人の弱さに優しい眼差しを向けられる人ほど、自分自身の弱さにも寛容になれる#soar応援
こちらの記事には、ウェブメディアsoarの3周年に向けて、soarメンバーやsoarライター・編集者がsoarへの思いを綴ったコラムを掲載しています。
1年半前にsoarライターを始めたころ私は、発達障害等のある子どもたちを教える指導員として働いていました。
子どもたちに与えてもらった気付きや体験は私にとってすごく大切なもので、それを周りにも広げていきたいと思うように。そこで出会ったのがsoarなのですが、今回はそのことについて、詳しく書いてみることにします。
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子どもたちに関わるとき、その子の困りごとの要因を探ったうえで関わり方を考えるようにしてきました。
例えば、話しかけてもまったく返事をしない子がいたとします。
その子はもしかしたら場面緘黙があって話せないのかもしれないし、吃音があって言葉が出ないのかもしれない。人見知りが激しくて初対面の人とは話せないのかもしれないし、そのシチュエーションに何らかのトラウマがあって固まってしまったのかもしれない。いや、単に今日は何か嫌なことがあって、人と話したくない気分なのかも。
少し想像するだけで、様々な「理由」が考えられます。
同じように、じっとしていないことや笑わないこと、何度も同じ間違いをすることや乱暴な言葉遣いをすること、カッとしてすぐに手が出てしまうこと。「ん?」と思うことの背景には、様々な特性や障害、過去の経験などそれぞれの「理由」があるのだと、子どもたちから教わりました。
そうして、2歳から高校生まで200人以上の子どもたちと関わるうちにふっと気づいたのは、これはすべての人に当てはまるということ。
年齢や障害の有無を問わず、人と違うことやうまくできないことには個々の「理由」がある。それ自体に良し悪しはなく、ごく当然のことだということです。
それまでの私は、問題が起きると人や自分を責めがちでした。
けれど「なんでできないの?」「あなた(私)はおかしい」と人や自分を責めても、解決はしないし傷つくだけ。
それよりも個々に色々な「理由」や「背景」があるということをまずは受け入れ、そのうえで「どうしたらできるか?」と考えたほうがずっといい。
これに気付いてから私は、人や自分を責めることが減り、生きることがずいぶんラクになりました。
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私の中で、この体験とsoarは密接に結びついています。
なぜならsoarの記事に登場する人たちはそれぞれが自分の言葉を持ち、自分の弱さや人との違い、そしてその「理由」や「背景」を語ってくれるから。
▼ 人と食事をすることに不安や緊張が高まってしまう「会食恐怖症」のもと当事者、山口健太さん
▼ リウマチの痛みがありながら活躍するダンサーの山田うんさん
▼ 境界線パーソナリティー障害と共に生きる咲セリさん
特性や性格、育った環境に至るまで人はこんなにも多様で、100人いれば100人が全く違う人間なのだと、子どもたちと関わって肌感覚で感じていたことを、soarはよりたしかに伝えてくれます。
子ども時代の私は、大人から求められる正解に自分を合わせようと必死でした。怒られたくない、失敗したくない、その思いでいつも周りの顔色を伺っているうちに、できるフリ・平気なフリをしてごまかすことが上手な大人になっていった気がします。
けれども子どもたち、そしてsoarに出会ってからの私は、少しずつ変化していると感じます。表面からは見えない一人ひとりの「理由」を想像するようになって、良し悪しで人をジャッジしなくなりました。すると自分に対してのジャッジも減り、「できるフリ」をしないでありのままでいられることが増えてきたのです。
人の弱さや違いに向けた厳しい目は、そのまま自分にも返ってくる。逆に、そこに優しい眼差しを向けられる人ほど、自分自身の弱さや違いに対しても寛容になれるのだと思います。
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障害者と健常者、大人と子ども、部下と上司、先生と生徒。本当はみんな同じ延長線上にいる人間で、その境界は曖昧です。
この世には強い人と弱い人がいるのではなく、1人の人間のなかに強い部分と弱い部分があるだけ。
だからこそsoarでは、自分の弱さと向き合い、ごまかさずに「共に生きる」ことを選んだ人たちのストーリーに自分を重ね、共に癒されるという体験が生まれ続けているのでしょう。
そんな場所で読んだり書いたり体験したりできて、しあわせです。
今年3周年を迎えたsoar、これからもみんなを包み込むやさしい居場所としてあり続けてほしいし、私自身もその一員として場をつくっていきたいと思います。
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▼ 最後に...私が企画から執筆まで担当した最新記事を紹介。まさにこのコラムで書いたことを体現している場所を取材しました、お時間あるときに読んでみてください^^
soarでは、2018年12月22日に迎えるメディアオープン3周年に向けて、みなさんの応援の声を集め、より多くの人にsoarのことを知ってもらえる「#soar応援」キャンペーンを実施中!寄付での応援も受け付けています。詳細はこちらから。
(写真・馬場加奈子)
(文・八ツ本真衣)
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