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宇宙、タマシイ、スピッツ。

出先の書店で物色していたら、
話題の新書『射精道』が目に入った。
ページをめくる手を止めたのは
「陰茎は男子の魂」なる表現。
そこで私の頭に去来したのは、
稀代のド変態作詞家であらせられる
スピッツのVo.&G.草野マサムネ氏である。

氏の歌詞には「魂」「タマシイ」
という言葉が時折り登場する。
「これってもしかして……」
と私が初めて疑いの眼差しを向けたのは、
2004年に発売された『スターゲイザー』の
カップリング曲『三日月ロック その3』。

わがままな魂は よそ見ばかり
落ち着いて 嘘ついて なぜかばれて

スピッツ『三日月ロック その3』

三日月は、遠距離恋愛の隠喩であろう(私見)。
人肌恋しさに耐えかねて浮気性が顔を出した……
くらいにしか当時はとらえていなかったが、
わざわざ「魂」なんて仰々しい表現する?
という引っかかりはあった。

もしかしたら、男性器のことなのではないか?

そういえば、スピッツ初期の曲『ビー玉』に

タマシイころがせ
チィパチィパチィパチィパ

スピッツ『ビー玉』

という詞がある。
のんびりした調べと相まって
なんだかわけわかんない世界だな〜
そこがいいんだよな〜
などと、当時独りよがりな浪人生だった私は
薄ぼんやり得心した気でいたのだが、
しばらく経てそれなりに社会人となってから
ハッと気づいたのである。

「タマシイ」を男性器に置き換えた途端、
とんでもない破廉恥ソングへ
様変わりすることに。

記憶が曖昧だが、確か
スピッツの詞の世界を解説したあるブログに
氏が使う宇宙とは女性器のことなのではないか
との考察があり、心のなかで膝を打った。

宇宙=女性器
魂またはタマシイ=男性器

この解釈で行くと、
アルバム『空の飛び方』の
冒頭を飾る『たまご』なんかは、
氏のド変態世界を最も象徴する歌と言える。

初めて感じた
宇宙・タマシイの事実

スピッツ『たまご』

宇宙とタマシイを
「・」でつないでいるところがミソである。
読点やスペースではただの並列となってしまい、
まったく意味をなさない。

そんなもん、読点だろうがスペースだろうが
歌ってしまえば聞き手にはわからないのに、
敢えて中点を採用したところに
氏の並々ならぬこだわりを感じる。
ド変態作詞家としての矜持に敬礼。

言わずもがな、
ここで語られているのはまさしく性交である。
氏は若かりし頃、自分の書く詞のテーマは
セックスと死だけだ、と何かで語ったらしい。
『たまご』という、
ご丁寧にひらがなの薄皮までまとった
かわいらしい曲名にだまされてはいけない。
氏が確信犯にして稀代のド変態作詞家たる所以である。

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