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「やわるしすのおかゆ」について

2020年に物販を開始しまして。はい。
「やわるしすのおかゆ」全3種です。BASEで販売してます。
→2021年12月から「ツクツク!」での販売に変わりました!

今は家内制手工業形態ですが、いつか大手メーカーさんが肩代わりしてくれたらいいなあと願いつつ。
今回は、そのおかゆの中身について、どういう意図があったかを解説したいと思います。でも、春夏向けに内容を変える予定です。ので、あなたが読んでくれている今、このおかゆが売ってるかどうか怪しいです。2021年2月辺りはまだこの3種のはず。
→2021年12月に変更しました。追記してますのでご一読を。

現状3種は「陽」「陰」「美」。
みその先生が、このキットを使ったアレンジレシピなどを書いてくれていますので、そちらもご覧いただければ。→「たべもの・たべかた・つくりかた」

まずは「陽」について。入っているものは
・蓮子
・干しエビ
・干ししいたけ
・カルダモン
・陳皮
重量順だとこんな感じですが、蓮子は実はみんなのまとめ役として入れています。一先ず全ての食材の薬膳的効能を記載しておきます。
・蓮子:心・脾・腎  養心安神・益腎固精・補脾止瀉
・エビ:肝・腎    補腎壮陽・袪風通絡
・しいたけ:​肝・胃  益胃気・止血・托透疹
・カルダモン:脾・胃 燥湿・温中
・陳皮:理気、脾・肺 調中、燥湿化痰
「陽」の名の通り、陽気を補う具材を組み合わせたおかゆです。陽気を補うことの専門用語は「補陽」ですが、それ以外でも陽気を補うことが出来ます。例えばお腹を温めること。薬膳的効能として載っていなくても、四性(温熱寒涼)や五味、帰経の組み合わせ方によって補陽に近い効果を得ることができるのです。
エビは分かりやすく「壮陽」とあります。陽気を補うだけでなく、「壮」盛んである状態にしてくれる食材ということです。陽気は上昇の方向で盛り上がるイメージですが、それを持ち上げる力をエビは持っているのですね。なので、冷えが強い時だけでなく、気分が上がらない時にも壮陽を使います。他には鹿、雀も壮陽です。(袪風通絡というのは、経絡(気の通り道)にある風邪をどかして気の通りを復活させる、というようなチカラです。風が強い日や気圧の変化の激しい時、またその後などに気鬱の症状が起きる人にお勧めです)
カルダモンと陳皮は、お腹周りを温めてくれるものです。お腹が冷えている人は、食材からチカラを得る能力が弱っている事が多いです。折角薬膳をしても中々うまくいかない事が多い。そして、陽虚体質だからお腹が冷えるというパターンが多いです。なので、対症療法にはなりますが、こういうものでお腹を温めてあげる。そうすると、他の食材のチカラも取り込みやすくなります。また、2つに共通している「燥湿」というチカラですが、これは湿邪を乾燥させて追い払うチカラです。湿邪が多いと脾が弱り、これも食べ物から気を取り出す働きが低下し、薬膳しても効果が低くなってしまいます。ですから、脾は出来るだけ湿邪のない状態を保ってあげたいですね。脾が弱る時、「脾陽虚」になりやすいので、ここを温め、よく働くようにすることでも陽虚になりにくくなります。
椎茸は補気によって陽側を支える意味合いと、今回は出汁の出るものとして入れています。椎茸とエビの出汁と、カルダモンと陳皮の香りでかなりうま味たっぷりのおかゆになっています。
そして蓮子ですが、「固精」のチカラを期待して配合しています。「固精」は、精(気の塊)が漏れないようにするという意味です。折角エビや椎茸で補った精気が漏れ出てしまわないように、蓮子で取りまとめて体内に保持する。という狙いがあります。煮ると芋系のほっくりした食感になります。味やにおいに癖もなく食べやすいけど、とても重要な薬膳素材です。汎用性も高いので、もし「陽」のおかゆをきっかけに気に入ってもらえたら、蓮子を単品で買って使ってみてほしいです。ほんとお勧め。

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次は「陰」です。
・黒きくらげ 腎・大腸  涼血止血・和血養栄・止瀉利・補腎陰
・干し貝柱  腎   補腎陰・和胃調中
・枸杞の実  肝・肺・腎 滋補肝腎・明目・潤肺
・百合    心・肺  潤肺止咳・清心安神
・山薬    脾・肺・腎 健脾・補肺・止渇・益精固腎(→2021年12月より、蓮子に変更です。理由は、山芋は自分で入れられるし、気が漏れないようにする方が先だなと思ったので。)
特に腎陰を補ってもらいたくて作った配合です。
黒きくらげと枸杞の実は、黒ゴマと並んで、腎陰を補う食材として常備してもらうといいなあと思っている食材です。腎陰・腎陽は年齢とともにどんどん減っていき、それが「老化」に繋がりますので、どんな方でも毎日少しずつ腎陰と腎陽は補っていくと良いです。
干し貝柱も補腎陰ですが、更に、肝の方にも陰のチカラをくれます。陰が足りない人は肝の陽気が上がりすぎやすいので、その養生にもなります。この力は枸杞の実も持っています。
そして、百合は心と肺に陰のチカラを与え、落ち着かせるというものです。落ち着きと潤いは、陰のチカラの最たるものです。煮るとほっくり食感になり、ほんのり甘く、食べやすい食材です。生のゆり根は冬にしか出回りませんが、乾燥品なら年中使えるのが良いですね。
山薬は山芋の干したものですが、益精固腎とあるように、これもまとめ役として入れてあるのと、気と陰を両方補ってくれるものなので、陰の方に入れました。また、山薬は脾肺腎の3つに帰経します。これは気と津液を生み出し散布し管理する3つの臓全部に力を与えるという事です。効率よく気陰を補える食材としておススメです。おうちでは、干されていない普通の山芋で大丈夫なので、陰も気も足りないと思う人は積極的に山芋を。

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3つめ「美」。やわるしすには珍しいタイトルです(笑)しかも、これだけえらく具体的。陰と陽は、そのもののチカラが幅広いので、どんな人に合うかと聞かれると困るんです。まあある意味大体の人に良いです。そして「美」は美しくありたい人はみんな合います。入ってるものは以下。
・白きくらげ 肺・腎・胃 滋陰潤肺・滋補生津
・金針菜   肝・腎  平肝・養血止痛・止血・利尿消腫
・なつめ   脾・胃  補中益気・養血安神・緩和薬物
・松の実   肝・肺・大腸 養血・潤肺・袪風
・はと麦   脾・肺・腎  利水滲湿・健脾止瀉
(→2021年12月より、刻み昆布を追加しました。出汁を加えることと、昆布の化痰の力を期待してます。体内のスライムをほぐしてくれます)
まず、ここでいう「美」の定義ですが、お肌の色ツヤがよくて健やかに「見える」です。それには、肌の潤いとハリがあって、血色がいいことが条件です。
白きくらげは、潤いの素になる陰や津液を補ってくれます。しかもそれが肺経に入るので、皮毛に潤いが行くことを期待できます。実体はきのこなんですが、ほぼコラーゲンで出来ています。なので、陰気で潤いを、コラーゲンでハリを得ることができるかもしれない究極の(?)美容食材なんですね。
そして、金針菜は平肝というのが最初にありますが、これは肝が昂りすぎないように抑えてくれる働きです。肝が昂ると、無駄な赤みや赤ニキビの素になるので、金針菜でそういったことにならないようにという意味があります。また、養血のチカラにより、顔色が悪いと言われがちな方にお勧めの食材でもあります。「菜」とついていますが、ユリの花の蕾です。飲み込んだ後に、ほわっと花のような香りが残ることがありますので、楽しんでみてほしいです。
なつめは楊貴妃が好んで食べたというのが知られています。気血を充実させる力があるとされます。気の充実は肌のハリツヤに、血の充実はバラ色の頬の素になりますので、それも頷けるというものです。食べ過ぎると体に熱がこもった感じになることもあるので、1日1個程度にして、赤ニキビやのぼせなどの熱性の症状が起きやすい人は夏は避ける方が無難です。
松の実も、養血で血色、潤肺から肌の潤いを得ることを期待しています。普段あまり食べない木の実ですが、袪風のチカラもあるので、気圧に弱い人は普段の食事やおやつに少し取り入れてみてはいかがでしょうか。
はと麦は、津液の巡りを改善するチカラがあるので、美容の大敵むくみが生まれないようにと配合しました。むくみは中医学では「痰」の一種です。これがあると、場所によっては気血の巡りも悪くなり、ハリツヤも血色も悪くなってきてしまいます。また、痰がなくとも、表皮に潤いがたっぷりある方がいいですので、はと麦で表面まで水分が行きわたるようにしたいとの思いです。

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と言うわけで、メインの素材4つとまとめ役1つ、という感じで配合されています。
陽のおかゆで利尿作用が起きるのが報告されていますが、仕組み上あり得ることですので、ご心配なく。整っていっている証拠でもあります。そんな風に、体感を伴って、薬膳を気軽に体験してもらえたら嬉しいです。
販売は「ツクツク!」にて。

【陽】
bit.ly/3sh8J5S
【陰】
bit.ly/3yEJWJP
【美】
bit.ly/3skul11
【3種セット】
bit.ly/3yDpZmN

で、ですね。書いていて思ったんですが、このページ、基礎理論編をある程度理解してから読むと、更に勉強になると思います。ので、まだ陰陽五行論のマガジンを制覇していない方は、そちらを読了ののち、またこれ読んでみてください。よろしければ。次はもう一つの物販について書きます。
ではまた!

2021年12月追記あり。

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