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モンマルトルの灯りの下で:石井好子さんと50年代のパリの日々『女ひとりの巴里ぐらし』

パリ、その響きだけで私の心は躍ります。
50年代、モンマルトルの丘の上、
キャバレーの灯りが揺れる中、
一人の日本人女性がシャンソンを歌っていました。
彼女の名は石井好子さん。
当時女性が一人で
海外で生きることは稀であったでしょう。
しかし、彼女はただ異国で一人生きるだけではなく、
シャンソンの本場であるパリで、
プロフェッショナルなアーティストとして自立し、
輝いていたのです。

『女ひとりの巴里くらし』は、
そんな彼女のリアルで表現豊かなエッセイです。
本を読み始めたとたん、
我々読者をパリのキャバレーへと誘い、
映画のように脳裏に情景が描き出されます。

私がこの本を読んで
石井さんがすごいと感じたのは、
自立した女性としての生き方だけではありません。
プロのシャンソン歌手として、365日、
休むことなくステージに立ち続けたこと、
そして彼女は確実にフランスに
「日本人のシャンソン歌手」
として受け入れられていたこと。

彼女の周りには、
同じく夢を追いかけるアーティストたちがたくさんおり
エッセイに名前がたびたび出てきます。
画家のレオナルド藤田、
有名ファッションデザイナー、
アメリカの俳優、フランスの歌手、女優、俳優たち。
彼らの日常が、このエッセイからあふれ出てきます。

そしてキャバレーの聖地モンマルトルは、
フランス人だけのものではなかった。
彼女が勤めていた「ル ナチュラリスト」には
スペイン人、イタリア人、ドイツ人。。。
といった多国籍の人々が、
それぞれの事情と文化を持ち寄りながら、
フランスのキャバレー文化を育んでいったのです。
石井さんのエッセイから、一人ひとりが細かく、
そして情熱的に表珀されています。

石井好子さんのパリでの生活は、
ただの異国暮らしではありません。
それは、一人のプロのアーティストが、
当時女性ひとりで誰にも頼らず、
必死に夢を追いかけ、自分を表現し、
人生を生き抜いた証。
彼女のパリ人生は、今もなお多くの人々にとって
魅力的な物語として語り継がれることでしょう。

このエッセイを読み終えたとき、
私は石井さんの強さと、
彼女が生きた時代のパリの魅力に心を奪われました。
彼女の歌声は今もきっと
モンマルトルの夜空に響いているのでしょう。
石井好子さんの足跡を辿りながら、
私も自分の夢を追いかける勇気をもらうことができました。

最後まで記事をお読みいただき
ありがとうございました。
巴里に行きたくなる一冊です。


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