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あさイチ!で、カサンドラに気づいた日

あなたの夫は私の夫?怖すぎるほど似ている夫  

うちの状況と合わせるかのように、その年N H Kでは発達障害に関する番組が立て続けに放送されていました。その日、あさイチ!で「カサンドラ症候群」の特集が組まれていることを友人から知らされていた私は、録画予約をし、テレビをつけ、食器を洗いながら番組が始まるのを待っていました。

番組が始まるとすぐ、私はテレビに釘付けになりました。食器洗いもそのままに、エプロンをつけたまま吸い寄せられていったのです。衝撃的でした。

冒頭紹介された視聴者からのファックスの内容が、うちと同じ過ぎて、私はうっかり自分が送ってしまったかと思うほどでした。

下記がその内容ですが、それまで理解されにくいと思っていたところから、今度は一気にまったく同じという極端さ。発達障害に関わるとありがちではありますが、この落差に言葉を失いました。まったく知らない人が、まったく同じような問題で悩み苦しんでいるという事実は、共感を越えて理解に苦しみました。

『夫の発達障害
夫は、絶対に認めようとしないので、話し合いさえ、出来ません。また、妻の私以外には、全く別の人柄で、職場での評判は、ものすごく良い。人格者で慕われています。実母にもいい息子です。・・・妻の私にだけ見せる冷たい姿は誰にも理解されず、私は孤独です。子供や私には無関心に見え、寂しい家族をもう20年近くやっています。妻にだけ辛く当たるのは、何故ですか?私はどうすればよいですか?』

NHKあさイチ!「どう向き合う?夫の発達障害」(2015年5月25日放送)視聴者からのFAX


障害を受容した夫とその妻が努力しあって生活している様子を見たのも驚きでした。夫から共感や自然な思いやりが得られることはないにしても、本当の自分を受け入れ、逃げずに家族と関わろうと努力する夫の姿に希望が持てました。

あさイチで紹介していた夫への対処法は、「お願いを明確な言葉で伝える」「役割分担を決める」などでしたが、これがうまくいくのは恐らくテレビにも出ていたような受容できた夫だけではないかと思います。

何故そう思うかというと、彼はそれら全てを蹴散らしていたからです。私は帰国後も英語脳のままだったので、発達障害が分かる前から、お願い事も英語でそうするように言葉で明確に伝えていたし、役割分担も分担した仕事には、口出ししないと決めていて、後から考えればモトオには分かりやすかったのですが、どれもやりたくないことだったので跳ね返されていたのです。

注意されても掃除をしたくないと言って逃げ回る小1の子供と大差ありませんでした。

ゲストとして出演していた宮尾医師(マンガ「旦那さんはアスペルガー」の監修で有名な医師)は、更生しないASD夫のことを「日本の男性は意気地がない。認めないから」と言っていましたが、まったくその通りで、当事者自身が本当の自分を受け入れない限り、何も始まらないのでした。

そして、周りがどんなに努力しようと、どんなに月日を重ねようと、変らない人は変わらないということも確かなことなのです。


カサンドラにも共通点 

モトオが通うクリニックの家族会に参加した時もなんとも言えない不思議な体験をしました。同じような夫を持つ人達と会うのは初めてでしたが、そこに自分と似たタイプの人が多くいたことにとても驚きました。

明るく社交的でしっかりした長女タイプの女性たちは、まさに "my kind of woman" 。共感性も高く、とても話しやすい人たちで、初めて会ったとは思えないくらいでした。同時に、それ故に罠にかかったということも分かりました。

自分が長所と思っていた明るく博愛主義的で頑張り屋な性格がここでは仇となり、モトオのお世話係に選ばれていたと知りました。

発達障害の問題と向き合っていると、自分が取った言動がブーメランのように返ってくることがあります。この時、自分を責めることなく見つめ直すチャンスと思えれば、人として飛躍的に成長できるかもしれません。但し心の健康が確保されている状態での話しですが。

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