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飲んだ水が腑に落ちる様を思い臍を見る

窓硝子 白抜けさせる陽の光
薄暗いへやの手前から見る
陰影とよく似た人の心のうち

美しさと綺麗さは似て非なるもの
二日目の風呂に浮かぶ垢に似た
厭らしい みにくさ 浅ましさ
そうした人間の暗部までも
美という言葉は内含してしまう

美しさとは全てを表現できる言葉だから
美しさとは生命を表現できる言葉だから

世界は今日も
意識を反射していて
考察はしょせん真実の前では役立たずだ
インポテンツの新郎や
旧いホテルのドライヤーのように
真実は なんといっても 明らかで圧倒的

たのしいことをしていいんだよ
遠慮することなく
サウナで身体に塗る自然塩のように
わたしに汗をかかせてください あなた

干潮の砂浜
伸ばした前腿から 熱が引く

自分が達することしか考えていない
身勝手な男の腰の動きのように
規則正しく慣性の動きに従う日常
Todoは昨夜食べた白菜のサラダや
味噌漬けお握りのように随時消化されゆく

そのすきまで
親に売られた娘たちが月を臨む
旧い物語を読む

自らの身体を憎むように
差し向けられた 洗脳されている子供たち
安心するが良い
悪きことをした犯罪者たちは
責任転嫁を目論んでいるが
責任はどこにも嫁がせない

縁談は破談 演壇から引き摺り下ろされ
天下り先も燃え上がり
官僚たちも 右往左往
ひとびとが囲んで 笑い物にすることだろう

窓硝子 白抜けさせる陽の光
陰影を住まわせている洋館の室
俯いたよこがお うれいをふくんでいる
「あのひと ひとりじゃないときはよくわらう
それこそお天道様みたいに」
ちいさな子供がそう言った
飴をねだるときとおなじ声色で
祖母から習った踊りを披露して
汗の玉を足音に 付着させている姉のすぐそばで

明日からマスクはいらないと騒ぐ阿呆ども
いやそれでもしろと騒ぐ痴呆ども
あんたらに言われなくとも
マスクの有無くらい 自分で決めます
余計なおせっかいばっかりして けつ蹴られたい?
老婆はそう言って
陰影のよこがおが くすりとわらった

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