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#9鎌倉ぐらし-ある秋空を、何十年もあとにうっすらと思い出したい-

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ウェブマガジン「鎌倉めぐり荘の暮らし」
シェアハウスめぐり荘のメンバー:リーダーきむにぃ、ヒーラーさゆりさん、料理人ほっしゃん、私やつぽん の4人の暮らしを、ゆるゆる綴ります
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9月上旬、夏の終わりのある日曜日。
めぐり荘のメンバー4人でドライブへ出かけた。
お目当ては、新潟・浅原神社の花火大会。長岡花火と張り合い、世界最大と言われるの四尺玉花火を打ち上げて来たという伝統ある花火大会で、大学時代を新潟ですごしたきむにぃが「めっちゃいいから、みんなで行こう!」と声をかけてくれたのだった。

ぽん:え、わたし助手席いやだ。地図読めないから、ナビできないから!
ほしゃ:大丈夫!誰もできないけん!!

というわけで、新潟を目指してしゅっぱつ….!!

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車内にて:

赤いワンピース姿のほっしゃんは、
「中学に入学したとき、130センチ台のちびだった」という私の話に「ええええぇぇぇぇーーーっ!!」とリアクション芸人ばりのリアクションをするなど、テンション高めである。

▼笑顔がとってもかわいい。

そんな盛り上がりを見せる車内だったが、ふっとみんな無言に。

なぜって、びっくりするくらい美しい秋空が、関越自動車道のうえに広がったから。

すじ雲が淡い青空に広がる、秋の空。
もくもくの入道雲が濃い青空に元気いっぱい広がる夏空とは違う、繊細で芸術的な空だ。

まるで水色のキャンバスに、刷毛でシュッと白いすじを描いたような。

そのうち夕暮れに差し掛かって、

折しも車内にはRADWIMPSの「なんでもないや」がかかり、洋次郎さんの大ファンであるほっしゃんは、うるうる。

空の美しさと音楽が相まって、心のアンテナが敏感になる瞬間だった。

私は、

嬉しくて泣くのは 悲しくて笑うのは君の心が 君を追い越したんだよ

ってすごい歌詞を書くなあ、などと思いながら、空を眺めていた。

このメンバーでめぐり荘に住み始めて、1ヶ月ちょっと。

誰かが何かひとつでも違う選択をしていたら決して出会うことのなかったこの4人で今なぜか、いっしょに住んでいる。(周りからは日々、なぜ?!って突っ込まれ続けている。)

この先どうなるかはわからないけど、今この瞬間、何だかふわりとしあわせだ。

と、ぼんやりそんなことを考えていた、気がする。

ドライブしながら眺めたある秋の空なんて、時が経ったら忘れてしまうだろう。

空の美しさにことばを無くした一瞬なんて、日常のなかで思い出す必要はないからだんだん薄れて消えてしまう。

寂しいけれど、人の記憶なんて、思い出なんて、そんなものだ。

それでも何十年もあとに、もやの中にうっすらと輪郭を見つけるような気持ちで、この空やこのときの気持ちを思い出せたらいいなあと、そう思う。

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花火は、浅原の町の人たちが命をかけて準備するというだけあって、とても素敵な想いのこもったお祭りだった。

今年還暦を迎えた地元中学校の同窓のみなさんが、いっしょにお神輿をかついで記念の花火を打ち上げるの。もう亡くなってしまった同級生へのメッセージもあって、とても感動的だった。

思い出を共有できる人がいることはきっと、私がおばあちゃんになったときの宝物になっているんだろうな。

そんなことを思いながら、平成最後の夏の終わりを、かみしめたのだった。


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