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「絵は自画像」画家・笹田靖人

自画像って言うと、自分の顔を描くというのが当たり前のことなのかも知れないけど、実は僕が描く作品は全て自分がテーマなんです

自分が感じたことを絵の中に形にしたり、色にしたりするので、自分の知らないものは描けない。
自分を写す鏡みたいなように、描いた作品がその時の自分そのものなので常に僕の作品は自画像なんです。

僕には描けなくなることがない、スランプが無いんです。
常に自分のことを描いてるので、「これしたいあれしたい」というものを自分に問いかけて絵を描いているので、スランプというものを感じたことが無いんです。

自分で決めていいし、それを否定する人もいません。
なんでもありの世界で生きているのでずっと絵を描き続けることが出来ています。


この作品は「相思相愛」といいます。

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相思相愛というこの作品は、言葉通りではなく”叶わなかった恋”の絵なんです。
失恋をしたらどういう心境になってどういう表現をするのかを見てもらいたくて描きはじめた作品です。

辛いこと、悲しいことがあると時間と共に風化して気持ちを整理していくことが立ち直ることなのかも知れないけど、僕の場合は辛かった気持ち、悲しかった気持ちを作品に込めて物体化させるという行為で気持ちを昇華させています。
そうすると、辛かったこと悲しかったことが出来上がった作品を見ると違う気持ちへと成長しているんです。

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例えば、絵の中にある心臓の部分、マニキュアをつけてるメスの猿の手がオスの猿(自分)の心臓をギュッと掴んでいるんです。それに気づいてくれたらこちらも気づいてくれると思うのですが、メスの猿の心臓(いちご)にフォークを突き刺そうとしています。

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これは変わりやすい女性の心をいちごに例えています。
苦しんでいる自分の気持ちを気づいて欲しい!とメスの猿の心臓に向けてフォークを突き立てているようなイメージです。

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お互い奥歯を噛み締めている。
痛くて涙が出ている。
女の子には鍵が付いていて、もしかしたらもっと強く強く言ってくれてこの鍵を開けてほしいと思ってるのかも知れない・・・
全てそういった想像で描き進めていきました。

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こたつのコンセントは、昔の家族団欒のイメージから温かい気持ちを表現しました。心のコンセントはそんなイメージのこたつのコンセントにしたかったのです。
だけど寂しいことに実はどちらもコンセントは電気が通っていないという・・・

どうしようもないこの気持ちの表現、どうしたらいいのか分からない二人の距離感そんな色んな気持ちがこの絵の中に込められています。


技術的な方法で気持ちを表現したところもあります。
傷ついたものを表現したかったので、Liquitexのメディウムという素材で白いキャンバスを真っ赤なメディウムでまず肉を作りました。キャンバスに真っ赤な肉をたっぷり作って盛り上げて、それをもう一度真っ白に塗り直しています。
白いキャンバスに戻して、猿を描き上げた後に傷ついた気持ちを表現するために彫刻刀で絵を削っています。

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僕は常に作品の前で絵の説明をします。
作品一つ一つに作家が込めた思いを見る方に知って欲しいのです。

僕の話を聞いた後にそれぞれ皆さんの想像で見てもらえるのなら僕にとってはとても幸せなことです。


笹田靖人


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