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マロン内藤のルーザー伝説(その7 マイナー問題)

ここで箸休めとして、相対的に見れば極めてマイナーな出来事についても紹介したい。

1.オリジナルの鍵
30年間に渡りター坊の心臓を起動しつづけてきたためか、よくみると鍵の根元に金属疲労の形跡(目視確認できる長さの亀裂)がはっきりと現れていたのである。このまま使い続ければ、シリンダーの中に入れた状態で根元がねじ切れてしまい、最悪エンジンをかけることができなくなる、あるいはエンジンをかけた状態で止めることができなくなる可能性があった。

慌てて行きつけのスーパーオートバックスにある合鍵作成コーナーの店員さんに相談したところ、あまりにも古い車であり、合鍵製作には特別な機械を使う必要があるとのことであった。この期に及んで合鍵は作らないという選択枠は存在しない訳であり、店員さんに懇願して特別な機械での製作を依頼した。

数日後、完成した合鍵を早速ター坊のシリンダーに入れようとしたのであるが、元鍵が長年の使用により相当摩耗していたため、まっさらの合鍵はエッジが立ちすぎていてシリンダー内でひっかかってしまいスムーズに入らないのである。エッジが立つというのも善し悪しである。このまま無理に挿入すると、今度はシリンダーが壊れてしまう危険性があるということで、その後数回に渡り、手作業で研磨してもらい、漸く使える鍵が完成した。まさに巧みの技である。そのスペアも追加作成し、晴れてねじ切れるリスクのない鍵を手に入れることができた。30年という月日に思いを致す出来事であった。

2.エンジンスタート
鍵が新しくなったは良いが、エンジン始動も一筋縄でいかないところがまさにビンテージポルシェの妙である。空冷911のエンジン始動には古くから多くのポルシェオーナー・マニアの方々によって語り継がれる伝統の儀式があり、一定のお作法を踏むことが求められるのであるが(当然これも薄っぺらな座学知識ですな)、私のター坊はそもそもバッテリーが弱いのか、スターター、あるいはオルタネーターがへたっているのか、とっても微妙なのである。ター坊と外出する度に「神様・仏様、これからはいい子になります。どうかだめな私をお許しください」と一心に祈るというマロン流お作法を毎回踏む羽目になった。違った意味でのドキドキドライブ・スリリングドライブですね。

3.サスペンション
路面からのダイレクトな突き上げがあまりに厳しく、これにはさすがのマロンも音を上げた。例えるならば、サスペンションのついていない遊園地のゴーカートのような乗り味なのである。レーシングカーテクノロジーをフィードバックされた車とはいえ、ラグジュアリーなGTカーとして発売された930ターボの誕生経緯を考えるとき、これはあきらかに異常な乗り心地であった。
よく見ると、左右のフロントタイヤとオーバーフェンダーの距離が明らかに異なっているのである。これはとっても気になる・・・サスペンションを交換するとなるといったいいくらかかるのだろう・・・とってもとっても気になる・・・それまで雲一つなかった頭上に黒い霧が立ちこめる予感がした。

続く・・


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