃に、検査を受けられ、適切な支援が受けられるようになれば、不登校も減るのではないかと思います。小学校の集団生活の中で子供達を見ていると、特性のある子供が早くから挫折を覚え、何かしらの困難を抱えているのは一目瞭然ですから。

Wisk-IVで分かったこと

心理検査のWisk-IV(ウィスクフォー)は、5歳から16歳11ヶ月までの子供が対象で、知能指数のIQや認知能力の特徴と能力のバランスが把握できる検査です。

特別支援センターでの最初の検査の結果、検査をした臨床心理士から開口一番明るく言われたのは「お母さん、残念でした! 普通の100でした。」

何を言っているのか、すぐには分かりませんでしたが、発達障害で、IQが高いと天才として活躍する人もいるので「天才でなくて残念」という意味だったようですが、プロとは思えない発言だと思いました。

因みに、これは私の個人的な感想ですが、心療内科医を含め、この分野で働く人の質はあまり高くないように思います。中には、この人も何かあるんじゃないかと思えるような人もいて、障害をよく理解し、適切な対処ができる優秀な臨床心理士、カウンセラー、心療内科医を見つけるのは、至難の技です。

娘は、小6になった時と中3でカウンセリングを始めた時の計2回検査を受けましたが、小6の時より、中3の時の方が、得手不得手の凹凸(おうとつ)の差が大きくなっていたことが分かりました。つまり、成長と共に凹凸の差が激しくなっていて、以前よりも、より強く不安を感じやすくなっていたことが分かりました。道理で荒れ方が激しくなっていた訳です。

他にも、視覚が普通より優位だけれど、それを処理する能力が普通より低い為、自分の考えが思うように表現できず、不全感を覚えやすい。
物事を強迫的にできるまで考え続ける為、エネルギーを消耗しやすい。
円滑なコミュニケーションや程よく相手に合わせることが苦手な為、過剰適応傾向にある。外で頑張って苦手を補う分、気を許せる家庭でタガが外れ、問題行動を起こすなど、検査結果は、親の私も本人も知らない、まさに彼女の手引書でした。この検査のお陰で、私たち親子は少しづつ変わっていくことができたのです。


*この続きは、「それでも愛しい娘 その2」に続きます。

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