見出し画像

八ヶ岳山麓暮らし 2080 エピソード編

 みんなで漫画を制作する「八ヶ岳プロット」用のプロット試案です。
 (詳しくは こちら→ https://note.com/8plot
 シーンを思いついたところは少し詳細を、構想のみのところは、アイデアのみのメモとなります。

関連投稿
(1)コンセプト編 → 来年どうなるか想像できない(x_x;)ので「60年後の暮らし」を考えてみる
(2)キャラ設定編 → 八ヶ岳山麓暮らし 2080 キャラ設定編(1)
(3)キャラ設定編 → 八ヶ岳山麓暮らし 2080 キャラ設定編(2)
(4)エピソード編 → 本稿
(5)前日譚 → 前日譚考
(6)練習版:最初の8頁 → 星降るまち空のふもと2080:練習版

【タイトル】(仮称)星降るまち空のふもと2080

【キャッチコピー】
空を意味する名をもつカント28歳。草を意味する名をもつキナ16歳。
西暦2080年。貨幣と国家と人口が蒸発した世界で、2人は旅に出る。

【時代・場所設定】 2080年 八ヶ岳山麓

【背景】
 2020年のパンデミックで疲弊した国家間による相互サイバー攻撃が、通信ネットワークと金融システムの不具合を誘発し、世界の「貨幣」資産が蒸発してしまう。財政を失って「国家」も消滅。日本では就業者の97%が失業。「人口」は自給自足での生活が可能だった300万人ほどに激減。人々は「貨幣」と「国家」と「人口」を失った世界に暮らしている。
 2080年。パンデミック後の世界でも、出産し生きることを選んだ人々の孫の世代。電気もガソリンもお金も、テレビも冷蔵庫も、鉄道も自動車も、パソコンもスマホも、グーグルもラインも、ユニクロもコンビニも、もはや、あらゆる「商品」は、遺跡か遺物としてしか存在していない。食糧をはじめ生活に必要なものを数十名の邑(ムラ)の協働で生産し、過去の消費財を収拾しながら暮らす人々。

【主人公】
 野辺山のムラに暮らす2人。
 カントは、28歳。『星降るまち空のふもと』の主人公と同い年。
 キナは、16歳。『風の谷のナウシカ』のナウシカと同い年。
 カントは、野辺山の7つのムラが協働で運営していた中学校の最後の教師。キナは、その最後の生徒であり、ムラの最後の卒業生。ムラではもう、子供を望まなくなって久しい。

【エピソード1】夏:旅立ち
(1) 野辺山:宇宙電波研究所にて
 野辺山の宇宙電波観測所。放置され天頂を向いて停止している45m電波望遠鏡。パラボナの副反射板の上で、八ヶ岳を遠望するカント。階段と梯子を反射板まで登ってきたキナが、カントに旅への出発を促す。
(2) 清里:駅前商店街にて
 雨の中を踊るキナ。
(3) 清里:フォトアートミュージアムにて
 最初の夜を過ごす。旅に出ようと思った理由を語るカント。 

【プロローグ】初夏:世界のありよう
(0) 金田一春彦記念図書館にて
 ある日、ひまわり市場でのディグ(前世界の商品を発掘する作業)に出かけたカントは、帰りに鹿の群れに遭遇。あっけにとられていると少年に腕をつかまれ強引に建物に引き込まれる。直後、鹿の群れを追う野犬の群れが、二人を一瞥し通り過ぎていく。少年は、小淵沢ムラのニタイ16歳。引き込まれた建物は『金田一春彦記念図書館』の廃墟。2人は本棚の間を巡りながら、かつての世界を想像して会話する。ふと手にとったアイヌ語の辞書に、自分たちの名前の由来を発見する。

【エピソード2】秋:収穫祭
(4) 横手:ぴたらファームにて
 白州を訪れたカントとキナは、自然循環型農業で生活しているぴたらファームに逗留し、稲刈りや栗の収穫を手伝う。ファームのトノト(32歳)と意気投合し、ここで暮らすよう誘われる。
(5) サントリー白州蒸溜所にて 
 天日干しの稲が黄金に色づき脱穀が済んだ収穫祭の前夜、白州の邑々(ムラムラ)からは、サントリーの蒸溜所の倉庫に人々が集まってくる。眠っているウイスキーの樽を1年に1つだけ開けて分配するのだ。トノトに誘われて、カントとキナも前夜祭に参加する。小淵沢のニタイとの再会。ニタイは、東京からウイスキーを求めてやってきた青年アトゥイを連れている。
 カントとキナとニタイとトノトは、アトゥイを囲んで東京の話を聞く。他のムラ人は、まれびとを拒否はしないが、外の世界への興味を失っている。東京では、パンデミックの後、消滅した経済に絶望した人々の間で、安らかに永眠する薬が出回って、立ち並ぶ高層マンションが巨大な集合墓所となり、地球温暖化が招いた第二次ジョーモン海進により、沿岸部のマンションの3階ぐらいまでがすでに水没。生きることを選んだ人々は放棄された商品を収拾して生活している。アトゥイが住んでいるのは晴海のセンシュムラ。最上階からは、お台場の向こう東京湾を挟んで遠く房総半島が望める。
(6) 小淵沢駅にて
 駅の屋上で、八ヶ岳と南アルプスを遠望しながら、別れを告げる5人。ウイスキーを持って東京に戻るアトゥイ。見送るトノトとニタイ。そして、カントとキナも諏訪湖に向かって、旅を再開する。

〓前半、カントとキナは、貨幣と国家と人口がなくても、知恵と工夫と協働での暮らしを体験する。ここでは、ヒトがモノや関係を所有するという概念がなくなっている。

【エピソード3】冬:違和感
 小淵沢駅から鉄道の線路を歩くカントとキナ。富士見駅で、チュク13歳に出会う。キナにとっては初めて会う年下の少女。森のオフィスに誘われる。
(7) 富士見:森のオフィスにて
 チュクは、千秋(『星降るまち空のふもと』)の孫。森のオフィスでは、医療やエンジニアなどの専門知識を受け継いだ、東京からの移住者を受け入れている。カントとキナの違和感その1:人々の「役割」が分化している。
(8) 茅野:カフェロッコにて
 森のオフィスに出入りしている夏海(『星降るまち空のふもと』)の娘サク45歳との出会い。カフェを営業している。違和感その2:カフェの存在。「お茶の時間」を「商品化」するという考え方に驚き、その仕組みを回している「紙幣」を初めてみる。「貨幣」価値を理解できないカントとキナ。
(9) 下諏訪:中仙屋にて
 紗雪(『星降るまち空のふもと』)89歳との出会い。御菓子司という「専門職」の存在、商品を販売する「店」の存在。それを「守って」きた老婆の「個人所有権」に驚くカントとキナ。諏訪地域では、貨幣と国家と人口の再興を掲げる集団が、諏訪地域国の建国を宣言し、個人所有や資産の概念、それを担保する法律、違法行為を取りしまる警察を復活させ、紙幣を発行し貨幣経済が復活している。富士見、茅野、原村の作付け分担を計画し農地を耕作し、様々な業務を分業し、医療や技術、政治の専従を実現。子供を産み育てることが奨励されている。
 カントとキナが宿泊するマスヤにも、下諏訪の幼児たちが集ってきて、子供たちの姿に感動し強く惹かれるカント。諏訪地域国のありように強い違和感を覚えたキナは、ここから離れることを主張。離れがたいカントを残してキナは霧ヶ峰方面にムラを離れる。

【エピソード4】春:稲の王
(10) 豊平:尖石縄文考古館にて
 カントは、諏訪地域国の首相官邸になっている尖石縄文考古館を訪れる。考古館には、三峰川電力の4つの水力発電所から電力が共有され、電灯や映像機器、拡声器など失われた技術が温存されていた。カントは、首相のイメルと対話する。旧世界の復活を称賛するカント。イメルは、これは最善策ではないと語る。話込むカントとイメル。
(10) 星糞峠:黒耀石体験ミュージアムにて
 キナは、カントの荷物を背負い、縄文時代をさらに遡る旧石器時代の遺跡、黒曜石の採掘場所である星糞峠、黒耀石体験ミュージアムに来ている。寒の戻りで寒さに凍えるキナ。ニタイと再会する。ニタイは、諏訪地域国に違和感をもち、自然の一部としてのヒトの存在を捉える「井戸尻派」について語る。パンデミック以前に戻ることは未来ではない。ニナは、カントに会いに行こうとキナを誘う。
(12) 麦草峠 白駒池にて
 シシガミの森で、キナとニタイは、カントとイメルに対峙する。

〓「諏訪地域国」と「井戸尻派」は敵対しない。『風の谷のナウシカ』におけるトルメキアと土鬼(ドルク)や、『未来少年コナン』のインダストリアの最高委員会と地下住人たちのように対立はしない。もちろん、巨神兵もギガントも登場しない。弥生と縄文のように併存していくのだが、併存をどう描くのか、カントとイメルはお互いをどう見るのか。《……考え中》

【エピローグ】初夏:野辺山への帰還
 カントは望遠鏡の天辺から、東京方向を遠望している。

地図

2020年9月17日現在
まだまだこれから推敲するので、どんどん変わっちゃうと思います。
※タイトルは、旅立ちの装備のトレース練習

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?