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中銀政策を通じた銀行・生保リスク

この度のコロナショックなどの経済・金融危機を通じて、中央銀行が様々な対応を取ってきた。短期金利操作による金融システムの安定にとどまらず、長期金利や国債など資産購入、またリスク資産購入といった、更なる進化を遂げている、という話を下記Noteでさせて頂きました。

では金利の運用、もしくは利息を商売にしている銀行や生保への影響はどうなのか?日本の銀行に関しては、下記記事にあるように、メガ三行のなかで、MUFGグループとSMBCグループが収益額ではリードしているものの、引用するとこのように書いてある。
『国内業務。生産年齢人口の減少という構造問題に加え、日銀のマイナス金利政策が続く中、国内貸し出しが大きく細る懸念は消えない。国内でなお主力の大企業向けの貸し出しも、新型コロナの影響が長期化すれば、不良債権の山へと一変するリスクが潜む』

話は少し変わるが、ソニーグループが2020年5月19日に、ソニーフィナンシャルを完全子会社化(65%から100%)へ、TOBを発表した。これにより、安定した収益を出しているの金融部門をソニーグループ全体に取り込む、という意図があるといわれているが、同時に低金利を背景に、ソニー生命の終身保険の保険負債リスクが大きくみられている、とも記事に書かれている。

終身保険は顧客のお金を預かり債券を中心に運用して顧客の死亡にあわせて保険金を支払うが、契約期間が長くなればなるほど、金利変動のリスク管理が難しくなる。低金利が長引き、大手生保が徐々に終身保険から年限の短い医療保険などに営業の軸足を移す一方で、ソニー生命は根強い需要を集めてきた。
その結果、明確なデータは公表していないが「ソニー生命の抱える保険負債のデュレーション(残存期間)は40年程度でライバルと比べても長くなっている」(SMBC日興証券で金融業界を担当する村木正雄シニアアナリスト)とされる。この数年、世界的な低金利で債券運用の環境が厳しくなり、長期の保険負債はリスク要因とみなされるようになっていた。』

著しい金利低下(マイナス金利を含む)は銀行業務にとって、ボディーブローのように、収益体制の悪化、経営体力を弱めているのは言うまでもない。また中銀の政策に導かれた低金利と社会の高齢化は、保険会社が以前高い収益を出していた終身保険の負債リスクを実は増長、悪化させている、とも見える。これも、投資の王様であるバフェットが率いるバークシャーハサウェイ(投資・保険会社)が、優良投資先が見つけらず資金を積み上げている、という事情以外にも、同社株価の低下から逃れられない一因かもしれない。

では銀行・生保などの金融業界を支えるために金利上昇を、日銀など中央銀行が容認するだろうか?それは中銀が購入した国債などの資産低下を意味し、また金利上昇を通じた貸出量の低下が見込まれ、景気をもっと冷ます要因ともなる。要するに金利を上げるも、下げるも、経済全体や金融業界へ、かなりのインパクトがある、と考える。

#COMEMO #NIKKEI

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