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#短編小説

小説家と鳴家(やなり)

小説家と鳴家(やなり)

 此れにて文机に向かい、原稿用紙に付けペンで文章を認めているのは、とある小説家である。此処は、その小説家の従弟の経営する旅館で、初夏の今、客が少ないからと、割安で勧められた部屋を、小説家は勧められるがまま借りたのであった。この部屋、少々曰く付きである。昨晩小説家が風呂に渡ろうとすると、ガタピシと天上が鳴ったのであった。この部屋に入った時から、建て付けが悪いのか、天井や柱がよくピシリと鳴る気はしてい

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