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本の棚 #16 『ビジネスの未来』

『ビジネスの未来』
〜エコノミーにヒューマニティを取り戻す〜
山口周

自分たちが

今どこにいるのか

どこに向かっているのか

何をしているのか。

何をしていくべきなのか。

そもそもそんな疑問すら

思い浮かばないほど

目の前のことに没頭しているのか

それとも追われているのか。

「はっ、とする」

そんな内容だった。

これまでも山口周さんの本には

何度も殴られている。

『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?』には後頭部を一撃

『ニュータイプの時代』にはみぞおちをえぐられ

そして今回は下腹部だ(反則です)

これはもう久しぶりにおすすめ本だ。


ビジネスはその歴史的使命を終えつつある。

高度経済成長期を経て

日本という国は以前のような

成長曲線上にはない。

それを悲観的に、批判的に

捉えることはないと思う。

□高成長=未熟

□低成長、停滞、衰退=成熟

と言い換えると、

受けとり方は変わらないか。

ずっと登れる山はない。

エベレストでも8000m登ったら

下山する。

デスゾーンにおいては人間は

長くは居られない(生きられない)

著者曰く、今の世界は

高原への軟着陸状態だ。
(「祝祭の高原」と表している)

まだまだ発展途上の国もあるだろうが

こと日本においては

物質的な欲求に対する不満の解消は

高いレベルにある。

ただそれは市場における需要の縮小も

意味する。人口も減りつづける。

そのなかで「成長を前提とした社会システム」

終身雇用、新卒一括採用、年功序列…

これらはもはや成り立たない。

そろそろ「終焉の受容」を

すべきときがきている。

なげくことはない。

終わりを受け入れれば、

それは次の新しい世界への最初の一歩だ。


人間的衝動に根ざした欲求の充足こそが高原社会において本質的な意味でより豊かに、瑞々しく、それぞれの個性を発揮して生きてていくことにつながる。

以前、森博嗣さんの『お金の減らし方』

でも書いたが

自分の衝動に忠実なことが

これからの豊かさにつながる。

社会通念的に必要とか、

他人に見せるためにとか、

そんなものではなく

純粋にほしい、やりたい。

そんな欲求を満たすことが

高原社会で生きるコツかもしれない。


「興味のあることは、全部やりなさい。興味のないことも、全部やりなさい。」


自分のほしい、やりたいを見つけるために

「とにかくなんでもやってみる」

それが自分が夢中になれることを

見つけるためのヒントだ。

人生を見つけるためには、
人生を浪費しなければならない
by アン・モロー・リンドバーグ

小学生のときに弟がことあるごとに

「そんなの意味ない」

を口癖のように連呼していた。

普段子どもに対して温厚な父が

そのときばかりは怒った。

今になって振り返ると...

意味がないと決めつけて

やらない人になるより

わからないけどやってみて

ひとつひとつ体験していく

その大切さを教えてくれた

そんな気がする。


「便利で快適な世界」から「生きるに値する世界」へと変えていく

便利で快適な生活は

企業の「社会的課題の解決」により

多くがかなえられているように思う。

そのやり方が人類をここまで導いた。

しかし、これからの企業活動は

大量消費の促進とは異なり

「文化的価値の創造」

が重要とされる世界にすすんでいく。

マーケティングによって

人為的に問題を生み出す、

そのような需要の延命措置は

限界がやってくるという。


世の中を悪くしている「無批判で無関心な善人」

なんてことだ。

いい人は、どうでもいい人

なんてことは聞いたことがあるが

まさか世の中を悪くしているなんて。

この自覚の無さがさらに

この状況を加速させる。

だれか社会に革命を起こす

天才的なリーダーの出現があれば…

違う、時代が違う。

成熟しつつある社会では

ひとりひとりの小さな一歩が

大きな革命につながる。

自分のその一歩一歩を

意志のあるものに。

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