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インフレから円安、そして日本経済へ

前回投稿の振り返り

小生が予想していたインフレの流れが、思ったより早く日本にまで到着してしまった現在。世界銀行の予測も含め、今後もインフレは続くと見ています。

なんで急にインフレへ?

1990年代の冷戦終結と共に、人・もの・カネが世界中でつながるグローバリゼーションの進化と、新興国を含めた安価な労働力へのアクセス、そしてインターネットの迅速な普及が、2020年のコロナ禍までインフレへの下方圧力(ディスインフレ)になっていたと見られています。

コロナ禍以前の米中対立を起点とした東西分裂も、新型コロナウイルスも加わり更に進み、PCやタブレットのみならず、どの製品にも使用される半導体不足もグローバリゼーションを後退させている要因でしょう。そして今回は脱炭素への機運を中心とした、コスト高のエネルギー開発に投資をする『グリーンインフレーション』も、ウクライナ情勢の悪化によるロシア原油が排除されたものの、中東など原油産油国が原油高を黙認する、という結果になり、新たなインフレ要因に、といえるでしょう。

高インフレの次は何が起こるの?

インフレ(物価上昇)は人々の生活に直接的な影響を与え、社会情勢を不安定にさせる可能性があるため、『物価安定』は中央銀行のミッションの一つであります。そこでFRBは、景気を例え冷ます要因となろうとも、米国の高インフレ(年率8%程度)を抑制させるため、急速な金利引き上げを次々にと行っており、5、6,7月に続き、それ以降も金利上昇を見ている、模様。

FRBは3月の米連邦公開市場委員会(FOMC)でゼロ金利を解除し、5月会合で22年ぶりとなる0.5%の大幅利上げを実施した。パウエル議長は6、7月も3会合連続で0.5%の利上げをすると示唆しており、市場の関心はその次の9月会合に集まっている。ブレイナード氏は住宅ローン金利の上昇など利上げの効果が出ていると指摘しつつ、まだ物価上昇率がピークを越えたかどうかは判断できないという見方を示した。

日経電子版

一方日本はインフレ目標の2%にたどり着いても、景気状態への配慮から金利が上げられない、状態へとなっており、一方で日本の長期金利上昇を抑える為、日銀は10年金利を0.25%にアンカーする、とまで発表しました。

金利差が生んだ円安トレンド

上記のような金融政策の違い(金利上昇の米と金利横ばいの日)が所謂円安を含めた、ドル高の流れを助長しております。

一方で2023年4月に任期終了を迎える黒田総裁は、私が思うに将来的な『利上げ可能性』を匂わせ、円安進行ペース緩和期待も市場に送りため?の、『インフレを容認し始めている』、といった発言をされましたが、メディアの切り抜きもあり、とても不調な発言へ処理され、結果的に発言撤回へ。

メディア報道やSNSから政策へ影響を与える、といった、日本の値上げに対するアレルギーが、日銀の金融政策の自由度も奪っており、結果的に、金利差拡大を更に助長し、自ら円安へ導いてもらう要因を市場に提供している、といった何とも悔しい現状も見られております。

もう一方で元財務相の高橋洋一さんによると、この黒田発言は増税への地盤固めという話も。少なくとも将来的な意図を踏まえた発言だった、とは言えるでしょう。

日本に短期的解決策は無いが、新産業を産むイノベーションを

では日本は今後どうなるか。安価で高品質な自動車を生産する日本の産業が70年代以降日本を支えたように、新たな産業の勃興が必要だと言われております(言われて久しいですが)。

生産年齢人口が減ると、潜在的経済成長率も下がる。これはピークの95年から20年までに1271万人減っている。これまで労働参加率を高めて対応してきたが、これも既に世界最高水準に達しているため、限界に近い。生産年齢人口が減るのがまずいのは、労働力が減るからではない。消費が活発な層が減るからだ。…消費を活発に行う層が減れば、商品を買う頭数が減る。…経済全般は慢性的な供給過剰状況に陥ることを意味する。これこそが、日本経済が抱える真の問題だ。長期にわたって経済が成長しない理由は、需要不足だという説が根強い。…お金がないせいではない。人が減ったからだ。…結局、真の解決策はイノベーションに尽きる。新しい商品を開発して、新しい需要を発掘する。それを積極財政で支えるのだ。

日経電子版

要するにどこまで、日本から新たなイノベーションが出てくるか、に賭けられるか、が勝負と言えるでしょうし、そこへどれだけの国内の資金が回せるか、が岸田総理の仰る『新たな資本主義』へ繋がるのだと思います。

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